日本代表はUAEを圧倒的に押し込みながらもPK戦の末に敗れ、アジアカップ敗退が決まった。スペイン・バルセロナを中心に世界中で活躍する指導者集団『サッカーサービス』のポール・デウロンデルコーチは、日本代表の攻撃をどう見たのか。UEFA・A級ライセンス保持者の分析をお届けする。(取材・文/鈴木智之)
■“ピッチの幅”を取ったほうがいい理由
UAE戦、日本はシュート35本と圧倒的に攻め込みながらも、1ゴールしか奪うことができませんでした。日本の攻撃がうまくいかなかったポイントのひとつに「攻撃時の幅の欠如」があります。
試合を通じて、両ウイングの本田選手と乾選手(途中から武藤選手)が、ピッチの中央地帯に入ってきてプレーする場面が多く見られました。
これ自体は良いプレーなのですが、両ウイングが中に入ったためにできた、ピッチの外側のスペースを長友、酒井の両サイドバック、またはその他の選手が使うシーンがあまり見られませんでした。つまり、サイドのエリアにどの選手もいない時があり、サイドをうまく使えていない場面が見受けられました。
相手チームがピッチの中央を固めて守備をする場合、ピッチを縦に4分割した、もっとも外側のスペースをつかうことが鉄則です。両ウイングやサイドバックがピッチの幅を取って、相手がマークに来ざるをえない状況をつくり、選手同士の距離を広げさせます。そしてピッチ中央にできたスペースを、他の選手が突きます。これが相手の守備を崩すために必要な“スペースを作り、使うプレー”です。
UAE戦は、中央ばかりではなくサイドのスペースを有効に使うことができていたら、チャンスの質も変わっていたのではないでしょうか。
取材・文/鈴木智之