テクニック
なでしこJAPAN徹底分析!決勝・アメリカ戦のキープレーヤーは?
公開:2015年7月 3日 更新:2020年3月24日
2日に行われたFIFA女子ワールドカップ準決勝・イングランド戦に2対1で勝利し、2大会連続の決勝進出を決めた、なでしこジャパン。厳しい試合だったイングランド戦を“世界的指導者集団”サッカーサービスのポール・デウロンデルコーチはどう見たのでしょうか? 大好評の分析企画を2回に分けてお届けします。(取材・文 鈴木智之 写真 Getty images)
■なでしこの特徴であるパスをつなぐ攻撃を増やすために必要なこと
まず、決勝に進んだなでしこの選手たちにおめでとうと言いたいです。前回のW杯、オリンピックに続き3大会連続で決勝の舞台に上がるというのは、簡単なことではありません。すばらしい成果だと思います。
イングランドとの準決勝、日本はかなり苦戦しました。攻撃に関して言うと、アタッキングサードに入り、相手のマークが厳しくなるエリアでのコンビネーションプレーがほとんど見られませんでした。日本のシステムは4-4-2ですが、2トップのメリットをほとんど活かすことができなかったように感じました。大儀見選手は、攻撃時の「深さを伴った、マークを外す動き」が上手な選手です。彼女の長所をより活かすために、大野選手を始めとする周囲とのコンビネーションは、さらに向上することができると思います。具体的には、2トップの選手が高さをどの位置にとるか、いつポジションを下げるのか、どのようにサポー
トをするのか、ゴール前に入ったときにどういう動きをするのか、といった部分です。一般的にこちらが2トップで相手が4バックの場合、2人のFWに対して、センターバックも2人で数的同数になるので、守備側が守りにくい状況を作ることができるはずです。日本は最終ラインからビルドアップして、パスをつないで攻め込んでいくスタイルを持ち味としています。その際にただボールを動かすのではなく、どこで、どのように数的優位を作るのか。より戦術的な意図を持ったパス回しをすることができれば、より相手に脅威を与えることができます。なでしこジャパンに限らず、男子の代表チームも同じ課題を抱えていると考えています。最終ラインの岩清水、熊谷選手がボールを持っているとき、ボランチの宇津木選手、阪口選手はどう動くのか。「ボランチがそこに動いているから、FWの大儀見選手、大野選手はそっちに動く」という、チームとしての戦術的な共通理解があると、技術力に高いなでしこの選手たちの特徴がより活きると思います。とくに、岩清水、熊谷選手はボールを前に運び、相手の最前線のラインを突破するプレーができるので、ダブルボランチ2人とセンターバック1人の計3人になり、中盤の中央のエリアで数的優位を作ることができます。このプレーを続けていき、そこに中盤のコンビネーションが加われば、持ち味であるパスをつなぐ攻撃を仕掛ける回数が、さらに増えていくはずです。
有吉選手が倒されてPKを得た場面は、攻撃のコンビネーションが機能した場面でした。川澄選手がピッチの中央に入り、イングランドの左サイドバックの意識を引きつけておき、外側のスペースを有吉選手が突いて、最終ラインを突破しました。川澄選手が中に入ってスペースを作り、有吉選手が攻撃の幅を使ってオーバーラップしたことで、一気にゴール前に進入することができました。このように、攻撃のコンビネーションを使うことで、チャンスの数は増えていくと思います。
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取材・文 鈴木智之 写真 Getty images