1. サカイク
  2. コラム
  3. テクニック
  4. プレスを回避する縦と横のパスコースの作り方/自陣エリアでボールを失わないポゼッショントレーニング

テクニック

プレスを回避する縦と横のパスコースの作り方/自陣エリアでボールを失わないポゼッショントレーニング

公開:2022年4月 9日 更新:2022年10月17日

ボールポゼッションをベースとした攻撃を展開し、2017年には「全日本U-12サッカー選手権大会」にも出場したブレイズ熊本。U-12でコーチを務める桑原太一氏のトレーニング実践、後編では「実戦を意識した形で、ポゼッションを行う応用練習」の様子を紹介したい。ポゼッションを主体とした攻撃を組み立てたい指導者にとって、参考になること間違いなしだ。(文・鈴木智之)

(※COACH UNITED 2021年11月15日掲載記事より転載)

この内容を動画で詳しく見る

kuwahara02_01.png

<< 前回の記事を読む 

チームでボールを保持するための基本は「三角形を作る」こと

後編最初のトレーニングは「2対2+1フリーマン」。攻撃側(ボール保持側)はフリーマンを使い、数的優位を生かしてボールを保持する。パスを15本回すか、守備側の2人の間にボールを通せば勝ちとなる。

kuwahara02_02.png

このトレーニングでは、フリーマンを入れると攻撃側が3人になるので、ボール保持者に対してひとりは横、もうひとりは縦の位置にサポートに入ることがポイントになる。

トレーニングを通じて、桑原コーチは攻撃側の選手に「三角形を作る」ことを入念にコーチングしていた。これがボールを保持するための、ポジショニングの基本の考え方となる。

さらに、攻撃側の選手に対して「誰が横なのか、誰が縦なのかを見極めよう」と話し、守備の2人の間にポジションをとることで、パスコースを作ることを伝えていった。

守備側とすれば、2人の間を閉じれば横のスペースが空き、簡単にパスを通されてしまう。かといって横に開きすぎると、2人の間が空くので、中央を守ることが難しくなる。攻撃側としては、それを狙いながらボールを動かし、縦にボールを入れるチャンスをうかがっていく。

桑原コーチは次のような声掛けで、選手のプレーを導いていった。

kuwahara02_03.png

「守備の間を狙うのはいいけど、ボールを失わないように」「窮屈になったら開放しよう」「試合中、縦はボランチやフォワードになる。ゴールを目指さなくてはいけないので、縦のパスコースは必ず作ろう」「守備は間を閉めよう。そこをやられてはダメだよ」

中央だけでなく、サイドから前方への縦パスも狙っていく

2つ目のトレーニングは「3対3+1サーバー」。ボールをつないでサーバーからサーバーへの往復を目指す。前方(攻撃方向)のサーバーにパスが通れば攻撃方向が変わり、守備がボールを奪うと、その場で攻守交代する。

kuwahara02_04.png

守備側としては、第一に「攻撃側の前方へのパスコースをふさぐ」ことが重要になる。そして、サイドに入ったボールにプレスに行くことも忘れてはいけない。攻撃側は幅と深さを意識したポジショニングをし、中央だけでなく、サイドから前方への縦パスも狙っていく。

ここでは、前編のトレーニングで実施した、「縦パス、横パスともに素早く出せる位置にボールを置くこと」に言及。サイドの選手に対しては「中央の間だけでなく、自分の前方(縦)を狙うこと」とアドバイス。そうすることで、サイドの守備の選手は縦のコースをふさぐので、中央のコースが空き、狙いやすくなる。

kuwahara02_05.png

桑原コーチの指示を意識することで、ボールの動きが良くなり、中、外とテンポよくパスがつながり始める。この一連の様子はぜひ動画でご覧いただきたい。「どのようにプレーをすればいいか」を理解する上でのお手本になるはずだ。

ゲームにおいて攻撃側は「常に前を見て縦パスを狙う」ことを意識する

最後のトレーニングは「6対6+1フリーマン+GK」。これまでのトレーニングで意識してきたことを、実戦の中でどれだけ発揮できるかがポイントになる。

kuwahara02_06.png

攻撃側は常に前を見て縦パスをうかがうこと。ボールを失わないことを目的にパスをつないでいく。守備側は縦パスを入れさせないことと、サイドでも同じように縦をふさぐことを意識してプレーする。

桑原コーチは「フリーマンがいるので、攻撃側は数的優位ができる。縦をのぞきながら、三角形を作ってボールを前に運ぼう」と話し、トレーニングを開始した。

このトレーニングは俯瞰の映像で収録されており、全体の状況がわかりやすく、プレー選択の良し悪しが見て取れる。この映像をご覧の方は「自分なら、どこでプレーを止めて、どうコーチングするか」を考えながら観るのもいいだろう。

kuwahara02_07.png

最後のトレーニングは、ジュニア年代でも適切なトレーニング、コーチングをすれば、ボールポゼッションから攻撃を展開することができる様子が収められている。桑原コーチはトレーニングの振り返りを次のように話した。

「今回のトレーニングでは、観る技術が一番大事になります。観ることによりボールを止める場所、蹴る技術、サポートの質が向上していきます。ぜひ実施したトレーニングを参考にしてみてください」

ぜひ動画をご覧になり、選手たちのプレーの変化を参考にするとともに、コーチングの内容、指摘するポイントにも耳を傾けていただければと思う。

撮影協力:「鯛生スポーツセンター」

<< 前回の記事を読む 

この内容を動画で詳しく見る

▼▼COACH UNITED ACADEMY 会員の方のログインはこちら▼▼

【講師】桑原太一/
1981年4月5日生まれ。佐賀県鳥栖市出身。佐賀で指導者をスタートし、2012年よりブレイズ熊本で活動し、現在11年目を迎える。2017年にはチームの「全日本U-12サッカー大会選手権大会」出場に貢献した。

1

サカイク公式LINE
\\友だち募集中//

子どもを伸ばす親の心得を配信中!
大事な情報を見逃さずにチェック!

友だち追加
サッカー少年の子育てに役立つ最新記事が届く!サカイクメルマガ
鈴木智之

募集中サカイクイベント

サカイクイベント一覧

関連する連載記事

関連記事一覧へ

テクニックコンテンツ一覧へ(480件)

コメント

  1. サカイク
  2. コラム
  3. テクニック
  4. プレスを回避する縦と横のパスコースの作り方/自陣エリアでボールを失わないポゼッショントレーニング