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テクニック

コントロールは相手から遠く!ボールを保持して攻撃を組み立てる「状況判断」と「止める・蹴る」の練習法

公開:2022年4月21日 更新:2022年10月17日

「サッカー指導者のためのオンラインセミナー『COACH UNITED ACADEMY』では、U-8やU-10など、サッカーと出会ったばかりの子どもを指導する際の参考になるトレーニング動画を多数配信中だ。

これまで3回に渡り、ジュニア年代からアプローチしたい「判断力」をテーマに、ジェフ千葉で長く育成に携わる河野太郎コーチにトレーニングを実演してもらった。

最終回となる今回は「グループでボールを保持するパス&コントロール」「プレスを回避するスキルを磨く、ポゼッションゲーム」をテーマにした動画をお届けしたい。(文・鈴木智之)

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情報を取得して選択する!ダイレクトパスとコントロールの使い分け

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最初のトレーニングは「3対1の鬼ごっこ」。攻撃側の3人は鬼にタッチされないように、ボールを繋ぎながら逃げる。鬼はドリブルしながら、手で攻撃側の選手をタッチする。鬼にタッチされるか、パスミスした人は鬼と交代する。

河野コーチは「鬼を見て、鬼から遠いところにボールをコントロールしよう」と、常に見て情報を取り、プレーを選択することの重要性を伝えていく。この「常に情報を取る」というのは、このシリーズで実施したトレーニングに共通する大切なポイントだ。

河野コーチは「3対1の鬼ごっこ」の様子を見ながら「ファーストタッチで足元にボールを止めない」と繰り返して声をかけるが、足元に止めるプレーが頻出する。そこで「足元にボールを止めたら鬼と交代」とルールをチェンジ。そうすることで、ファーストタッチで足元にボールを入れず、コントロールして動かすことに意識を向けさせていく。

さらには、パスを出す選手に「鬼から遠いところにボールを出そう」と指示をすることで、パスの出し手、受け手ともに共通して「鬼から逃げること」をイメージしながらプレーするようにうながしていった。

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次に、「コーチが笛を鳴らしたら、次にボールを受ける人はダイレクトでパスを出す」とルールを変更。音を聞いて判断し、プレーを変える要素を加えていく。

続いて、3人の真ん中にコーチを配置し、鬼から逃げながら、タイミングを見計らってコーチにパスを入れるという設定にチェンジ。河野コーチは「まずはコーチを見て、パスを入れられなかったら、鬼から遠いところへボールを動かそう」とアドバイスを送っていた。

途中から、「コーチにパスを入れるのはダイレクトだけ」「選手同士のパスはダイレクトなし(鬼から逃げるコントロールをする)」というルールに変え、見て判断し、相手の動きに合わせてプレーを変えることを強調していった。

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ボールを失わない為に必要な止める・蹴るをポゼッションで実践

最後は「プレス回避のスキルを磨く」をテーマに「3対3対3 ポゼッションゲーム」を実施し、実戦へと近づけていく。

設定としては、ビブス2色が攻撃、1色が守備となり、コーチはフリーマンで攻撃側に入る。コーチへパスを通すと1点。ボールを取られたチームは守備になり、攻守がすぐに入れ替わる。

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ここでも、情報を取ることに言及し、「自分以外の味方、敵、フリーマンを見ながらプレーを選ぼう。ボールをコーントロールする基準は『DFから遠い方』だよ。攻撃側は4人多いので、1対1になる場面を作らないようにしよう」と話し、トレーニングに入っていった。

河野コーチはプレーにシンクロしながら「トラップは足元だっけ?」「ボールを受けたときに、最初に狙うのはなに?」などと声をかけ、「まずはコーチにパスを入れることを狙おう。だめだったら、相手から遠いところへボールを動かすこと。これまでやってきたことと一緒だからね」と、プレーの基準を繰り返し、伝えていく。

さらには「周りを観てる? コーチと目が合ってる?」「コーチにパスを入れらないときに、足元にボールを止めてしまうことが多い。それは、フリーマンしか見ていないからだよ。常に情報を取って、相手、味方、スペースを見よう」と、頭の中を整理するような声掛けを行っていた。

トレーニングが進むに連れ、子どもたちから良いプレーが出始める。これも、大切なことを繰り返し、伝えていたからだろう。

河野コーチはCOACH UNITED ACADEMYの会員に向けて次のように話し、トレーニングを締めくくった。

「サッカーは相手、味方がいて、常に考え続けるスポーツです。指導者のみなさんも『考えてプレーしろ』と言っていると思いますが、ヒントがなければ、何をどう考えればいいのか、子どもたちにはわかりづらいです。今回の練習は、何のために情報を取り、どういう基準でプレーした方がいいかを指示した中で、考えてもらいました。明確なものさしを提示することで、子どもたちも考えている実感を持ちやすくなり、指導者も子どもたちが『考えている』という評価をしやすくなると思います」

河野コーチの動画は「周りを観て情報を取る」をテーマに、一貫してトレーニングを行ってきた。継続性があるからこそ、子どもたちにもわかりやすく、時間が経つにつれて、良いプレーが出始めるようになったと言える。

トレーニングメニューに加えて、コーチングの内容やポイントにもフォーカスし、指導時の役に立ててていただければと思う。

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【講師】河野太郎/
高校卒業後、ジェフユナイテッド市原・千葉の前身である市原SCに入団。2000年にチームの主将に就任し、チームをJFL昇格まで率い、2007年に引退。
その後指導者の道に進み、2010年からジェフユナイテッド市原・千葉のスクールコーチとなる。普及ダイレクターを経て、今現在は社会連携活動グループマネージャーとして、幼児、小学生の指導とスタッフの育成、また、地域の指導者との交流(指導者講習会)など、クラブの普及を行っている。市原SCから含めて23年間、選手、指導者でジェフユナイテッド市原・千葉に所属。

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