テクニック
ゴール前で発揮する個人戦術!相手を外す「ファーストタッチ」と「シュートフォーム」を身に付ける練習法
公開:2022年6月 3日 更新:2022年10月17日
サッカー指導者のためのオンラインセミナー『COACH UNITED ACADEMY』では、U-8やU-10など、サッカーと出会ったばかりの子どもを指導する際の参考になるトレーニング動画を多数配信中だ。
前々回より、柏レイソル、ヴァンフォーレ甲府などでストライカーとして活躍した長谷川太郎氏による「決定力を高めるシュートテクニックを磨く練習法」を公開している。
ジュニア年代に必要な「身体操作」「ボールコントロール」「GKとの駆け引き」などを身につけることができ、フットサルコートのような小スペースでもできるトレーニングなので、ぜひ動画を見て、日々のトレーニングに役立ててほしい。(文・鈴木智之)
ポストシュートからゴールを奪う為に必要なスキルと連携
最初のテーマは「左右を狙える体の向きと、こぼれ球への動作」。GKやDFの状況を認知して、左右どちらへもシュートを打つことのできるボールの置所や体の向き、ステップなどを身につけていく。
1つ目のトレーニングは「落としてシュート」。シュート役は横にいる選手にパスをし、リターンパスを受けてシュートする。実際の試合をイメージし、ボールを落とす役の選手は一度反対側へ動く「チェックの動き」を入れてからボールを受けて落とし、ゴール前へ入っていく。
ここで大事なのが、落とすボールの質だ。リターンパスが強すぎると、シュート役はコントロールに時間がかかる。あるいはコントロールミスの可能性が高まるので、シュートに持ち込みやすい、「強すぎず、弱すぎないボール」を出すことに意識を向けたい。
長谷川コーチは「落としのパスが弱いと、試合であれば相手に取られてしまう。パスが強すぎると、シュートを打つまでのコントロールに時間がかかるので、落としのパスは(適度に)強く、短くタッチしよう」とアドバイスを送っていく。
ボールを落とす役の選手は、シュート役のことを考えて、なるべくワンタッチでシュートを打てる場所にボールを落とすことがポイントだ。
このとき、前方(ゴール方向)にパスを出すと、シュート役は数歩前に出て、コントロールする時間が必要になり、実際の試合であれば、相手に寄せられる可能性もある。
そうならないために、ボールを落とす役の選手は、シュート役が出したボールと同じ軌道にリターンパスを戻すイメージを持つと、シュートに素早く持ち込むことができる。
そしてシュート役は、向かってきたボールに対して、左足の方向に来たときは左足、右足の方向に来た場合は右足と、ボールに近い方の足でシュートを打つことを徹底。そのためにポイントになるのが体の向きだ。トレーニングでは、ゴール方向に対する体の向きを素早く作り、シュートに持ち込むことを繰り返していく。
ファーストタッチでシュートコースを作りだす軸足の重要性
続いては「対人で磨く、シュートコースの作り方」をテーマに「コントロール~シュート(DFあり)」を実施。
長谷川コーチは「DFのプレッシャーがある中で、シュートを打つための体の向きを作ることが大事。そして蹴り足サイド、逆サイドへの蹴り分けも意識しよう」と話し、トレーニングに入っていく。
動きとしては、シュート役がDFと並行した状態でスタート。コーチが横からボールを出すので、シュート役はコントロールして、素早くシュートに持ち込む。
長谷川コーチは「1つ目のタッチでボールを前に持っていくというよりは、ボールを横に動かすことでシュートに持ち込むことができる」とアドバイス。
シュートを打つときは、どうしてもゴールに近いところへボールを運んでいきたくなるが、そうではなく「シュートを打てるエリアであれば、ボールを横に運んで相手を外せば、シュートを打てる」という視点を提示。これはまさに、長谷川コーチが長くストライカーとして活躍してきた経験によるものだろう。
ここで長谷川コーチが細かく指導したのが、「ファーストタッチの置所」だ。「ファーストタッチが前に行くと、DFに体を入れられやすいので、ボールを横に動かすこと。DFと対峙する中で、おへそを隠すとシュートに持ち込みやすくなる」とデモンストレーション。
加えて「相手(DF)がいなければ、ボールを前に持っていくのはOK。右も左も蹴られるところにボールを持っていこう。少ないボールタッチで、どれだけシュートに持ち込めるかだよ」と声をかけていった。
次は、横からパスを出した選手がDFになる状況で、攻撃側はシュートに持ち込むという設定。シュート役からすると、左側からDFが寄せてくるので、相手から遠い方の右足でシュートを打ちたい。
このとき、攻撃側はファーストタッチで前にボールを運んでしまうと、DFに体を入れられ、奪われやすくなるので、まずは相手から遠い位置にボールを止めること。そして軸足のつま先を進行方向に向け、ゴールに対しておへそを隠した状態でシュートに持ち込む。そうすることで、シュートコースを作ることができ、相手に読まれないタイミングで打つことができる。
長谷川コーチは「足下にボールを止めすぎると、シュートを打てなくなるよ」「相手と対峙したときにも、最後はおへそを隠してシュートに持ち込もう」とアドバイスしていた。
今回は2つの動画を通じ、「シュートに持ち込むために何が必要か」をわかりやすく学ぶことができるトレーニングを紹介してもらった。年代を問わず取り組むことができるので、ぜひ実践してみてほしい。
【講師】長谷川太郎/
柏レイソルユースから1998年にトップチームに昇格しJリーガーに。
その後、複数のJクラブを渡り歩き、1999年には柏レイソルでヤマザキナビスコカップ優勝、2005年に所属していたヴァンフォーレ甲府ではJ2日本人得点王を記録。そして、J1昇格へと導く。
2014年海外完全移籍、インドリーグ(1部)ムハンメダンSCに完全移籍し2014年6月限りで現役を引退。
2015年より一般社団法人TREを設立。【TRE2030 Striker Project】〜2030年 みんなで育てよう! W杯得点王〜というビジョンの元、ストライカー育成を行い、自社スクールだけでなく、多くのクラブへストライカーに必要な考え方やスキルを伝えている。2017年よりブリオベッカ浦安で日本初ストライカーコーチとして就任。