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良いトレーニングの条件と作成のポイント/元横浜FM監督が考えるU-12年代へ向けた練習メニューの構築方法

公開:2022年7月20日 更新:2022年10月17日

『サッカー指導者のためのオンラインセミナー「COACH UNITED ACADEMY」』では、JFAのトレセンコーチを長く務め、横浜F・マリノスのトップチーム監督、ラオス代表監督を務めた、木村浩吉氏のセミナーを公開中。

ボランティアコーチから寄せられた質問の中で多かった「良いトレーニングの条件と作成のポイント」について、豊富な経験の中から導き出した理論と実例を教えてもらった。指導歴の浅いコーチからベテランまで、サッカー指導に携わるすべての人が、すぐに活用できる事例の一部を紹介したい。(文・鈴木智之)

(※COACH UNITED 2020年5月18日掲載記事より転載)

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トレーニングの目的は、自分の目標(理想)を追求すること

木村氏は最初に「トレーニングの目的は何でしょうか?」と問いかける。

「トレーニングの目的は、自分の目標(理想)を追求することです。理想とは、試合での勝利やチーム力、個人の向上です。目標を設定せず、ただ、次の試合に向けたトレーニングをしている指導者が多いのではないでしょうか? このセミナーを聞いて、まずはそこを見直していただけたらと思います」

何のためにトレーニングをするのか? それはサッカーがうまくなるためであり、その成果として、試合に勝つためだ。木村氏は「いまよりもっとうまくなれば、いま以上にサッカーが楽しくなる」と語りかける。

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そこでポイントになるのが、「できなかったことをできるようにするのか」。それとも「できることを、さらにできるようにするのか」という部分だ。

木村氏は「日本の教育の根本にあるのが、できなかったことをできるようにすることです。でも、できることをもっと伸ばすことも大事だと思います。そうしないと、金太郎飴のような選手が増えてしまいます」と、現状を指摘する。

動画前編で触れたが、良いトレーニングをする上で、もっとも大切なのが「選手たちは何ができて、何ができないか」をコーチが知ることだ。これを「分析」という。

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「選手たちが、何ができて何ができないのか。プランを立てて実行し、チェックします。そして、アクションを起こします」

これを「PDCAサイクル」と言うが、成長へ向けたサイクルを回すためにも、指導者がチームと個人に対して、分析ができていることが前提となる。

指導者は選手に対して「周りを観ること」を促すことがとても大切

その中で、木村氏が重視しているのが「観ること」だという。

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「指導者のみなさんは、選手に対して『周りを観ること』の大切さを口酸っぱくして言われていると思います。サッカーでは、周りを観ることができると得をします。車の免許を取るときに、指導教官に周りを見ることを常に言われますよね。ミラーを何度も見て、目視もする。それは、見ないと危ないからです。観ることで『いまは大丈夫だ』『危なそうだ』と判断する材料を増やします。それはサッカーも同じです」

サッカーを始めたばかりの子はボールを追いかけ、団子サッカーになりがちだ。子どもはボールに触りたいので、自然な流れなのだが、サッカー初心者から階段を上がっていくためには、指導者が「周りを観てごらん」と声をかけるのも大切なことだ。

「観ることは、プレーの判断材料を増やすことにつながります。判断材料が多ければ、より良いプレーができるようになります。何を観るのかというと、まずはピッチ全体を見て、ボール、ゴール、味方、相手、空いているスペースなど、様々なものがあります。それに対して指導者は『味方はどこにいる?』『後ろの状況は観えていた?』『どこのスペースが空いている?』と口を酸っぱくして、具体的に何を観ればいいかを、言い続けるしかありません」

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木村氏は「トレーニングの中で意識して繰り返すことで、試合では無意識でできるようになる」と、実体験をもとに語る。

「イニエスタ選手は、周りを観ることを無意識でやっています。習慣になっていますよね。技術、フィジカルも大事ですが、いつ、何を観るか? もすごく大切です。よく『いつ観ればいいですか?』と聞かれるのですが、『ボールが移動している時』という答えも間違いではないと思います。でも私は『観られるときに、いつでも観る』。つまり、観ることを習慣化することが大事だと、選手たちに伝えています」

他にも、経験の浅いコーチからの「トレーニング中、コーチはグラウンドのどこに立てばいい?」という質問や、「選手との距離感について」といった悩みに加え「トレーニング作成のポイント」についても言及している。

そこでは「こんな試合がしたいから、こういうトレーニングをする」ということから始まり、テーマを設定することの大切さをレクチャー。

動画ではウォーミングアップ(導入)、トレーニング1(提示)、トレーニング2(発展)、ゲーム(成果)というトレーニングの組み立て理論を紹介し、実際に「ドリブル」をテーマに、どのようなウォーミングアップ、トレーニングメニューを経て、試合へと入っていくのかという、具体例が提示されている。

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JFAの指導者インストラクターも務めた木村氏による、理論とトレーニングの組み立てを学ぶことのできる、貴重な動画である。ぜひ映像を観て、トレーニングの発展に役立てて頂ければと思う。

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【講師】木村浩吉/
日産自動車で選手として活躍後、1995年に横浜マリノスをヘッドコーチとしてチャンピオンシップ優勝に導く。1996年からはトップチームを離れ、クラブの育成・普及部門で長年指導。2008年には横浜F・マリノスのトップチーム監督に就任した。
その後はJFAナショナルトレセンコーチを経て、JFAからの派遣でラオス代表監督などを歴任。JFA技術委員や世代別代表の統括責任者を務めるなど、長年に渡り日本サッカー界の育成や指導者養成に携わってきた。JFA公認S級ライセンス所持。

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