テクニック
初心者も楽しみながら基礎を習得できる!インサイドで「止める・蹴る」をステップアップ形式で磨く練習法
公開:2022年8月23日 更新:2022年10月17日
「サッカー指導者のためのオンラインセミナー『COACH UNITED ACADEMY』」では、指導経験の浅いコーチに向けて「U-10年代の指導動画」を配信中。ユーザーからは「映像が短く、ポイントが絞ってあって見やすい」など好評を得ている。
今回は、宮城県の強豪クラブFCみやぎバルセロナの石垣博氏による「出来る楽しさを伝える。初心者を指導するための基礎トレーニング」と題し、サッカー経験の乏しい子どもたちを、どのようなトレーニング、コーチングで向上させていくかにフォーカスした動画を紹介したい。(文・鈴木智之)
出来た喜びを感じ、自ら進んで取り組めるパス&コントロール
指導経験豊富な石垣コーチによるトレーニング。最初は「パス&コントロール」をテーマに「2人1組、対面パス」を実施。キーファクターは「左右の足でトレーニングさせる」「足の、どの部分に当たったらまっすぐ飛ぶかを確認する」「どの場所にボールを止めたら、正確に蹴ることができるかを確認する」の3つ。
石垣コーチはキックをする際に「足の横を使ってみよう」と、あえて「インサイド」という言葉を使わず、子どもたちにわかりやすく説明。また「そうそう、上手」「いいね」など逐一声をかけて、子どもたちの集中が途切れないようにしていく。
次に「ボールを止めて、蹴った足で前に一歩動いてみよう」とデモンストレーション。動作にフォーカスし、子どもたちびの動きを改善していった。
さらには「仲間に正確にパスをするために、どこにボールが止まっていたらいい?」と問いかけ、「まっすぐ蹴られるところにボールを止めて、毎回そこに止まるようにしよう」とアドバイスを送っていた。
トレーニングの設定としては、最初は3m程度の距離から始め、徐々に距離を長くしていく。
石垣コーチは子どもたちの様子を見ながら「足がどうなっていたら、まっすぐボールが行く?」と問いかけ、「軸足と蹴り足を、蹴りたい方向に向けること」の重要性を伝えていった。
次に「ボールを止めず、ダイレクトでパス交換」と設定を変更。ここでも「足の横(インサイド)で真っ直ぐ当てること」を意識させ、「ボールを強く蹴りすぎない」「まっすぐ、優しく蹴ろう」と声をかけていく。
最後に、「ダイレクトで6本続いたところで、後ろに下がる」という動きを追加。「上手にできる人いるかな?」「ボールがずれたらレベル1に戻るよ」など、明るく声をかけ、楽しい雰囲気を作り出していく様子が印象的だった。
ボールを蹴りやすい場所にコントロールして仲間に真っすぐパスを送る
2つ目のテーマは「ボールの置所とパスの蹴り方を磨く」。「3人1組、三角形パス」のトレーニングを通じて、ボールの置所と蹴り方にアプローチしていく。
設定としては、コーンを三角形に配置し、コーンでできたスペースの間でボールを受け、次の人へパスを出す。パスを出した選手は、出した先へ移動する動きを繰り返す。
石垣コーチはトレーニング1と同様、「蹴った足が前に出るように」と話し、適切なパススピードを実演。「ボールを蹴りやすいところに置いて、まっすぐ正確に仲間に渡そう」と説明していった。
さらには、パスする相手の方に、軸足と蹴り足を向けることにも言及。そして「蹴った足を進行方向に出すことを意識しよう」と話し、「成功か失敗か、自分で考えてみよう」と声をかけていく。
このように、漫然とプレーすることなく、考えるクセをつけさせていくことがポイントだ。
次に、ボールを受けるときに、前方にボールをコントロールし、2タッチ以内で次の人へパスを出すというルールに変更。トレーニングが経過するにつれ、子どもたちの動きがサッカー選手っぽくなっていく。この成長の早さも、U-10年代の魅力のひとつだろう。
石垣コーチは、指導の際に「できないことを責めるのではなく、どうしたら上手くいく?と投げかけ、チャレンジしやすい、失敗しても怒られない安心感を保つことが大事」とアドバイスをくれた。
今回のトレーニングに参加している子どもたちは、技術的にばらつきがある。そのような状況下で、どのような声をかけているのか。声かけの内容やタイミング、テンションなども参考にしていただければと思う。
【講師】石垣博/
18歳から指導に携わりスポーツ少年団での監督、宮城県のU-12年代の地区トレセン・県トレセンなどでも監督を務める。ジュニアユース年代ではFC FRESCAでの監督経験を経て、2005年より現在のFCみやぎバルセロナの監督に就任し15年目を迎える(2011年からは女子チームも立ち上げる)。また、宮城県サッカー協会 指導部 サブチーフインストラクター(47FA C級D級インストラクター)も務めている。