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縦パスを成功させるスペースメイクとパスを出す位置。個に頼らない中央からの連携を高めるトレーニング

公開:2023年11月 5日

2022年度のチビリンピック全国大会、全日本U-12サッカー選手権大会に初出場したソレッソ宮崎。縦パスやダイレクトプレーを駆使した前進、コンビネーションを得意としており、セレクションを実施しないクラブながら、確かな実績を残し始めている。

U-12を担当するのが、ソレッソ熊本OBでサンフレッチェ広島ユース出身の佐藤涼監督。出身の系列クラブで指導を始めた佐藤監督は、個の突破だけに頼らず、グループとして攻撃を構築するために、どのようなトレーニングをしているのだろうか?

動画のテーマは「縦パスとダイレクトプレーを使った中央からの連携を高めるトレーニング」。前編では、ゴール前での関わり方や、味方との共通理解を高める方法を紹介したい。(文・鈴木智之)

(※COACH UNITED 2023年7月10日掲載記事より転載)

この内容を動画で詳しく見る


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関わり方の共通理解を深める5種類のパストレーニング

佐藤監督は、ソレッソ宮崎U-12のスタイルを「守備ではハードワークと球際でのバトルを求め、攻撃では相手を観て、意図的なドリブルやコンビネーションでゴールに迫る」と説明。

それらのスタイルを実現するために、動画ではゴール前での関わり方の共通理解を深めるトレーニングを行っていく。 最初のトレーニングは「三角形のパス×5」。1辺9mの三角形の頂点に選手を配置し、パス&コントロールを実施。

流れとしては、右回り、左回り、3人目、スイッチ、オープン1タッチの順にルールが変わっていく。

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最初のポイントは、パスを出す選手の顔が上がった瞬間に、マーカーから離れてボールを受けて、遠い方の足でコントロールしてパスを出すこと。

佐藤監督はボールの移動中に、次にパスを出す相手の状況を観て、パスを出しやすい位置にワンタッチでコントロールするプレーをデモンストレーション。

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「観る作業を増やそう。ワンタッチでいつでも蹴られるように。ボールの移動中に、次の選手と目を合わせて」と声をかけていく。

続いて、3人目が関わるパス回しでは「タイミングを合わせること」の重要性を強調。 「ゴール前の崩しを意識しながら、ワンタッチのタイミングで縦パスのイメージを持って、前に入れていけるように。ワンタッチで落とすタイミングでボールに関われるようにしよう」

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ここでは、縦パスを出すために、ボールを受ける選手はパスの出し手に直線的に近寄るのではなく、少しふくらんでプレーするスペースを作ることに言及。そうすることで、縦パスが入れやすくなる。

「スペースメイクと相手のつける足を意識しよう」と話し、続く「スイッチ」もスペースメイクの重要性を伝えていく。 「ドリブルを入れて、相手を食いつかせるイメージを持ってプレーしよう。

角度が悪ければスペースメイクして、自分で角度を作ること。そして3人目が関わる。移動しながら、味方と目を合わせよう」 ラストの「オープン1タッチ」はパスの強弱や、パスを出した足で前に進んでいくことをコーチング。

そうすることで、プレースピードを落とさずに、味方とつながることができる。このあたりの詳細は動画で確認してほしい。

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縦パスが入るタイミングで、3人目が関わる。常に周りを観ておく

2つ目のトレーニングは「2対2対2+1フリーマン」。設定としては、8m×8mのグリッドを2つ並べ、片方のグリッドで、2対2対2+1フリーマンの状態でパスを5本つなぐ。

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パスを5本つないだら、フリーマンが反対側のグリッドに入り、攻撃側はフリーマンからの落としのパスを受けて、コーンをめがけてシュート。ボールを当てたら1点となる。

また、先程のトレーニングで行った「スイッチ」のプレーをしたら、パスをつないだ本数に関わらず、隣のグリッドに移動してOKというルールだ。 守備側はボール奪取を目指し、ボールを奪ったらコーンに当てるか、ドリブルでラインの外を目指す(ボールがラインの外に出たら攻守交代)。

佐藤監督はトレーニング開始前、「テーマは縦パスからのコンビネーションなので、ダイレクトプレーを意識しよう。縦パスが入るタイミングで、3人目が関わる準備をすること。ボールを持っていないときや移動中は常に観て、周りとつながっておこう」と声をかけていく。

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このトレーニングはグリッドが狭いため、ボールを持ってから考えていると、相手に奪われてしまう。そこで「ボールを持っていないときに周りを観て、プレーの選択肢を作ろう」とアドバイスし、「自分だけのタイミングではなく、味方のタイミングに合わせてプレーすること」の重要性を伝えていった。

ほかにも「3人目でパスを受ける選手は、意図を持ってアクションを起こすこと」を強調。そのコーチングにより、動画終盤には良いプレーが出始める。

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その後「パスを4本つなぐ」「パスを出した選手はその場にとどまるのではなく、辺を移動する」というルールを付け加えた。

ルールによって、狙いとするプレーを導く様子は参考になるだろう。 以上で前編のトレーニングは終了。佐藤監督のわかりやすいデモンストレーションと説明は、ぜひ動画でご覧いただければと思う。次回の後編では、実戦形式のトレーニングに入っていく。

この内容を動画で詳しく見る


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【講師】佐藤涼/ ソレッソ熊本のOBで高校はサンフレッチェ広島ユース・大学は関西大学でプレー。卒業後ソレッソ熊本で指導者を始め、現在はソレッソ宮崎で指導をしている。今年度は6年生担当として初監督に就任した。

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