テクニック
「第47回全日本U-12サッカー選手権大会」優勝。ソレッソ熊本が大切にし続ける「攻守の切り替えの速さ」
公開:2024年1月 5日
2023年末に行われた、「第47回全日本U-12サッカー選手権大会」。育成年代の指導法を幅広く動画で紹介する「COACH UNITED ACADEMY」に出演経験のあるクラブ・指導者も多数出場した。
そこで今回より、彼らの奮闘を紹介したい。まずは見事、悲願の初優勝を果たした、ソレッソ熊本から。(取材・文:鈴木智之/写真:渡邉健雄)
(※COACH UNITEDからの転載記事になります)
(グループK、1次ラウンド第2節。ソレッソ熊本(青)vs 横河武蔵野FC(黄色))
「攻守の切り替えの速さは、うちの生命線です」(三角監督)
ソレッソ熊本は、圧巻の攻撃力で大会を席巻した。決勝トーナメント以降の4試合で奪ったのは12ゴール。なかでも得点王に輝いた、FW藤岡鉄大選手、MF野口壱斗選手のコンビネーションは大会屈指の破壊力だった。
(大会得点王に輝いた藤岡鉄大選手)
注目すべきは、攻守の切り替えの速さ。三角将行監督は「そこは、うちの生命線です」と話すとおり、決勝トーナメントで対戦したアイリスFC住吉(大阪)、ラウンド16で横浜F・マリノスプライマリーを破った、京都長岡京SS。
香川県のデサフィオC.F、そして決勝の相手、FCアロンザ(愛知)といった攻撃自慢に対して、攻守の切り替えで優位に立ち、主導権を握った。
たとえボールを奪われても、すぐさま取り返して攻撃につなげる。そのクオリティは抜きん出ていた。三角監督は「守備から攻撃への切り替え、アタッキングサードでの崩しは、COACH UNITED ACADEMYでやったトレーニングのとおりです」と語る。
(大会中にインタビューを受ける三角監督)
準決勝終了後、三角監督は「切り替えのところは徹底できたと思う。そこはうちが一番大事にしているところですから。選手が変わってもそこは落ちない。積み上げてきた自信もあります」と振り返った。
準決勝ではFW藤岡選手、MF野口選手の連携で、相手ゴールに襲いかかった。それも「COACH UNITED ACADEMYで紹介した)3vs3+3サーバーでやっている形でしたよね」と三角監督。
「今年の強みは、中のコースを消されたときに、外から攻めることができること」と話す通り、河津珂哉選手らが「三人目の動き」として攻撃に絡み、ピッチのどこからでもゴールを目指すところで違いを見せた。
大会が進むにつれてチームが一体となり、勝利を掴み続けた
選手の質という意味でも、総じてレベルが高く、日頃から全体を通した良いアプローチをしていることがうかがえるチームだった。
得点王の藤岡選手は言うに及ばず、キャプテンの野口選手も大会屈指のタレントだった。小学生ながら、ピッチでの振る舞いは大人のようで、予測、駆け引き、そしてテクニックと申し分なかった。
三角監督も「今年は野口のチーム。自由を与えているじゃないけど、守備もやんなきゃいけないし、点を取るときはゴール前に顔を出さなきゃいけない。危機察知能力も高いし、前を向いたときは長いボールも蹴れる」と全幅の信頼を寄せている。
(ソレッソ熊本のキャプテン、野口壱斗選手)
「野口、藤岡、そして(守備の要)河崎心太郎はある程度やるんです。彼らを軸に、周りの選手が運動量を持って、チームを支える役割を遂行してくれればいいゲームができる。どことやっても安心できる。それは結構言っていますね」
今大会のソレッソ熊本は、勝ち進む中でチームが成長し、一体となって勝利をつかみとった。ビッグセーブを連発し、ピンチを救ったGK菊山碧音を筆頭に、試合を追うごとに、選手たちの成長が見て取れた。
(横河武蔵野FC戦でシュートをセーブするGKの菊山碧音選手)
大会の地・鹿児島の冬晴れのように、爽やかな熊本の戦士たちがピッチで躍動。堂々の優勝だった。