考える力
サカイクキャンプレポート① "成功体験"を通じて「自分で考える力」を身につける
公開:2012年8月31日 更新:2012年9月 5日
サカイクでは7月24日から26日の3日間、富士緑の休暇村(山梨県)にて、U-12年代を対象にトレーニングキャンプを開催しました。参加してくれたのは、いずれもサカイクのウェブサイトをご覧になって、サカイクが大事にしている指導理念に共感して応募してくれた保護者の子どもたち。今回のサカイクキャンプ最大のテーマは、子どもたちが自らの頭で考えて判断できるプレーヤーになるということ。
先に結論からお伝えしてしまうと、トレーニングキャンプ終了後に子どもたちから「とてもわかりやすい指導でした」「何となくわかっていたつもりのことが、今回わかってすっきりしました」といった感想が続々と届いたのです。また中には「僕は6年生だから卒業してしまうけれど、もしも中学生対象のキャンプがあればまた来年も参加したいです」と感想をもらす子もいるほどでした。
キャンプを任されたコーチ陣は、一体どんなコーチングを展開したのでしょう?今回、中心となってコーチングをしたサカイクの運営母体である株式会社イースリーが展開する「シンキングサッカースクール」の須田コーチにお話を伺いました。
■サカイクキャンプ初日、まず子どもたちに伝えたのは「フットボールをしよう!」
「サッカーは球蹴り、偶然の産物としてゴールが生まれる、という印象がありますが、それは違うと考えています。自分たちが意図を持って攻撃と守備をする、それがフットボールなのです。今回は明確に区別するために、フットボールという言葉を使いました」
「これまでのトレーニングキャンプというと、テクニック重視のトレーニングが多くなりがちでした。でも、コートの上では、ドリブルもあれば、パスもあるし、シュートもある。そこにプラス判断が加わるのです。それらはどれも切り離せるものではないので、トレーニングでも切り離さないことが重要だと考えています。色々な技術の複合体と、ぞれぞれの局面における判断、それが『フットボール』なんだということを子どもたちに伝えたくて、それらを念頭に置きながら今回の指導メニューを組みました」
サカイクキャンプ全体を通じて、具体的に力を入れて伝えようとしたことが「攻撃と守備の目的と原則」だといいます。3日間という短い期間で伝えられることは限られてしまいます。そこで「3日間なのであまり内容は詰め込まず、フットボールにおいて最も大事なポイントだけに絞って、子どもたちにわかりやすく伝えることを心がけました」と須田コーチ。その詳細については、2日目、3日目のトレーニング内容で紹介します。
また、キャンプトレーニングだからこそ、できることもありました。
「普段のシンキングサッカースクールでは、フットサルコート大のスペースでトレーニングをしているため、どうしてもダイナミックな動きのトレーニングが不足してしまいがちです。今回のサカイクキャンプはサッカーのグラウンドで行うことができたので、広いスペースが確保できました。そこで普段のスクールではできないフィニッシュの部分にも挑戦しました。何人か関わってシュートまで持っていくトレーニングに取り組めたことは大きなポイントだと思っています」
さらにサカイクキャンプでは、新たな取り組みとして「キャンプふりかえりノート」を導入。子どもたちは、それぞれのトレーニングメニューをこなした直後に、配布された「キャンプふりかえりノート」に、メニューのポイント、できたこと、できなかったこと、などを書き込みました。考えながらプレーをしていないと、なかなか文章は出てこないものです。ふりかえりノートを、自分の頭で考えながらトレーニングをする、という意識付けに役立てました。
また、2日目の午後には『ASE』という、チームの協調性が試される遊びも交えました。そこで子どもたちには、フットボールをする上で大事なことを、遊びを通じて体験してもらいました。
●ASEプログラムとは「社会性育成のための実際体験(Action Socialization Experience)」といいます。Jリーグの各クラブでもチームづくりのトレーニングなどに取り入れられているプログラムで、個人では解決できない課題に対して、組織の力を結集して解決する課題プログラムです。考える力だけでなく、コミュニケーション能力などの社会的スキルも育むことが可能です。
●須田 敏男//
・現 職:シンキングサッカースクールコーチ
・資 格:JFA公認A級ライセンスU-12
JFA公認キッズリーダーインストラクター
・指導歴:バイヤー04レバークーゼン ユースアカデミーコーチ
福島県トレセン U-13コーチ
福島県トレセン U-11チーフコーチ
福島ユナイテッドFC U-15監督
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取材・文/鈴木康浩 写真/サカイク編集部