7月14日、スペインのバルセロナで指導者として活躍する坪井健太郎さんが「保護者、指導者が知っておくとためになる映像の使い方」というイベントに登壇し、日本とスペインの比較検証でわかった「伸びる選手の保護者」の傾向について話しました。
坪井さんは昨季までUEコルネジャのユースBで第二監督を務めていました。地元バルセロナでのUEコルネジャの位置づけは、FCバルセロナ、RCDエスパニョールというプロクラブに次ぐランクで街クラブの中では最上位にあります。その高い育成力からバルサの提携クラブの一つでもあり、毎年中心選手はバルサを筆頭にプロクラブに引き抜かれていきます。
2008年に渡西する前には日本の育成年代での指導経験を持ち、現在はJリーグで活躍するプロサッカー選手向けのプレー分析も行う坪井さんには「保護者」という視点で日本とスペインの差異や伸びる選手の保護者の共通点が見えています。今回はその共通点についてご紹介します。(取材・文:小澤一郎)
■スペインの方が感情のままに発言、ただしバルサのようなビッグクラブの選手の親は……
会の冒頭でまず坪井さんが取り上げたのは日本のメディアでも話題となったスペインの育成年代の試合における保護者同士の乱闘騒ぎでした。
「親同士が乱闘騒ぎになって、警察まで来たというケースでしたが、皆さんは動画をご覧になりましたか? 私の視点ですが、日本の保護者の方が落ち着いているというか、おとなしいです。暴言を吐くことはないですし、ベンチの反対側でしっかりと『(試合を)観ている』という印象です」
坪井さんの比較では、スペインの保護者の方が「良くも悪くも感情のおもむくままにガーっと言ってしまう傾向があります」とのこと。審判への文句やブーイングも酷く、自分の子どもがプレーするチームのコーチに対してプレッシャーをかけることも日常茶飯事だそうです。実際、坪井さんの体験談としてGKの父親が試合中、FKの壁を息子に代わって作り出すようなケースもあったそうです。
ただし、そうしたスペインでもバルセロナやエスパニョールのようなプロクラブのカンテラ(下部組織)でプレーする選手の保護者は「感情的に野次を飛ばすような人がいない」そうです。その理由について坪井さんはこう理解しています。
「バルサ、エスパニョールほどのクラブになると余裕があります。基本的にチームはずっと勝ち続けています。試合展開としても基本は有利に進んでいくので、あまりガツガツする、感情的になるような場面がありません。あともう一つ、そうしたビッグクラブになるとクラブも親を選びますし、バルサの選手の親としての振る舞いも求められます。聞くところによると、バルサくらいになると親だけではなく、選手の交友関係まで調べた上で獲るようです」
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文:小澤一郎