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スポーツで成功しなくても良い? IMGアカデミーに留学した子どもが得られるモノ

公開:2022年2月 7日 更新:2022年10月17日

キーワード:IMGアカデミーアスリートライフスキルリーダーシップ文武両道社会性錦織圭

「IMGアカデミーでは文武両道が当たり前という考えがあり、通っている生徒のことをStudent Athleteと呼んでいます。アスリートだけでもなく、生徒だけでもないですよ、と。」

50カ国以上から1200人が集まり、スポーツのスキルだけでなく社会を構成する1人の人間としての教育に取り組むアメリカのIMGアカデミー。前編ではベースとなる教育プログラムで教えられる内容について紹介しました。

後編である本稿では、実際に留学した学生の変化などを紹介。この組織で得られる経験や価値について、前編に引き続きIMGアカデミーの長期留学アドバイザー・藤村有沙さんにお話を聞きます。
(取材・文:竹中玲央奈)

 

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(写真はサッカー少年のイメージ)

 

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<<前編:人間形成が競技者としての成長を促す。IMGアカデミーが示す"ライフスキル"の重要性

 

■学業に厳しいのは"生徒の可能性を広げる"ため

IMGアカデミーでは学校での授業の出席状況や成績が、スポーツ活動にも影響を及ぼします。前編でも紹介したように、授業の無断欠席は現場のコーチにも話が通じ「『あなたは今日学校に来なかったので、トレーニングはでられませんよ』と通達される生徒もいる」(藤村さん)とのこと。

しかし、授業に"出ている"だけ良いということではありません。「試験で平均以上を取れないと、スポーツでの活動に参加できなくなります。期間は次に平均以上の点数を取るまで。IMGアカデミーでは『勉強をして当たり前』という考えがあります。なぜかと言うと、全ての生徒の可能性を広げるためです。40年間、この姿勢で取り組んでいるんです」

 

■授業に遅刻しても先生に注意されることはない

一方、興味深いのが授業に出ることを"強制"することがないという点です。

「例えば、寝坊をして授業に間に合わなくても先生から連絡がくることはありません。全ては自分の責任です。日本のように親や先生にリマインドされることはないんです。『休めばスポーツが出来なくなって、授業の成績も悪くなる。それはあなたが選んだことで、あなたの責任だからね』と。そういうスタンスでもあります」

 

■進路相談や目標から逆算した取り組みの提示などサポートが充実

「1200名の生徒に対して、生徒をあらゆる面からサポートするスタッフが900名ほど在籍しています。まず生徒それぞれにアドバイザーがついており、競技における技術での成長を教えてくれる人がいれば、進路についての相談にのってくれる担当もいます。例えば学校生活の中で、もともと目指していたプロアスリートになるのが難しいとわかったり、違う進路に向かいたいと思ったときにどうすべきか。また、大学でスポーツを続けるにあたってレベル的にどこがたりないか。そして、その目標から逆算した取り組みややるべきことを提示することも特徴です」

 

■海外で教育を受けることで育つ自主性と多様性

「1年過ごして返ってくるだけでだいぶ姿が変わってきます。留学前には感じられなかった自信に満ち溢れた姿で帰ってくるんです。それは、本人が口に出さなくても見るだけで変化がわかるほどです」

藤村さんは多くの留学生の出国前と帰国後の姿を見ていますが、その中でも変化は明確にあると言います。

「キャンパスには先生方が常にいて、相談できるリソースはかなりあるんです。その中でどう使うか。日本人の子は引っ込み思案ですが、『わからないなら助けを求めていい』と教える環境がありますし、自律性も求められるんです。保護者の方もその部分や思考力、考え方の面が変わったと言いますね。」

バスケ留学をしたある日本人の生徒は当初、英語でのコミュニケーションに苦しみ現地の仲間にからかわれることもあったそうです。しかし「確かに自分は英語はうまくないかもしれないけど、日本語と英語の2つを喋ることができる。母国語の英語だけを話している他の生徒より難しいことにチャレンジしているんだ」と考え、競技中や学校生活での自己主張・表現にはずみがついたとのこと。

 

■社会で生きる力を学べるプログラムも

これだけにとどまらず、幅広い国籍やバックボーンの仲間と触れることで感性や考え方が育まれるそうです。

「アメリカの軍隊に参加して実際に行われているトレーニングを体験したり、メキシコ山奥の村に行き、生徒でグループを組んで家造りをするワークショップなどもライフスキルのプログラムには組まれています。競技以外でもグループで同じことに取り組み、学ぶことも重要視しています。コミュニティでどう過ごしどう学ぶか。スポーツ以外でどう自分が活躍できるか、適応できるか、というところを学び試す場所もあるんです。一流のアスリートになるためではなく、社会で生きるための力を学べるプログラムとも言えます」

 

■"競技外の人間形成"が長期にわたり信頼される理由

サッカーだけでなく、野球やバスケ、テニスなどで上の世界を目指している多国籍の仲間がいて、彼ら彼女らを始め多くの人から様々な考え方を学べるIMGアカデミーは、いち教育機関として大きな魅力があります。最先端のシステムや理論で競技力向上に励むことができるのはもちろんですが、それに並列して重要視されている "競技外の人間形成" のプログラムが、長期間に渡って信頼され地位を築いている要因と言えるでしょう。

いつか日本からもサッカーの分野でIMGアカデミーを経由し、競技でも人間性でも手本となるアスリートが出てくることを期待しましょう。

 

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お話を聞かせてくれたIMGアカデミーの藤村有沙さん(後ろの写真はアメリカのIMGアカデミーの施設)

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取材・文:竹中玲央奈

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