考える力
「やる前から諦めずに戦おうと思えるようになった」たった数日のキャンプで子どものチャレンジ精神が養われる理由
公開:2022年5月11日 更新:2022年10月17日
サッカーの技術だけでなく、人間的な成長を促すサカイクキャンプ。実際参加した子どもにどんな変化があったのか、親御さんは成長を感じているのか。気になる方、いますよね。
この春サカイクキャンプに参加してくれたお子さんと親御さん、それぞれの声を聞いたのでご覧ください。
2022年4月のサカイクキャンプが3回目の参加だったリョウスケくん。2回目3回目はお住まいの岩手県から関東キャンプへ、遠距離移動をしての参加となりました。遠路はるばる繰り返し参加してくれた理由や、その後のサッカーライフの変化について伺いました。
(取材・文:小林博子)
<<たった3日間で判断力アップを実感、子どもが一回り大きく成長するサッカーキャンプの内容とは
■中学入学直前まで3回も参加
今回お話を伺ったリョウスケくんは、この春中学に入学。4月初旬に行われたサカイクキャンプが最後の参加となりました。
サカイクサッカーキャンプの対象年齢は小学生ですが、今年はコロナで活動制限の多かった新中学1年生も特別に対象になりました。
リョウスケくんのサカイクキャンプ参加歴は3回。初回は地元の岩手県会場でしたが、その後新型コロナウイルスの影響で地元開催はなく、2回目3回目は関東会場(箱根)となりました。そこまでの遠距離移動をしてでもリピートした理由は何だったのでしょうか。
■サッカーは一人ではできないから友達が大切
本人に聞いてみたところ、「いろいろなところから来た、サッカーが上手な友達にまた会いたかった」と即答。リョウスケくんにとって、大好きなサッカーを通じて出会う友達と過ごす合宿は、とても楽しいもののようです。「いろいろな人と話をするのがおもしろいし、個性の強い子もたくさんいて刺激になる」と、にっこり。
お父さんも友達との出会いが良い結果になっていると実感されているそう。「青森県で行われた試合で、サカイクサッカーキャンプで出会った子と再会できたと喜んでいました。この年齢で他県にも友達がいるのはすごいこと。息子も世界が広がったように感じているはずです」と言います。
インタビューでは度々、友達とのエピソードをいきいきと話してくれました。「サッカーは一人ではできないから、友達がとても大切」と思っているそう。学校や所属するチーム以外にも大切な友達ができたことがリョウスケくんにとって最も大きな喜びであり、笑顔でそう話す姿がとても印象的でした。
■遠方からの参加で寝不足のまま初日を迎えたことも
ちなみに、親御さんは遠距離移動に懸念はなかったのでしょうか。質問したところ、地元開催だった初回を経験していたことで、参加する意義は十分あると考え、2回目の参加も場所に関わらず許諾したそうです。
中学入学直前となるこの春、3回目の参加時、リョウスケくんは姉と一緒に夜行バスで会場に向かいました。今年3月に東北地方で起こった地震の影響で東北新幹線が運転見合わせになっていたためです。初の夜行バスということもあり、ほとんど眠れず寝不足のまま初日を迎え、体調を崩してしまうというエピソードも。
初日はコーチにより昼寝を促され、すぐに回復したそうですが、「それもよい経験」とコーチは言い、リョウスケくんもうなずきます。せっかくキャンプに来たからとにかく参加させるのではなく、1日練習できなくても大丈夫、と休ませる。そんなコーチの考え方も、大切な子どもを数日託す親御さんには安心できる点ではないでしょうか。
親元を離れて初めて宿泊のある合宿に参加する子どもが多いこともあり、子どもたちのさまざまなトラブルへの対応にもコーチたちは慣れています。サカイクサッカーキャンプはどんな失敗をしてもそれを「良い経験」に変えてくれる場でもあります。
■ライフスキルを身につけたことで好影響が続出
3回の参加により、リョウスケくんは「ライフスキル」も習得し、帰宅後の生活やサッカーなどのさまざまな場面でその効果を実感しているようです。
例えばライフスキルの1つである「コミュニケーション」では、具体的で相手に伝わりやすい声がけを意識するようになり、チームメイトとの意思疎通がスムーズに。「前よりも自分がやりたいと思うサッカーができるようになった」と話します。
また、最高学年として参加したサカイクサッカーキャンプでは下級生のお世話をしたり、「お兄さん」として頼られました。積極的にコーチの手伝いをすることで「リーダーシップ」の本質である「相手の立場になって行動すること」の大切さを身をもって体験。帰宅後も意識し続けているそう。
ライフスキルはもちろん1回のキャンプ参加でも十分な学びや気づきを得られますが、リョウスケくんは繰り返し学び実践することで、より自分らしくそのスキルを落とし込めたようです。
キャンプでは子どもの学年によって教えのテーマを設けていて、新中一生の場合は「ジュニアユースでのサッカーライフによりよく繋げること」に主眼を置いています。「ライフスキルは、サッカー選手として以前にどんな人になるかに焦点を当てて学びの時間を設けました。今までの集大成としての3回目の参加により、それをばっちり身につけたリョウスケくんの将来がとても楽しみです」とコーチも太鼓判。
そんなリョウスケくんの将来の夢は「サッカーコーチ」なんだそう! コーチになったら、サッカーもライフスキルも教えたいと意気込んでいます。ライフスキルの効果を身をもって感じているからこその発言に違いありませんね。
■ほんの数日の体験で、積極的なプレーに変化
「実は、たった数日のキャンプではサッカーのスキルに関しては目に見える成長は期待していませんでした」と語っていたリョウスケくんのお父さんですが、インタビューでは明らかにプレーが変わったと驚いていました。
特に変わったのはディフェンスで、「ものすごくガツガツいくようになった」のだとか。リョウスケくんによると、ディフェンスの変化の理由は「ライフスキルで学んだチャレンジの精神で、やる前から諦めずに戦おうと常に思えるようになった」というマインドの変化が影響しているよう。
それ以外にも、キャンプでは前日夜に翌日行うトレーニングのテーマを伝え、時間をかけてディスカッションを行い、それを全員が共通意識として頭に入れて翌日に臨んでいたこともスキルやマインドの向上には寄与していたはずですし、サカイクサッカーノートを丁寧に書くことで、「何をするべきか」が明確になったことも大きかったかもしれません。
オフザピッチでの学びがオンザピッチでも良い効果を生む好循環となった例かもしれません。
■参加を迷う親御さんへアドバイス
最後に、リョウスケくんのお父さんに、参加を迷う親御さんへアドバイスをいただきました。
「小さな子どもに宿泊を伴う合宿は迷うと思うけれど、参加させてあげる価値は大いにあります。学校やチームだけでは学べないこと、体験できないことがたくさんある場だからです」
まだまだ続くコロナ禍で、子どもの楽しみが未だ制限されている今。感染対策を万全にしたうえで、この夏も子どもたちが思いっきり楽しめる数日間を準備しています。そしてその楽しみの中にたくさんの学びがちりばめられています。ジュニア世代の選手たちの参加をお待ちしています。
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