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現地の食事を食べられることも世界で活躍するサッカー選手のバロメーター パフォーマンスを上げる食事の意識

公開:2024年5月16日 更新:2024年6月 5日

キーワード:クルゼイロジンガブラジル海外サッカー食事

「かわいい子には旅をさせよ」という言葉があります。サッカーは世界とつながるスポーツで、ボールを通じて、様々な人とコミュニケーションをとることができます。

2023年夏、「クルゼイロサッカースクール」の小学生たちがブラジル遠征を慣行した際、日本とは異なる環境の中で、言葉や文化の壁を感じながら、様々な体験をした子どもたち。

2週間弱の遠征でしたが、現地の子と日本の子では「自立の程度」に差があると感じたそうです。はたしてどんな点が違ったのか。クルゼイロジャポン指導部門責任者の小林ヒロノリコーチに、話をうかがいました。
(取材・文 鈴木智之)

 

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(写真提供:クルゼイロジャポン)

 

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■ブラジル遠征ではストリートサッカーや本物のジンガを体験

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(写真提供:クルゼイロジャポン)

 

ブラジル遠征に参加したのは、小学3年生から5年生まで、4名の子どもたち。期間は2週間弱で、成田空港からエチオピアで乗り継いでサンパウロに行き、そこからクルゼイロのあるミナスジェライス州に向かいました。

乗り継ぎを含めると、片道36時間もかかるため「往復で3日間を移動に費やしました」と小林コーチは笑顔で振り返ります。

「ブラジルでの2週間弱のスケジュールは、とても充実していました。私からは、滞在中に2~3回の対外試合を行うことと、体力を見ながら2部練習を実施することをお願いしました。午前と午後に1回ずつサッカーの活動を入れ、その中に試合も組み込んでもらいました。それ以外にクラブ側は、市内観光やお土産購入、現地の試合観戦なども企画してくれました」

グラウンドでのトレーニング以外にも、ブラジルの音楽とダンス、格闘技が合わさった、「カポエラ」を体験したり、裸足でストリートサッカーをしたり、本物のジンガ(体をゆすりながらステップを踏む動き)を教えてもらったそうです。

 

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■遠征ではどれだけ現地の食事を食べられるかが適応のバロメーター

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(写真提供:クルゼイロジャポン)

 

日本ではできない体験をした子どもたち。様子を尋ねると「若干、引っ込み思案なところも見られました」と回想します。

慣れない環境に飛び込むのは、勇気がいることだと思いますが、初めての異文化体験に対して、少し臆病になっている様子が見られました」

なかでも、苦労したのが食事です。過去に何度もブラジル遠征に参加している小林コーチは「どれだけ現地の食事を食べることができるかを、適応のバロメーターにしています」と話します。

現地の食事を受け入れられるかどうかは、サッカーのパフォーマンスにも直結します。普段食べないものでも、食べられるものを探してしっかり食べることが大切です。ブラジルの選手はよく食べます。1日5回の食事(朝食、昼食、トレーニング後の補食、夕食、夜食)があり、量も質も非常に高いです。肉料理が3種類、豆料理、ご飯、野菜、色とりどりのフルーツが並んでいました」

日本の子どもたちは、日本とは違う食文化、味付けに戸惑い、慣れるのに時間がかかったそうです。

お母さんのご飯が恋しい、日本食が食べたいと言う声も聞こえてきて、パンとバナナとオレンジぐらいしか口にできない子もいました。食事への適応は、サッカーへの適応と同じです。いつもと違うコーチ、練習内容、環境。それらを受け入れ、その中で自分を出していくことが求められます」

今回の遠征では、4人全員が食事面で苦戦していましたが、なんとか最後までやり遂げたそうです。

 

■日本人同士で固まらないよう、現地の子とペアを組ませた

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(写真提供:クルゼイロジャポン)

 

遠征中は、午前か午後のどちらかはブラジル陣のコーチが個人・グループのテクニックや戦術を、つきっきりで教えてくれました。小林コーチは「とても贅沢な時間でした」と振り返ります。

「午後は外部のスクール生を呼んで、ブラジル人の子どもたちと一緒に練習や試合を行う機会を設けてくれました。クルゼイロのトップチームの施設で練習できることは、現地の子どもたちにとっても、夢のようなことのようです」

小林コーチは日本の子どもたちに「日本人同士で固まらず、練習のペアはブラジル人と組もう」と伝えたそうです。

「そうした小さな努力の積み重ねが、異文化適応につながると信じています」

現代の子どもたちは、コロナ禍の影響で他者との関わりや、集団で行動することに対する経験が、例年以上に乏しいです。

小林コーチは「コロナ禍の子どもたちは、例年よりも2、3歳ほど、子どもっぽい印象があります」と述べます。

「だからこそ、サッカーにしても食事にしても、それ以外の時間の過ごし方にしても、いろいろな刺激を与えてあげたい。今の子どもたちは、サッカー漬けの日々を送り、親の送り迎えで完結する、狭い世界に閉じこもりがちです。サッカーを辞めてしまったら何も残らないので、サッカー以外の面でも多様な経験をさせてあげたいと思っています」

 

■海外を経験したことで、日本の価値や親への感謝に気づけることも

その狙い通り、ブラジル遠征で様々な経験をし、刺激を受けた、クルゼイロサッカースクールの子どもたち。それにより、日々の生活や親のサポートに感謝する気持ちが芽生えてくるのではないかと、小林コーチは考えています。

「2週間、ブラジルで過ごす中で、大変なこともたくさんありました。だからこそ、日本の良さに気づけた部分もあったと思います。当たり前に食べられる日本食のありがたみ、家族への感謝の気持ちなど、異文化を体験したからこそ、自国の文化の価値に気がつくことができました。日本という箱庭で育った子どもたちが、世界を見て『日本っていいな』『お母さんの料理はおいしいな』と改めて思うようになる。それだけでも意味があったと思います」

日本を離れて過ごす中で、改めて日本の良さや家族への感謝の気持ちを感じることができた子どもたち。この遠征で得た経験は、心に残り続けることでしょう。

次回の記事では、「ブラジルの保護者と日本の保護者の関わり方の違い」について、紹介します。

 

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