6月3日(日)、横浜・総合学園ヒューマンアカデミーにてサカイク主催のトークイベントを開催しました。当日は小学生の親子やジュニア指導者、高校女子サッカー選手まで多くの方が参加されました。参加者から事前にいだだいた「おしゃれは好きですか?」「幼い頃から現在まで、食生活で気をつけていることは?」「ワールドカップへどんな気持ちで臨みましたか?」などの質問に対して、永里選手と熊谷選手がこれまでの経験をもとに様々な回答をしてくれたトークイベントの後編をお伝えいたします。
Q7-おしゃれは好きですか? (小学生・女子)
大儀見:それでは本日キレイなネイルをお召しになっている永里選手からお願いします。
永里:普段ドイツに住んでいる時は、あまり必要ないのでおしゃれはしません。ただ、日本に帰ってくるとおしゃれしたいって思いはありますね。ネイルサロンに行ったり、ヘアスタイルにこだわってみたり、そんなおしゃれはします。
熊谷:私もドイツにいる時は私服などの買い物はほとんどしません。やはり、日本の服のほうがかわいいと思うので、こちらに帰国した際に服を大量に購入して、ドイツで着ています。もともとおしゃれや買い物は好きです。
大儀見:そうですね、お二人とも派手な印象はないですが、おしゃれにも色々とあると思います。自分のお気に入りのブランドや商品などはありますか?
永里:私はTOMMY HILFIGERとか好きです。
熊谷:ブランドの好みはありませんが、バッグが好きで、かわいいと結構買ってしまいます。
Q8-体が小さくても、大きい人に負けずにボールをキープする方法はありますか? (小学生・女子)
大儀見:熊谷選手は身長が高いほうだと思いますが、自分より背が低い人でも「嫌だな」と思わせる瞬間はあるのではないでしょうか。お二人とも長身である中で、こちらの質問についてはどうですか?
熊谷:なでしこの宮間選手は身体の入れ方や当てるタイミングがすごく上手いですね。私はなでしこの中で身長は一番高いですが、ドイツに行けば私より身長が高い選手や強い選手がたくさんいるので、最初は負けてでも当たりに行くという事に取り組みました。それを繰り返していくうちに自分でもタイミングをつかみ始めて、ボールの置き所なども徐々に身についていきました。その結果、今では対等にドイツの選手たちと互角に競えるようになりました。
大儀見:ということは、身体の小さいほうがそういった能力は身につくという事ですか?
熊谷:そうですね。やられても自分なりに工夫してチャレンジしていく中で、徐々に自分のモノになっていきました。
永里:私はドイツの中では小さいほうで、向こうでは最初にフィジカルの差を痛感しました。最初に行った頃はボールを持っても飛ばされたりして、そんな中で身につけたことはゴールに対して半身でボールを受けることでした。そうすると相手もプレッシャーに来づらくなり、強いフィジカルも受けなくなるので、小さくてもかわせるようになりました。あとは、ボールを置く位置ですね。相手の見えない所や届かない所にボールを置くこと。そしてボールを受ける瞬間に相手とボールの間に軸足をスっと入れて足を出せないようにして直接コンタクトを受けないようにする工夫とかもしました。
Q9-進路に悩む高3です。学生時代、どんなことで悩んでいましたか? (高校生・女子)
大儀見:ではまず、お二人はどんな学生だったのかお聞きしましょうか?
熊谷:私は北海道出身なのですが、高校の時は親元を離れて仙台の常盤木学園に進学しました。ここの高校ではサッカーをするために県外から生徒が集まってきて、高校3年間の思い出と言えばサッカーしかないです。それこそ学校へ行くか、グラウンドに行くか、くらいの(笑)それでも毎日が充実していましたし、素晴らしい仲間とサッカーができたので良かったと思っています。
大儀見:サッカー以外の楽しかった思い出はありませんでしたか?または好きな科目とか教科とかは?
熊谷:学校ではサッカー部ではない同級生たちとも仲が良かったので、そんな時間も私の中では大切でした。授業もそうですけど、休み時間や昼食の時なども楽しかったですね。
永里:私も高校の時はサッカー一筋で、学校の行事とかはあまり参加できませんでした。修学旅行も行ってなくて、それくらいサッカーに打ち込んでいました。でも、当時は初めて日本代表やアテネオリンピックのアジア予選で召集されて、期待やプレッシャーに押し潰されそうになってこのままサッカーを続けることができるのか悩んだ時期でもありました。そんな中で高校生活というのは自分の「素」を見せることが出来る場所で、私にとっては落ちつける空間でした。
大儀見:遠征の時はどうでしたか?海外にも行かれていたと思いますが、この質問は進路についての内容でしたので、もし海外に行ったときに学んだことや方向転換になったことなどあれば教えてください。
熊谷:私は高校2年の時に初めて日本代表に呼ばれて、海外で試合ができるというのは嬉しかったですし、そういう中で自分に足りなかったものや、高校の部活では得られないような経験ができたのは良かったと思います。日本代表として過ごした時間は充実していて刺激にもなりました。
Q10-幼い頃から現在に至るまで、食生活で気をつけていることは? (公務員・女性)
熊谷:幼いころは残さず食べるという事、これをまず守りました。現在は作るところから全て自分でやっているので、体調や経験から運動量に見合った栄養を取るように考えています。
永里:私は小さいころ好き嫌いが多く、親にも苦労をかけたと思います。でも全部食べるように厳しく言われていたので、泣きながら嫌いなものを食べたこともありました。でも母親がすごく気を使ってくれて、サッカーで常にいいプレーができるよう常に考えながら料理を作ってもらえました。今現在では自分で自炊していて、一番気をつけていることは運動量と摂取カロリーです。また、毎日同じものを食べていますが、食生活によりパフォーマンスがどう影響していくかというのも試しながらやっています。
熊谷:私は好き嫌いが全くないです。基本的に食べたいものは食べますね。もちろん、食べる量は考えますけど。
大儀見:永里選手は毎日同じものを食べているようですが、飽きない工夫はされていますか?
永里:私の食生活はすごくシンプルで、例えばニンジンとブロッコリを茹でただけのものだったりすると味付けが重要になってきます。そこで、ドレッシングや調味料で味付けを変えるのですが、日本から持ってきたお気に入りのドレッシングなどをつけて食べながら飽きないようにしています。
大儀見:食生活に関しては、小学生は伸び盛りですし高校生もそうですが、とにかくたくさん食べること!これに尽きますね。私は10年間中学生の指導をしていますが、毎週のように遠征に行く際、食事の時はご飯の取り合いになります。とにかく食べます(笑)でも、よく食べる子たちは粘り強いです。いっぱい食べて、いっぱい吸収することが大事だと思います。
Q11-ドイツの学校に通っています。サッカーがなかなか上手くならず、男子に入れてもらえないこともあります。どう練習したら上手くなれますか? (中学生・女子)
熊谷:何に取り組むとか、どう考えるかよりも、私はどんな練習でも続けることが大事だと思います。自分が上手くなるためには、どんなプレーをしたいのか、どんな選手をめざすのか、そうなるために何が必要なのかを常に考えてやり続けることだと思います。
永里:ほかの選手がやっていないような練習をすること。周りと同じ練習をやっていたら、そこまでのレベルにしか到達しないので、それ以外のところで工夫して練習することで、周りの人たち以上のものを身につけることができるのだと思います。どうやったら上手くなるか、どうやったら成長できるかということを考えながら自分なりに工夫していくことが大事ですね。
大儀見:さらに言えば、自分の武器を作る。これも大事なことでしょうね。自分のいいところをもっと伸ばすために、工夫しながら取り組んでいくことも必要ではないでしょうか。
Q12-ワールドカップへどんな気持ちで臨みましたか? (会場の小学生・男子)
熊谷:私はワールドカップが始まる前にドイツのフランクフルトに移籍することが決まっていたので、ドイツでまずやれるというのが嬉しかったです。また、決勝の地がフランクフルトだったのもよかったですね。私自身、アジアではなく本当に世界を相手にした大会は初めてだったので、どこまで通用して何が足りないのか知りたかったですし、色々チャレンジしてみたいと思いました。
永里:私の場合はドイツに渡ってから1年半経過して、ドイツでこれまで積み重ねてきたものをワールドカップという場でどれだけ通用するのか試してみたいという気持ちで挑みました。
Q13-ワールドカップの中で一番印象に残ったプレーは何ですか? (会場の小学生・女子)
永里:メキシコ戦での後半2本目のダイビングヘッド!ですね。入りませんでしたけど。。
熊谷:私の中では決勝戦での2失点目ですね。何よりも悔しい失点でしたし、成功したプレーではありませんが、きっと自分の次につなげるという意味では一番印象に残っています。
さいごに-永里選手&熊谷選手から、参加者のみなさんへメッセージと・・・オリンピックに向けて、意気込みをお願いします!
永里:去年、ワールドカップにおいて優勝することができ、日本の皆さんからの期待や様々なプレッシャーが高まる中で今回のオリンピックに挑みますが、逆にそのプレッシャーを楽しみながら自分たちが積み上げてきたものを表現していきたいですね。もちろん金メダルを目指しますし、そのプロセスにおいても自分自身が納得できるように挑みたいと思います。皆さん、どうか応援よろしくお願いします!
熊谷:ワールドカップからドイツへ渡り、おかげさまで1シーズンを無事終えることができました。自分自身がドイツで学んだことや積み重ねた自信を、オリンピックの舞台でどれだけ出せるかということと、さらにチャレンジすることをめざして頑張りたいと思います。皆さん、応援よろしくお願いします!
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取材・文・写真/サカイク編集部