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サッカーのトレセンに選ばれる子のはどんな選手? 日本サッカー協会が選手たちに求めること

公開:2017年10月26日 更新:2024年1月19日

キーワード:JFAトレセン日本サッカー協会考える

小学校高学年や中学生になると「セレクション」「地区トレセン」「ナショナルトレセン」といった言葉を聞くと思います。低学年のうちはボールを蹴ることが純粋に楽しかった子どもたちも、向上心が芽生え、よりステップアップしたいと思うようになります。「トレセン」は自分のチームから出て、各チームから選抜された選手たちと一緒に個の技術を磨く場です。

ですが、サッカー経験者であれば耳なじみのある言葉ですが、サッカー経験のない保護者の方の中には「トレセン」という言葉は知っているけれど、実際にはどんなところ? どういう選手が選ばれているの? 選考基準や合格しやすいポジションはあるの? と思っている人も多いのでは。

そこで、トレセンについて、日本サッカー協会(JFA)のユース育成ダイレクター 須藤茂光さんにお話しを伺いました。(取材・文:前田陽子)

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(写真はサカイクキャンプのものです。トレセンとは関係ありません)

■トレセンの目的は「チーム」ではなく「個」のレベルを高めること

まず、トレセンというのは「ナショナルトレーニングセンター制度」を指す言葉で、日本のユース育成の中心的役割を果たしている選手育成の取り組みのことです。

JFAのホームページを見ると、トレセン制度について、次のように書かれています。

『日本サッカーの強化、発展のため、将来日本代表選手となる優秀な素材を発掘し、良い環境、良い指導を与えることを目的に始まったこの制度は、男子はすでに25年を経て、さまざまな変革を行いながら、組織的にも活動内容においても充実したものとなり、トレセンを経験した選手から各年代の日本代表選手の多くが選出されるようになりました。

トレセンでは、チーム強化ではなく、あくまでも「個」を高めることが目標です。世界で闘うためには、やはり「個」をもっともっと高めていかなくてはなりません。レベルの高い「個」が自分のチームで楽にプレーができてしまって、ぬるま湯のような環境の中で刺激なく悪い習慣をつけてしまうことを避けるために、レベルの高い「個」同士を集めて、良い環境、良い指導を与えること、レベルの高い者同士が互いに刺激となる状況を作ることがトレセンの目的です。テクニックやフィジカルの面から、その「個」のレベルに合ったトレーニング環境を提供することは、育成年代において非常に重要な考え方です。』

■トレセンの仕組み

トレセンは男女別で、男子はU-12、U-14、U-16と3つの年代に分かれており、主に小学生高学年から高校生を対象にした選抜メンバーとなります。

所属チームから推薦を受けた選手は、まず、地区トレセンの選考試験を受けます。合格すると練習会に参加することができ、そこで監督やコーチたちの目に留まると、都道府県ごとのトレセン、全国を9ブロック(東北、関東など)に分けた地域トレセン、ナショナルトレセンとレベルアップしていきます。その先に、皆さんもよく耳にするU-23のオリンピック代表などのアンダー世代のチームがあり、W杯でも日本を湧かせたフル代表があります。いわば、優秀な人材を見逃さぬよう全国のサッカー少年少女に網が張られている態勢になっているわけです。各年代ごと・地域ごとにある数多くのトレセンが、同時進行で選手の発掘育成をすることで将来の日本代表が作られていくのです。

■トレセンでの活動

普通のサッカークラブでは週2~3回ほどの練習があって、場合によっては毎週のように試合があると思いますが、トレセンは違います。集まるのは多くても月に2回程度、試合も月に1回あるかないかです。

メインの活動は所属するサッカーチームで行い、その成果を見せる場所がトレセンだと言えるでしょう。もちろんトレセンでも、JFA認定のライセンスを保有した指導者の元で質の高い練習も行われますが、練習回数も限られるので、現状の課題などを指摘しつつ、その部分を修正するためのトレーニング方法を伝えるくらいの補足的なものになります。日本代表の選手が、普段は所属するプロチームで練習・試合をして、代表に招集されるのは代表戦の時だけ、とイメージすれば分かりやすいでしょうか。

地域によっては、近隣の地区トレセンや都道府県トレセン同士でリーグ戦を行っているところもありますが、あくまで選手の発掘育成が目的で、優勝を目指して行うようなものではありません。

■トレセンに選ばれるには?

「トレセンに早く選ばれて、いつかは日本代表に!」という夢を描いていても、まず地区トレセンの選考試験を受けるのにはコーチの推薦が必要となります。ですので、まずはどこかのチームに所属していなくてはいけません。そして、そのチームでしっかり活躍することが、トレセンに選ばれる第一歩となります。

また、前述のように、トレセンは「チームを強くすること」が目的の集まりではなく、将来の日本代表を担う「個の能力」の発掘と育成に主眼がおかれています。したがって、自ずと選手選考の視点も変わっていきます。

「トレセンコーチが選考の際に見るのは、まずはテクニックです。そしてスピード。スピードがある、無いはプレーの判断スピードを上げ、動き出しを速くすることでカバーできる部分もありますが、単純な走力は、大人になってから身につくものではないので重要なポイントになります。さらに、身体が大きいなどの、他の選手より優れた特徴がある子を見ていると思います。ただし、あくまで優秀な選手に成長するために備えていてほしい要素であって、これらが全てではありません」と、須藤さん。

ですので、トレセンに選ばれるために普段から特別に実践することはありません。まずは自分のチームで活躍すること。それによって「この子をトレセンで呼びたい」「トレセンに行かせてみたらどうだろう」とコーチたちが考えるようになるのです。

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(トレセン制度 日本の場合は高校や大学から代表選出のルートもある)
次ページ:もう一つの目的「天井効果の排除」とは

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文:前田陽子

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