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蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~

息子が極端にミスを恐れるのは厳しいコーチである私のせいなのか問題

公開:2019年10月23日

キーワード:コーチサッカーチームメイトミスが怖い人見知り内向的指導者消極的父親

何年も同じ学校の友達とサッカーをしているのに、小3でまだチームに馴染めなず、極端にミスを怖がる息子。馴染めなさは、サポートコーチをしている私に息子のチームメイトが「点とってハイタッチに行っても喜んでも笑ってもくれない」と言ってくるほど......。

これまで口調は悪いながらも息子と色々話してきたつもりだったが、自分の育て方が厳しすぎたのか。サッカーをやめたいとは言わないから、自分が原因ならコーチをやめ、チームと距離を取った方がいいのか...... とお悩みの親御さんからご相談をいただきました。

今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、ご自身の体験と数々の取材活動で得た知見をもとに、アドバイスを送ります。お父さんが変われば息子さんも変わります。(文:島沢優子)

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(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)

 

<<負傷者を起用してまで勝ちたがる監督。出場できない息子が不憫で連れ帰った問題

 

<サッカーパパからのご相談>

小3の息子は年中からサッカーを初め、小学校入学からは通っている小学校の少年団に所属しています。私はその少年団のサポートコーチもしています。

今回は、引っ込み思案で未だにチームに馴染めない、そして極端にミスを怖がるのをどうしたらいいかご相談させてください。

私の育て方が厳しすぎたのか、引っ込み思案な子で、未だに誘われないとチームの輪に入れません。この間、チームの子に「○○くんは、僕が点をとってハイタッチにいっても喜んでくれないし、笑ってもくれない」と言われてしまいました。

あと、極端にミスをすることを嫌います。

そもそも運動はダメな子で、足も遅くチーム内でダントツで最後。でも、練習はまじめにやっていてやる気もあるように見えるし、それなりに成長していてうまくなっているように見えるのですが、試合ではまったく力を発揮することができません。

練習でできていることが試合でもできればもっと試合に出してもらえるはずなんだけど」と毎試合思って、残念でなりません。

これまで、口調は悪いなりにも息子といろいろな話をしてきたつもりですが、これ以上同じことを何度も言うのもよくないかなとも思い始めています。

それでも、これまでサッカーをやめたいとは言ったことがありません。

私がわからないのが
1.同じ学校の子ばかりのチームの輪に、3年生でまだ入っていけないこと
2.練習でできることが試合でできないこと
3.試合で闘争心がまったく見えないこと
4.そんな状況でもサッカーをやり続けたいということ
です。

正直、どう息子と向き合っていいのかわからなくなってきています。自分が原因なら自分がコーチをやめ、距離をとったほうがいいのかもしれないとも思っています。

アドバイスをいただければ幸いです。
よろしくお願い致します。

 

<島沢さんのアドバイス>

お父さん、よくぞ相談してくださいました。ありがとうございます。

NHKのチコちゃんなら他人事。笑っていられるけど、ご自身のことです。シマザワさんに叱られる。おまえがダメだと怒られるだろうと思いながらも、八方ふさがりになってメールをくださったのでしょうね。

 

■厳しすぎるのではなく、構いすぎている

結論から申し上げて、お父さんの子育ては「厳しすぎる」のではなく、「構いすぎ」ていて、少し間違っています。

誘われないとチームの輪に入れないのは、その子の性格もあるかもしれません。ただ、仲間が点をとってハイタッチにいっても喜ばないのは、サッカーを楽しめていない証拠だと思います。それは怖いお父さんの目があるからです。

極端にミスを怖がるのも、お父さんが怖いからです。試合で力を発揮できないのも、ミスをしたらどうしようと委縮するからです。

「練習でできていることが試合でもできれば、もっと試合に出してもらえるはずなんだけど」と毎試合思って、とありますが、その理由を考えましょう。そのことを子どもがダメなやつだから、で終わらせてはいけません。試合でできないのは、前述したようにミスを恐れて萎縮し身体も頭も動かなくなるからではないでしょうか。

もっといえば、練習でやったことがすぐに試合でできるなんて思ってはいけません。できないから、練習を続けるわけです。

「これまで、口調は悪いなりにも息子といろいろな話をしてきたつもり」とあります。口調が悪いのは直しましょう。感情的になると人は口が悪くなります。感情的な親の話は、子どもの心に入りません。また、息子さんが話をしたのではなく、ほとんどお父さんがお説教をしていたのではありませんか。彼の気持ちを傾聴することが重要です。

 

■お子さんが抱えている二つの「怖い」という感覚

お父さんがわからないという以下の四つのことに答えます。


1.同じ学校の子ばかりのチームの輪に、3年生でまだ入っていけないこと
⇒集団ですぐに慣れるかどうかは個人差があります。ほかの子ができているからその子もできるわけではありません。

2.練習でできることが試合でできないこと
⇒上でご説明したとおりです。

3.試合で闘争心がまったく見えないこと
⇒闘争心は、本人が「サッカーをうまくなりたい!」「勝ちたい!」と自己決定して初めて湧き上がってくるものです。父親の目に委縮している息子さんに期待するのほうが間違っています。

4.そんな状況でもサッカーをやり続けたいということ
⇒これは二つ考えられます。お父さんが怖くてやめたいと言えない。もうひとつは、お父さんが自分から離れてゆくのではないかという「置き去られ恐怖」です。
この「言うことを聞かないと、親が自分から離れていくのではないか」というこの感覚は、虐待を受けてる子どもに多く見受けられるものです。叩かれても、蹴られても、児童相談所に引き取られると、「おうちに帰りたい」と訴える子どもは多いのです。

一番良いのは、お父さんがコーチを辞めることです。ほかにもコーチがいて事情が許すなら、理由を言って辞めたほうがいいです。息子さんと離れましょう。試合を観に行くのもやめましょう。

そして、お父さんは充電しましょう。子育てを勉強し直しましょう。


今の親世代が受けたポピュラーな子育ては、子どもを抑圧し、叱って、怒鳴って、「だからおまえはダメなんだ」と脅す教育です。ところが、時代の流れに伴い、それらは1990年前後から本格的に見直されつつあります。少し的を外せば、児童虐待につながるという危険性がはらんでいるという深刻な理由もあります。

よって、みなさん学びなおしています。夫婦で話し合ったり(時に罵り合ったり)、他人のよい子育てを見習ったり、その逆で反面教師にしたり。そうやってみなさん、どうしたらわが子が成長できるのか。わが子の人権を守って親として寄り添えるのかを懸命に考えています。

が、お父さんはどこかでブラックホールに落ちてしまったんでしょうか? それとも、他人にアドバイスを求めるのが苦手ですか?

 

次ページ:息子さんのこころが心配。お父さんが変われば息子さんも変わる

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文:島沢優子

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