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子どもが心からサッカーを楽しむための「サカイク10か条」
子どもが夢中でサッカーを楽しむために 親が取るべきスタンスとは?
公開:2017年10月 4日 更新:2023年4月10日
お父さんやお母さんに大切にしてほしい"親の心得"をサカイク10か条。前回は、JFAの指導者養成インストラクターを務め、キッズプロジェクトメンバーとして育成に深くたずさわる中山雅雄さんにサカイク10か条をご覧いただき、「子どもへの接し方」について話をうかがいました。
今回も引き続き、「子どもとの向き合い方」などジュニア年代の子を持つお父さんお母さんにとってヒントになることを聞きました。(取材・文:サカイク編集部)
子どもが心からサッカーを楽しむための「サカイク10か条」1.子どもがサッカーを楽しむことを最優先に考えよう2.今日の結果ではなく、子どもの未来に目を向けよう3.子どもの力を信じて、先回りせずに見守ろう4.子どもは小さな大人ではないことを理解しよう5.コーチやクラブの考えを聞いてみよう6.ダメ出しや指示ではなく、ポジティブな応援をしよう7.あなたが子どもの良いお手本になろう8.子どもの健康や安全に気を配ろう9.サッカー以外のことを大切にしよう10.笑顔で子どもとサッカーを楽しもう
■親は自らの感性を信じて親子関係を築くべき!
最近は、親子関係の距離感が近くなっていることが指摘されています。父と息子、母と娘などが友達のような関係を持つ一方で、その弊害の一つとして親の過干渉がうたわれています。
中山さんはご自身の経験からこう言います。
「私も4人の子どもを持つ親ですが、何人かの子どもの大学の入学式に出席しました。ひと昔前であれば、あまり見られなかったことです。最近では、大学の入学式に親が出席するのは当たり前の時代に変わりました。このように子育てに関わる出来事も時代背景によって形を変える一面があります」
「だから、子育てでも昔のように叱るだけでなく、褒めることを取り入れるようになったのだと思います。でも、両方が必要なことに変わりはありません。子どもをしつけるところはしつけ、守るところは守ってあげる。私はサッカーの指導にも子育てにもその両方が大事だと強く言い続けています」
そのうえで、現代の子どもたちに抱く印象を語ってくれました。
「私は大学教員として25年以上働いていますが、今の子どもたちに対しては打たれ弱い印象を持っています。でも、正しくないことをすれば叱って"正しいこと"を厳しく伝えることは親の務めであり、大人の責任だと思います。本気で子どもにぶつかる時も必要だし、そうしなければ気づかないことがあります」
■親自身も日々学ぶことで自信を持とう
サッカーでは年齢が上がるとともに成功の壁が高くなります。当然、それに比例して失敗による落胆も成功による喜びも大きくなります。だからその分、お父さんお母さんも子どもたちとの関わり方が難しくなるし、壁が高くなるほど子どもと関わることに勇気が必要になります。
「私はお父さんお母さんも自分の感性を大切にしてほしいと思っています。子育てに正解はないし、本やインターネットに載っているような情報を参考にして自分なりのアレンジをすることは大事ですが、もっと感情を表に出して子どもに接することが必要だと思っています。保護者の皆さんには自分に自信を持って子育てをしてもらいたいと思います。それが子どもに伝わりますから。その自信を得るために、大人にも感性を磨くことや学びが必要です。簡単なことではありませんが、見聞きする情報だけに惑わされず、他の子と比較して一喜一憂しないこと。子どもの成長速度は各々異なります。まずは自分の感性を信じて親子関係を築くことがベースだと思います」
■中途半端な応援ではなく、全力でサポートしよう!
子どもは成功と失敗を繰り返して成長していきますが、お父さんお母さんも同じです。結果だけに左右されず、その過程における努力をしっかり認め、失敗すればその原因と解決策を子ども自身が見つけられるように親が問いかけ続けることが大切です。
そして、子どもが大きな夢や目標に向かってチャレンジしたいという思いがあるのであれば、お父さんお母さんから見た可能性で判断するのでなく、本気で子どもと一緒に走ることも時には必要なこともあるでしょう。
「お父さんお母さんがサッカーと勉強を両天秤にかけてどちらも取り組ませたい気持ちは理解できます。ただサッカーの上達には集中的に時間を割かなければならないこともあり、両立は努力が必要です。進学等に伴い、いずれはサッカーを辞める選択をするかもしれませんが、それまでは中途半端な気持ちではなく全力でわが子の取り組みを応援しましょう」と 中山さんは言います。
実際、中山さん自身はお子さんたちのスポーツ活動についてこのように接していたのだそうです。
「うちの子どもたちもバドミントンやバスケットボールをやっていました。練習を見に行ったことがありますが、お世辞にも才能があるタイプだとは言えないと思いました。でも、部活動や試合での出来事をああだこうだと楽しそうに話をするので、それを聞きながら妻と一緒に子どもたちを応援していましたし、サポートしていました」
「親の力では、下手を上手にするようなことはできませんし、足を速くしたり手先を器用にしたりすることもできません。でも、子どもたちが一生懸命にやるのであれば全力で応援してあげて『いつか上手くなるはずだ』と信じてサポートしてあげることはできます」
■夢中になって打ち込むことで得られるものがある
好きこそ物の上手なれ。一生懸命、夢中になって打ち込むからこそ得られるものがあるのは間違いありません。そして、中途半端に取り組めばその分しか得られるものがないことも間違いありません。たとえ、子どもが自らの打ち込むスポーツで成功しなかったとしても、努力やそのプロセスの中で学んだことは人生の糧になるはずです。最後に中山さんがこんな言葉をかけてくれました。
「子育てにおいて答えは一つではありません。他のお父さんお母さんのやり方を聞いたとしても、自分の子どもとのかかわりにそれが当てはまるとは限りません。ただ一つ言えるとすれば、お父さんお母さんも子どもと同じように子育てにチャレンジしないといけないということです。自分の子どもに失敗させたくないという気持ちはわかりますし、そのチャレンジが難しいことも重々承知しています。でも、お父さんお母さんも手探りで子育ての答えを一つひとつ見つけていくしかないのです」
■他の子と比較して落ち込まない事が大事
サッカーにおいて、子どもに大人と同じことを教えても理解することはできませんし、子どもが大人と同じようにプレーすることはできません。その年代なりのアプローチをして、少しずつ学んでいく事が必要なのです。
また、前述の通り成長スピードは子どもによって違います。仮に、同じ年代のチームメイトができるプレーをわが子ができなかったとしても、焦ったり落ち込んだりせず、成長を見守りましょう。
お父さんお母さんが自信を持って、自分の感性を信じて子どもに接する姿はきっと伝わります。それが子どもたちにとっては安心感につながるでしょうし、大好きなサッカーに打ち込む力になるはずです。そうすれば、きっと子どもが夢中で楽しくサッカーをするのではないでしょうか。
中山雅雄(なかやま・まさお)
筑波大学体育系准教授/JFA技術委員会指導者養成部会員/JFAキッズプロジェクトメンバー。
サッカーコーチング論やスポーツ心理学を中心に筑波大学で教鞭を執る傍ら、JFA技術委員会指導者養成部として、指導者養成のためのカリキュラム作りや、講習会でのインストラクターを務める。また、JFAキッズプロジェクトメンバーとして、キッズプログラムの検討、作成も担っている。
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取材・文:サカイク編集部
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