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バルセロナ発!賢い選手を育てる指導法
「コントロール・オリエンタード」を身につけるトレーニング【グローバル・メソッドの指導実践④】
公開:2012年9月13日 更新:2013年6月 6日
「ヨーロッパチャンピオンズリーグで活躍する選手」の育成をテーマに、FCバルセロナの練習内容、分析、改善、コーチの育成なども手がけ、シャビやプジョルなど多くの選手からの信頼もあついサッカーサービス社。彼らが実践する「グローバル・メソッド」のトレーニングメニューを4つのテーマに沿って紹介しています。
「コントロール・オリエンタード(Control Orientado)」とは
スペイン語で「方向づけをしたボールコントロール」の意味を持ちます。トラップと聞くと「止める」イメージがありますが、実戦の中では、立ち止まってボールを受ける場面はほとんどありません。次のプレーをしやすくするためには、視野を確保するための身体の向き、自分がプレーしたい場所へと方向づけしたコントロールが必要となります。そのためには、味方からパスを受ける際に、ボールにおへそを向けた(正面を向いた)状態では、視野が狭くなってしまいます。ボールに対して半身で受け、ファーストタッチを足元に止めるのではなく、次のプレーを考えて、身体とボールを方向づけすることが重要です。シャビやイニエスタが止まることなく連続したプレーをできるのも「コントロール・オリエンタード」を高いレベルで習得しているからなのです。日本代表では、遠藤保仁(ガンバ大阪)、香川真司(マンチェスターユナイテッド)らが、このプレーに優れた選手です。
■テーマ4 『コントロール・オリエンタード』
練習メニュー ゾーンを分けた4対4+GK+フリーマン
【進め方】
- 長方形のグリッドを作り、ピッチを3つのゾーンに分けます。
- ゴールに近いゾーンAには各チームから1人ずつ。中央のゾーンBには攻撃側のフリーマンを置き、各チーム2人ずつの選手が入ります。
- GKが同じゾーンAにいる味方にパスを出し、ゲームがスタート。
- 中央のゾーンBにいる攻撃側の選手の1人が、ゴールに近いゾーンAに降りて、GKを含み3対1の状況を作ります。ゾーン間の突破はドリブルやパスではなく、コントロール・オリエンタードで行います。
- ゴールが決まる、もしくはピッチの外へボールが出たら、相手チームのGKからプレーを再開します。試合の中でDFがボールを奪ったら、GKへバックパスをして、GKボールから始めます。
【トレーニングのポイント】
●コントロール・オリエンタードでライン突破
ゲーム形式の中でコントロール・オリエンタード(方向付けたトラップ=次のプレーにつながるコントロール)を身に付けます。コントロール・オリエンタードでラインを突破するのは、どの選手でもOKです。
【コーチングの例】
「前にスペースがあるときは、足元にボールを止めない。ボールとゴールの両方を見られる身体の向きを作り、コントロール・オリエンタードでラインを突破しよう」
「パスを受けられる位置でサポートできている?」
【サッカーサービスからのアドバイス】
●適切なコントロールで前進する
この練習もグローバルメソッドのトレーニングメニューです。試合の中で実際に起こりうる状況を作り、それに即した形でトレーニングをします。大切なのは、味方がボールを持ったときにパスを受けられる位置に入ること。そしてパスを受けた際には、前にスペースがある場合は適切なコントロールで前進することです。
●テーマを明確に集中してトレーニングする
正しくサポートをすることができれば、2対1、3対2と数的優位なので、前のゾーンへと進むことができます。トレーニングをする際、一度に多くのことを選手たちに要求すると、なにをすればいいのか混乱してしまいます。トレーニングごとにテーマを明確に設定し、それに対してのみ集中的に指導をするようにしましょう。
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ジョアン・ビラ・ボスチ//
Joan Vila Bosch
FCバルセロナでクライフと共にプレーし、引退後はバルサの下部組織で14年間監督を務めた。現在はバルサのメソッド部門ディレクターとして、下部組織におけるトレーニングの進化・改善、コーチの指導を担う。監督時代はシャビ、プジョルなど現在のバルサの中心選手を育てた。
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取材・文/鈴木智之 写真/小川博久 取材協力/株式会社Amazing Sports Lab Japan
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