正確にボールを止めて蹴ることは"普通の練習"でもうまくなる!
プロになってからも、ずっとボールを止めることにこだわってきました。こだわってきたと言っても特別なメニューをこなしてきたかというと、そうではありません。
サッカーをプレーされたことのないお父さんお母さんはご存知ないかもしれませんが、練習前のウォーミングアップで『対面パス』という2人1組になって、パスを出し合うメニューがあります。どこのチームでもやるようなことだから、正直何となく止めて、なんとなく蹴っている子が多いかもしれない。みなさんのお子さんはどうでしょうか。
キックの上達法は「人のマネではなく自分の型を見つけること」
サッカーの実用書には、軸足をボールの横に踏み込んで、右足を開いて前に押し出すというような解説が載っています。でも、それがみんなに当てはまるとは言えません。なぜならキックというのは、人間の身体つきと大きく関係しているからです。
例えば、僕はガニ股なので、最初から足が外側を向いています。だから、インサイドキックのときは、そのまま足を前に押し出せばいいので、すごく蹴りやすい。僕が試合中、ほとんどインサイドで蹴っているのは、それが一番速くて、正確だからなんです。逆に、アウトサイドキックは蹴りづらいので、あまり使いません。
足が遅いのなら「正確に止めて蹴る」プレーを磨こう!
子どもたちのサッカーを見ていて「もったいないな」と思うことがあります。それが、早いタイミングで蹴ろうとしたとき、ボールを雑に止めている選手が多いこと。恐らく、「速く蹴らなきゃ」と焦ってしまって、ボールを止めるところに意識が向いていないのでしょう。
逆に、ちゃんとトラップしてから、しっかりとパスを出せば、味方の選手がいるところにボールが通るし、スムーズにトラップできる。一見、ゆっくりとボールを止めているように見えても、そのほうが結果的には速くなります。
パスは味方へのメッセージ。いつも「強くて速いパス」が正解ではない
現代サッカーは「パスゲーム」だと言われています。当たり前ですが、ドリブルだけでサッカーをすることはできません。ボールを持った選手がシュートばっかり狙っていては試合にならない。
サッカーの最大の目的である「ゴール」を決めるためには、パスをつないで、ドリブルを仕掛けやすい状況や、高い確率でシュートが決まる状況を作り出すことが重要になります。
では、しっかりとパスをつなぐためにはどんなことが大事になるでしょうか? 僕はパスに「メッセージ」をつけることだと思います。
「相手に予測されない蹴り方」と「状況に応じたキックの使い分け方」
キックについて、僕が心掛けているのは、相手に読まれないように、できるだけコンパクトな振りで蹴ること。ボールを蹴るときは、勢いをつけるために足を後ろに振り上げる「テイクバック」と呼ばれる動作が入ります。
同じ場所から、同じようなキックでパスを出しても、相手にカットされてしまう選手と、ちゃんと味方につながる選手がいます。その大きな要因はテイクバックの違いにあると思います。
テイクバックというのは、いわば「これからキックをする」というメッセージを相手に伝えているようなもの。その時間が長ければ、守る側の選手は準備もできます。
サッカーで速いボールを正確にトラップするコツは『軸足』
ボールを止める時は、「ボールに触る足」ではなく、「もう一つの足」つまり『軸足』に注目してください。そこに速いボールを止めるコツが隠されているからです。
KENGOアカデミーのDVDでは、僕がボールを止めて、蹴るというシーンが、それこそ何百回と入っています。その中で、速いボールがきたときに、僕が"あること"をしていることに気がつくはずです。
何だかわかりますか? 正解は「軸足を浮かしている」です。