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池上カップ開催レポート

サッカーをもっともっと楽しめるように。「池上カップ」を通して、池上正コーチが伝えたかったこと。

公開:2017年12月 5日 更新:2021年1月27日

■ワンツーができたら、やらなくてもいいこと

池上カップは、試合だけを重視しているわけではありません。今大会でも実は、ゲームが始まる前の時間に、まずは合同練習の時間が設けられていました。

池上さんはまず、「好きなゴールに向かって5点取ってきてください」と、ドリブルでゴールを奪うところから、この練習はスタートしました。

続いて、小さなピッチをいくつも用意し、そこで4対4、もしくは5対5のミニゲームを行いました。その際のチームは、参加したチームの仲間ではなく、別のチームの選手と組むことを促しました。子どもたちは、初めて一緒にボールを蹴る仲間と懸命にゴールに向かって走っていきます。そしてゲームが終わると、池上さんは「楽しかった人?」と子どもたちに問い掛けました。すると、ほとんどの子どもが手を挙げます。

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これがサッカーなんです。これが、試合をするということ。みなさんには、そういうところが楽しいと思えるようになってほしいですね

池上さんが伝えたかったのは、何よりもまず、「サッカーとは楽しいもの」だということでした。サッカーを続けていく上で、技術や戦術、仲間との連係など、覚えることはどんどん増えていきます。でも原点にあるのは、ボールを蹴る楽しさや仲間とゴールを目指す喜び、そういうことなんじゃないかというメッセージが、そこにはありました。

そして、「じゃあ、サッカーがもっと楽しくなるように、今日はちょっと役立つことを伝えたいと思います」と、子どもたちに3人1組となることを促し、そこで2対1の状況でのトレーニングを始めました。2対1の次は、4人1組となって3対1で"鳥かご"のパス回しに移ります。その後、もう一度、2対1をした後、3人の連係でゴールを狙う練習をして、最後にもう一度、4対4のミニゲームを行いました。

ここにもメッセージが詰まっていました。2対1では、相手を引き付けて裏を狙う動きが必要になります。そこに3人目が加われば、今度は動き直しの中での連係が生まれます。サッカーでは、シンプルな駆け引きで裏を取ることができると同時に、3人になれば、味方の動きを見ながら、パス1本で簡単にゴールに向かっていくことができるのです。

ワンツーができると、やらなくていいことがあるよね?

池上さんがそう問い掛けると、子どもたちは、「ドリブル!」と答えます。池上さんは続けて、「じゃあ、それは誰が嬉しいかな?」と問います。子どもたちの答えは、「みんなが嬉しい」ということでした。「ドリブルだけだと、もしかしたら一人だけが楽しいかもしれないけど、『ドリブルをしなきゃ......』ではなく、『パスいくよ!』という気持ちになれたらみんなで楽しめるし、その方がうまくいくかもしれないよね」。池上さんは、このトレーニングを通して、サッカーの楽しさを伝えるとともに、繰り返しの練習によって、試合の中で生きる技術の使い方を、選手に実感してもらいたかったようです。

こうして、その後に続く実際の試合では、「じゃあ今日は、ワンツーからのゴールをたくさん狙ってみよう」と、子どもたちに一つのテーマを投げ掛けたのでした。

次ページ:大人が離れた時こそ、子どもは力を発揮する

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