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アホ、ボケ、ヘタクソ、もう来るな!コーチに暴言止めさせたい問題

公開:2019年12月 4日

キーワード:コーチ人格否定保護者嫌なら辞めろ小6心療内科暴言睡眠障害良い指導者

アホ、ボケ、ヘタクソ! コーチの人格否定発言がすごい。世の中にはそういった大人もいるので悪い見本とすることもできるけど、親としてそういう大人を放置するのは罪悪感も感じる。

コーチの暴言指導を辞めさせるにはどうアプローチすればいい? とのご相談をいただきました。

今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、ご自身の体験と数々の取材活動で得た知見をもとにアドバイスを送ります。

学校での出来事なら校長や教育委員会などに相談できるけど、街のサッカーチームの場合はどこに相談すればいいの!? という疑問を持つ親御さんも参考にしてください。(文:島沢優子)

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(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)

 

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<サッカーママからのご相談>

こんにちは。小6なので活動期間は残り少ないなのですが、子どもの指導者のあり方について釈然としないのでご相談させてください。

コーチの人格否定の言動がひどいです。

「アホ」「ボケ」「ヘタクソ」「もう来るな」など。

そういった言動をやめてもらうためにはどうしたらいいでしょうか。

学校の先生の発言であれば、校長や教育委員会などに相談することも考えられますが、地域のサッカーチームのコーチの場合、相談する先はないのでしょうか。

コーチに直接訴えることも考えましたが、他の保護者に聞いたところ、酷いことを言われるのが嫌ならやめれば良いというチームの方針らしいのです。

世の中にはそういった人もいるという経験になったと考えて、悪い見本とすることもできますが、親として、そういった大人を放置するのに罪悪感も感じます。

小学生でそんな経験必要ないですし。

暴言をやめていただくには、どのようにアプローチするのが良いでしょうか。

ぜひアドバイスをお願いします。

 

<島沢さんのアドバイス>

ご相談ありがとうございます。

アホとボケが入るなら、関西圏でしょうか。私は関西出身ではありませんが、ご当地の方にお話を聞くと、わりと軽い気持ちでアホ、ボケをお使いになる方もおられるとお聞きしました。ただし、そのときのシチュエーションや、声の高低、言い方にもよります。恐らく、この場合は、鬼の形相で叫ぶアホやボケなのでしょう。

さて、ご質問にあったこのコーチに、暴言を止めさせるアプローチ法についてお話ししましょう。

 

■こちらが筋道を立てて進めましょう。説得材料の用意も忘れずに!

まずは、本人に直接お話ししましょう。

お母さんは「学校の先生の発言であれば、校長や教育委員会などに相談することも考えられます」とありますが、本人にひと言も苦情を言わずに、何か地域の協会とか上の人に告発するのは少しばかりフェアではありません。

ご本人がすでにフェアではない指導をしているのは理解できますが、フェアでない相手だからこそ、こちらは筋道立てなくてはいけません。

そういった意味では、この、もうすぐ卒団のタイミングで「暴言を止めてほしい」と言うのも、本人からすれば釈然としないかもしれません。例えば小学1年生から所属したのであれば、コーチは「なぜ早く言わないのだ? 6年間何も言わないから、このスタイルでいいと思ったのに」と言いそうです。

直接訴えることも考えたが「嫌ならやめれば良い」というチームの方針らしい、とあります。ご自分の耳で聞いていない伝聞であれば、そこも本人に確認すべきです。「そんなことは一言も言ってない」と言われるかもしれません。

 

ここはまず以下の順番でやってみましょう。

1.コーチ本人と話す。その際、あらかじめ息子さんやほかの子どもたちにコーチの暴言に対してどう感じているのかを聞き取り、それも合わせて報告する。
(暴言を止めてほしいと訴えると、子どもは案外平気だ、何も思っていないとか、愛情だと思っているはずだ、と釈明する方が多いので)

 

2.話す際に、コーチが暴言を発するのは、コーチ本人だけの問題ではなく、周囲にもそういう指導者がいるし、過去にもそのような環境で教えられたのかもしれないが、今はそういう時代じゃないと話しましょう。
「これからは暴言コーチは排除される方向にある。自分はコーチ本人のことも考えて、意見している。どうかわかってほしい」
日本サッカー協会のサイトにジュニアへの指導のガイドラインなどが書かれているものもあるので、そちらを見せてもいいでしょう。
・子どもの気持ち・今の社会の倫理観・現在での良い指導のありかた、という、三つの観点から話します。

 

3.話し合いが不調に終わった場合は、そのクラブの代表や、他の学年のコーチに相談しましょう。ただ、きっとそこでも「どうして今頃?」と聞かれるはずです。その質問に対して、相手を説得できる答えをきちんと用意しておきましょう。
例えば、今まで我慢してきたけれど、某月某日の試合の際にこんな発言があり、やはり良くないと改めて認識した。
もしくは、卒団した後、次の子どもたちが同じ目に遭うかと思うと黙っていていけないと思った。そんなことでしょうか。

 

4.クラブの代表がまったく相手にしてくれないのであれば、市区町村のサッカー協会に相談しましょう。ここで難しいのは、暴言やパワハラをしているコーチが、市のサッカー協会の理事など幹部であるケースです。
その場合、次は県協会の暴力根絶相談窓口になるかと思います。暴言は、言葉の暴力です。そのことによって、子どもたちがいかに傷ついているか、そこをきちんとありのまま話をするといいでしょう

 

と、ここまでどうアプローチするかをお話してきました。

しかしながら、このコーチの方がお母さんの訴えを聞いて改心する可能性は、かなり低いと言わざるを得ません。

例えば、暴言を吐く指導者に意見する人は、お子さんがすでに心療内科に通ったり、睡眠障害になるなど、何らかの重篤な影響を受けています。その事実を突きつけても、暴言に頼る指導者たちは変わりません。

「家庭に問題があるのではないか」とか「ほかの子どもはまったく問題ない。あなたのお子さんが弱いだけだ」などと反論してくるのです。

お母さんはこうも書いています。

「世の中にはそういった人もいるという経験になったと考えて、悪い見本とすることもできますが」

もしかしたら一般論として書かれたのかもしれませんが、6年生が終わりに近づく今までの数年間、コーチの暴言に対してそのようにとらえて我慢してこられたのではないか。そう推察します。

 

次ページ:ブラック指導を「我慢」は美徳ではない

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文:島沢優子

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