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蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~

走れない、蹴れない、技術もないグループ分け最下層の息子。やる気も見られないのにサッカーを続けていいのか問題

公開:2025年9月12日

キーワード:やる気サッカーの才能ないサッカー下手他競技低学年向上心足が遅い

5歳から初めて2年。未だに走れない、蹴れない、フィジカルもテクニックもないチームの最下層。やる気も見えないし上手くなりたい気持ちもなさそう。

サッカーが好きなのかさえわからない。こんな状態で続けるより、ほかの競技をさせた方がいい? というご相談。同じ悩みを持つご家庭も多いのでは。

スポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの知見をもとに5つのアドバイスを送ります。
(構成・文:島沢優子)

 

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(写真は少年サッカーのイメージ ご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)

 

 

<サッカーママからのご相談>

現在7歳の息子は、5歳から地域のクラブチームでサッカーを始めました。

チームでも、走れない、蹴れない、フィジカルもテクニックもお世辞にも上手くない、というか常にグループ分けしても最下層です。

このまま続けるのがいいのか、違う競技に挑戦する方がいいのか悩んでいます。

全く練習についていけなかった幼児クラスから、徐々に全ての練習メニュー何とかついていけるようになったのは、粘り強く取り組んでくれたおかげなのですが、日々の練習を見ていてもやる気が全くないように見えますし、上手くなりたい、上位チームに入りたいという気持ちも無いようです。

サッカーが好きなのかと聞いても、「わからない」と他人事です。

ただ、本人は辞めるのは嫌がっており、やる気はないのに続けていることの意義があるのか、親としてどうしてあげるのがよいのかよくわかりません。

やる気がなくただ時間が来たので上手くなりたくないけど、惰性で練習をしているのを見ているのも辛いです。

見ていてもサッカーが好きなのか、なぜ続けているのかもわかりません。無理に辞めさせるのが得策とも思えず、決心には至らない状況です。

こんな時はどうするのが良いでしょうか。

 

タイプによって響く言葉が違う
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<島沢さんからの回答>

ご相談ありがとうございます。

グループ最下層に入ってしまうわが子の姿にショックを受けているのに、当の息子さんにやる気や向上心がうかがえずがっかりしている様子がうかがえます。私からは5つほどアドバイスさせてください。

 

■アドバイス① わが子が「7歳」であることを意識しよう

1つめ。まずは目の前の子どもがわずか7歳であることをもう少し認識しましょう。

サッカーが好きなのか? やる気があるのか? などと質問攻めにしないこと。質問してもあまり意味はありません。

お母さん自身が「サッカーが好き」「もっと頑張るよ」という答えを期待していませんか? 安心したいのではありませんか? 私は、忖度せずに「わからない」と正直に答える息子さんにとても好感を持ちます。

 

■アドバイス② 親が望むことと違う事をする年代。矢印を子どもに向けないこと

2つめ。矢印をお子さんに向けないこと。

お子さんにやる気が見られないといら立っているようですが、「そういう子を育てたのは誰なんでしょうね?」と、都内のサッカースクールで指導していた30代のコーチから以前言われたことがあります。

「少年サッカーの現場では、指導者が子どもをめちゃくちゃしかりつけています。バカとか、帰れとか、めちゃくちゃですよ。試合になると、今度は親までが子どもに『なんで頑張らないの!? やる気ないならやめなさい!』と怒っています。でも、そういう子どもを育てているのは誰なんですか? って僕は思う。コーチも、親御さんも、天に唾(つば)してるわけですよね?」

お伝えづらいのですが、お母さんもこれと同じかもしれません。天に吐いた唾は自分にかかってきます。

まずは「どうすれば意欲的な子どもが育つのか?」について学びませんか。自分がどうあれば、目の前の子どもは伸びるのか、そこを考えてみましょう。

わが子はなかなか変わってくれない。だからみなさん悩む。しかし、もし子どもに変化してほしいのであれば、まず大人側が自分を変えていかなくてはいけません。

親がまず変えるべきは、子どもに課す「ハードルの高さ」です。なぜなら、大人がイライラしてしまうのは間違いなく、親が子どもに対して「こうあってほしい」と望むことと違うことを子どもがする時です。

お子さんへのハードルが高すぎないでしょうか。現時点でその子が自分でできる力がついているのか、子ども自身がそのことに価値を置いているのかどうか。そこを考えてください。

お子さんは自分でもよくわからないけど、友達というのが楽しいからやめたくないのかもしれません。とにもかくにも、今はこの「サッカーをやめたくない」という気持ちを大事にしてあげてください。

 

■アドバイス③ いつもの仲間と安心してプレーできる「恒常性」を重視すること

また、子育てそのものが成果主義に陥ってないでしょうか。相談文にこう書かれています。
「チームでも、走れない、蹴れない、フィジカルもテクニックもお世辞にも上手くない、というか常にグループ分けしても最下層です。このまま続けるのがいいのか、違う競技に挑戦する方がいいのか悩んでいます」

お母さんは、子どもの「結果」に対する評価をしたうえで、続けるのがいいのか否かを悩んでいると書いていますが、そこを悩むのはお母さんではなく子どもの役目です。たった7歳なのだから親が決めなければと思うかもしれませんが、7歳でも「やめたくない」と意思を示しています。であれば、上述したように続けさせてあげましょう。

子どもが上手でないと、サッカーを楽しめないのは親御さんのほうかもしれません。私のこの連載へも、子どもが上手くならない、レギュラーになれないことで悩む保護者からたくさん相談が舞い込みます。多くがお母さんのように低学年のお子さんの保護者です。

6歳や7歳の子どもたちは、自分が上手いとか下手とか才能があるとか、本人にとってはどうでもいい。仲間とボールを追って体を動かしているのが楽しい時代なのです。

そしてこの時代は、いつもと同じ仲間。同じ場所。同じコーチ。同じ環境で安心してサッカーができれば、それで良い。この「恒常性」を重視すること。これが3つめです。

 

■アドバイス④ 結果ではなく、プロセスを褒めること

他の相談でも書きましたが、小学校6年間で子どもはどんどん変化します。少年サッカーのコーチたちは「低学年では力は計れない」と皆声をそろえます。背が伸びたりと体格も変化します。技術もいつ伸びるかは個人で異なります。低学年で目立たなかった子がエースになったりします。

ただし、その成長を支えるのは「サッカーが大好き」という気持ちです。

そこをアップさせていくには、お母さんやお父さんがお子さんの取り組みを認める、つまり結果ではなく、プロセスを褒めること。これが4つめです。

「よく頑張ったね」とその姿を褒めてあげましょう。今日は何点とったとか、先発だったとか、そういった結果だけに親が注目し続けると、結果が出なくなったとき子どものなかに逆境に立ち向かうエネルギーが生まれません。

結果よりプロセスを認めることで意欲が増すことは、脳科学でも確かな根拠があります。グループで最下層だとか、走れないとか、上手くないといった結果に一喜一憂せず、成長する力を育ててあげてください。

  

次ページ:どうしても結果の方が気になるなら......

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構成・文 島沢優子

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