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JFAグラスルーツ推進部部長が行く!あなたの街のサッカーチーム訪問

サッカーで目指す、障がいの有無を超え一緒に楽しむ共生社会の実現① ~グラスルーツ推進番外編~

公開:2018年2月13日

キーワード:JFAグラスルーツ推進健常者横浜障がい者サッカー

2017年8月、神奈川県横浜市で画期的な大会が行われました。U-17年代の選手達が参加する「U-17横浜サッカーフェスティバル」です。この大会には健常者のU-17チームに加えて、障がい者チームも参加しました。

そこで両者が試合をするとともに、普段は健常者の高校サッカー部を指導しているコーチが障がい者チームのトレーニングを指導するなど、垣根を越えた交流が実施されました。

そこで、当連載では日本サッカー協会(JFA)グラスルーツ推進・賛同パートナーのテーマの一つである「だれでもJoin♪~障がい者サッカー~」を体現する、U-17横浜サッカーフェスティバルの参加者をお招きし、ディスカッションをしてもらいました。(文:鈴木智之)

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<グラスルーツ推進・賛同パートナーのテーマ>
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■「そんなの気にしないでおいでよ」のひと言がきっかけ

座談会の司会を務める日本サッカー協会(JFA)グラスルーツ推進部の松田薫二部長は「U-17横浜サッカーフェスティバルでは、健常者のチームと障がい者のチームが同じ大会に参加し、試合を行いました。今回は皆さんにお集まりいただき、どのような形でフェスティバルが行われたのか。そして参加した団体のみなさんは、障がい者の方と健常者の皆さんが一緒にサッカーをすることについて、どのような考えを持っているのかを聞かせていただければと思います」とあいさつをしました。

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(左:神奈川デフフットボールクラブ監督 武井基氏、右:NPO法人 知的障がい者サッカー推進連盟理事長 竹澤静江氏)

まずは、障がい者チームがどのような形で大会に参加したのか。FPFID特定非営利活動法人 知的障がい者サッカー推進連盟の理事長と事務局長を務め、コーチとして大会に参加した山道栄次さんから説明がありました。

「大会では二日間に渡り、高校のサッカー部と試合をしました。さらに星槎学園のコーチにお願いをして、障がい者サッカー連盟の選手たちに練習を体験させてもらいました。チームには知的障がいの選手だけでなく、デフサッカー(聴覚障害)の選手たちも入り、混合で行いました」

混合チームで参加することについて、NPO法人 知的障がい者サッカー推進連盟の理事を務める竹澤静江さんが経緯を語ります。

「前回のフェスティバルの懇親会で『サッカーの中では、障がいが無ければいいな』と話をしたところ、健常者のサッカー団体の方たちが『そんなの気にしないでおいでよ』と言ってくれました。それもあって障がいの内容を分ける必要はないと思い、様々な障がいがある人たちが輪になっていければいいなという考えで、デフサッカー(聴覚障がい)、知的障がい、発達障がいという3つの障がいを持った人たちと一緒に参加させていただきました」

コーチとして合同チームを率いた、神奈川デフフットボールクラブの監督、武井基さんは「5年前からデフサッカーの監督をしていますが、このようなイベント、大会はほとんどありません。障がいの有無に関係なくサッカーを楽しむ中で、コミュニケーションをとりながら障がいについて学ぶことができる、有意義な大会だったと思います」と振り返ります。

■すべての人間が同じ扱いを受けられる、新しい社会に

画期的な取り組みを行った「U-17横浜サッカーフェスティバル」は、2017年で5回目を迎えました。横浜FCアカデミーダイレクターの重田征紀さんによると「サッカーどころ横浜として、育成年代の選手達の強化を目的に発足しました。全国からチームを招き、横浜という街の魅力を知ってもらいたい気持ちもあります」と話し「第5回大会がきっかけとなり、今後も障がい者チームとどのように関わり、大会としてどのような活動ができるのかを考えていきたいと思います」と、展望を語ります。

神奈川県サッカー協会としても、障がい者サッカーの普及・育成・強化に力を入れる考えを持っています。神奈川県サッカー協会の副会長を務め、県議会議員でもある森正明さんは「サッカーの普及・育成・強化には『3つの間』が必要です」と言葉に力を込めます。

「環境作りとして、空間という意味での『間』。そして、その時間を共有するという時間の『間』。最後に、そこに携わる仲間。この3つの『間』が大切だと思います。神奈川県には『かもめパーク』というグラウンドがあります。そこを利用しながら、あるいは学校の先生方にも協力していただきながら、健常者も障がい者も同じ想いでサッカーという素晴らしいスポーツを共有することができればと思います」

U-17横浜サッカーフェスティバルに参加したチームには、たくさんの気づきがあったそうです。新潟県北越高校サッカー部監督の荒瀬陽介さんは「フェスティバルが終わって新潟に戻ってから、新潟県にあるハットトリックという知的障がい者のサッカーチームと交流を持つことになりました」と、早速行動に移したことを教えてくれました。

現役時代は川崎フロンターレの主力として活躍し、日本代表経験もある箕輪義信さん(神奈川県立菅高校)は「U-17横浜サッカーフェスティバルには、神奈川選抜U-17のコーチとして参加させていただきました。健常者の大会に障がい者のチームが参加するということで、サッカーにおいて障がい者、健常者の線引きが取り除かれつつある時代になってきたんだなと感じます。私は教育現場に立っていますが、インクルーシブ教育といって、すべての人間が同じ扱いを受けられるような、新しい社会を作っていく時代になってきていると思います」と、率直な感想を話します。

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(川崎フロンターレの選手として活躍した箕輪義信氏)

みなさんの意見を聞いた松田部長は「障がい者のチームが健常者の大会に参加するという事で、U-17横浜サッカーフェスティバルは新しい取り組みをしています。高校年代の健常者が障がい者の人達とサッカーを通じて触れ合うことで、いろいろな気づきが生まれているのではないかと思います。これからも、もっと深い関係を築き上げていけるようになると良いですよね」と、今後の発展に期待を込めていました。

次回は障がい者と健常者がともにサッカーに取り組むために、どのような視点が大切かについて、様々な意見を紹介します。


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