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「相手のマークを外す動き」U-11年代にどう教える? 説明下手な指導者でも選手に伝わる方法を教えて

公開:2024年5月24日 更新:2024年6月 5日

キーワード:L字ランマークを外す攻撃祖母井秀隆縦の2対1裏に抜ける裏を取る

攻撃で手詰まりなときにボールを受けに行く動き、FWがDFの裏に抜ける動きを教えたいが、言葉での説明が苦手なこともあり、小学生に理解されない。

相手のマークを外す動きを教えるのに良い練習法はある? とのご相談をいただきました。

今回もジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウン
アカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上のあらゆる年代の子どもたちを指導してきた池上正さんが、実際にやっているメニューを交えてアドバイスを送ります。
(取材・文 島沢優子)

 

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(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません

 

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<お父さんコーチからの質問>

こんにちは。

子どもが所属しているスポ少で保護者兼コーチとしてチームに関わっています。(対象はU-11)

お聞きしたいのは「相手のマークを外す動き」をどう教えたらいいのか、ということです。

攻撃の時に味方が手詰まりなときにボールを受けに行く動き、FWがDFラインの裏に抜ける動きを教えたいのですが、説明下手なこともあり、うまく理解させられません。

相手のマークを外す動きを理解させるためには、どんなメニューで何と伝えるのが良いでしょうか。

マークを外すときの動きのポイントなども、あれば教えていただけますでしょうか。

 

 

<池上さんからのアドバイス>

ご相談ありがとうございます。

最近の話ですが、関西で以前から私を講習会などによく呼んでくださる市で、少年の大会を観戦しました。

そこで、マークを外す動きメニューの話になりました。指導者から「オリジナルの練習を作り出すのは知識が必要ですよね?」と質問がありました。もしかしたら、私が自分で考えたメニューで練習させることがあるからかもしれません。

皆さんコーチとしてさまざまな知識を身につけないといけない、それには時間が必要だと感じていらっしゃるようでした。

 

■練習メニューの知識より、目の前の現象をしっかり見ることが必要

これについて、私は知識よりも目の前で起きている現象をしっかり見ることが必要だと考えています。子どもたちの様子を見て、その状態に合うメニューを行えばいいのです。

やってみてうまくいかなかったら、例えばプレーしているグリッドのサイズを変えます。人数を変えます。ボール2個でやっていたのなら、1個に戻します。

逆にスイスイできるのであれば、ボールを2個にします。そんなふうにちょっとずつ練習のルールを変えるのです。よく言われる練習のオーガナイズです。そのように微調整することで、期待した効果が生まれます。

 

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■適切なメニューはチームの状態によって違う やってみては変えることにトライしよう

もちろん、練習メニューはすべてオリジナルでなくてもいいです。相談の中にも「どんなメニューがいいのか」とありますが、それはチームの状態によって異なります。上述したように、ご自分でやってみては考えて、変えていくことを繰り返しまずはトライしてほしいです。

メニューについては、皆さんにネットや書籍から探すことを提案しています。ネットであれば、例えば検索エンジンで「マークを外す動き メニュー サッカー」と打っただけで42万5000件出てきます。「画像」に切り替えれば、イラストで説明されたメニューが紹介されているし、あらかじめ動画表示にして検索すると、動画で説明されたメニューがたくさん出てきます。

ぜひ一度調べてみて、チームの子どもたちの課題修正にアジャストしそうなものをいくつか選んで試してみてください。

 

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■マークを外す動きを覚えるメニュー 「縦関係の2対1」「L字ラン」

マークを外すことを学ぶシンプルなメニューとしては、私が以前から推奨している2対1があります。例えば、縦関係の2対1について説明しましょう。

攻撃する側として、ゴールに近いほうに選手がひとり、離れたほうにボールを保持したひとりが立ちます。守備側のひとりは、ゴールに近いほうにいる選手に密着マークをします。

つまりパスを受ける側の選手は、密着マークを外して動かなくてはなりません。このときに「どんなふうに動けばいい?」とその選手に尋ねます。最初から手取り足取り「こうやって動け」と指示するのではなく、まずは選手に自分で考えてもらいます。

私にとって師匠である祖母井秀隆さんは、相手を振り切るやり方として「L字ラン(RUN)」についてよく話してくださいました。まっすぐ走っては、いきなり90度の直角に曲がる。そうすると相手マークを外しやすくなります。

例えばゴールに向かって走り出す相手は懸命についてくるので、スッと90度に曲がります。どこへ動いても同じように90度に曲がります。ディフェンスから離れる(ディフェンスを振り切る)ためのひとつの方法として「こうしてみたら?」と教えます。

祖母井さんから聞いたので、恐らく(祖母井さんが指導を学んだ)ドイツのコーチたちがやっていたことだと思います。練習のときは、最初から足でやる必要はありません。ハンドパスゲームにしてL字ランをやります。パス5本つなぐと1点といったゲームにして行うといいでしょう。

 

■マークを外す練習で味方との関係性や全体を俯瞰で見る空間認知能力が育つ

私は、講習会でデモンストレーションを行うとマークをどんどん外し講師の方に褒められたことがあります。選手時代はセンターフォワードだったので、どうやったらマークを外せるかをいつも考えていました。

この練習をしていくことで、他の選手と自分の関係性全体を俯瞰で見る空間認知能力が育ちます。

また、このような練習を行うと、ポジションがその子に合っているかどうかが見えてきます。もうすぐパリ五輪ですが、日本代表のU23でさえポジションに合っていないかもと思わせる選手がいます。空間認知がいまひとつだと感じさせます。

 

4種年代から常に考える練習を取り入れなければならない

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取材・文 島沢優子

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