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あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]

速い子がドリブルで仕掛けるだけの攻撃が単調なチーム、攻撃に厚みを持たせるにはどんな指導をすればいいか教えて

公開:2024年8月11日 更新:2024年9月20日

キーワード:シュートシュートチャンス攻撃の厚み裏に抜ける連係プレー

ボールを運ぶことはできてもゴール前での連携がうまくいかず、決定的なチャンスが作り出せない。

どうしたら攻撃に厚みが出せる? という質問をいただきました。

今回もジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上のあらゆる年代の子どもたちを指導してきた池上正さんが、シュートチャンスにつなげるための選手配置や仲間との連携について具体的な練習メニューとともにお伝えします。
(取材・文 島沢優子)

 

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(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません

 

<<1年生から始めた子と4年生から始めた子がいてレベル差がある、歴の浅い子はチームを分けて基礎から教えるべき?

 

<お父さんコーチからの質問>

いつもご指導やアドバイスを参考にさせていただいております。

クラブチームを指導している保護者兼コーチです。今担当しているのはU-12年代です。

チームの悩みですが、攻撃の厚みが足りず、なかなかシュートまで持っていくことができません。

具体的には、ボールを前に運ぶことはできても、最終局面での連携がうまくいかず、ゴール前での決定的なチャンスを作り出せていません。

速い子がドリブルで仕掛けるだけの単調な攻撃になりがちです。手詰まりになった時に味方との連携で裏に抜けるとか、そういうのがあまりできません。

このような課題を解決するためには、どのような練習方法が効果的でしょうか?

攻撃の厚みを増し、シュートチャンスを作り出すための具体的な練習メニューがあれば、ぜひご教示いただければ幸いです。

 

 

<池上さんからのアドバイス>

ご相談ありがとうございます。

「速い子がドリブルで仕掛けるだけの単調な攻撃になりがち」とあるので、つまりはパスをつなげられないため足の速い選手がドリブルすることになってしまうのでしょう。

もしくはまわりがその子についていけないのかもしれません。

 

■ドリブルを効果的に使うにはタイミングと場所が大事!「どこで使うか」を教えよう

ドリブルを効果的に使うには、タイミングや「場所」の選択が必要です。ゴールから遠い場所からドリブルで突っ込んでいってしまえば、ひとり抜いても次のディフェンスにつかまります。

ご相談者様のチームの子どもたちはもう6年生なので、だんだんスピードについていけるようになっています。

そこで、ドリブルしてしまう子には「君の速さをどこで使うか考えよう」と言い、まわりの選手たちにも先述したことを説明してください。

子どもたちが知っている海外の有名選手のプレーを例に挙げるとわかりやすいかもしれません。「世界のサッカーを見てごらん。足の速い選手はサイドにいるよね。例えば、フランス代表のムバッペや日本代表の三苫は左サイドにいるよね」などと話してみてください。

 

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■速い子をどこに置くかでシュートチャンスが変わる

ドリブルが速い子をサイドに置いてそこから展開すると、他の子が真ん中に走り込めばゴールに近づくのでシュートが入りやすくなります。もしくは、ボールをつなぎながら敵陣に入って、他の子がペナルティエリアの手前くらいからいいスルーパスを出してあげると、足の速い子がそれに合わせて飛び込めます。

そうではなく、速い子がひとりで真ん中からドリブルで抜け出したとしても、シュートしかありません。他の子は追いつけないので、要するに孤立したプレーになります。相手のゴールキーパーが前にはじいたり、相手ディフェンスがシュートをカットしてゴール前にこぼれたとしてもボールを拾えません。

他にも、足の速い子がディフェンスの裏に抜け出して、バックの選手からロングボールをもらうやり方もあります。縦にポンと蹴るので「縦ポンサッカー」などと揶揄されますが、ひとつの点の取り方です。

ただし、そればかりだと攻撃に厚みが出ません。中盤を省略するのでボールを持つ回数を増やしたいジュニア世代には頻繁にやってほしくない戦法でもあります。

 

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■全員攻撃参加のつもりで上がる、奪われてもすぐに味方が取り返せる位置にいる

やってほしいのは後ろにいる選手がもっと押し込むこと。みんなが攻撃参加するつもりでゴールを目指して上がって行けば、どこかでボールが引っかかっても味方がボールを取り返せるようにしておきます。

これはプロのチームでも同じ作戦をとっています。大人のサッカーになると、ハイプレスでボール取って高い位置から攻めます。

もし相手にボールを奪われても、押し込んでいれば複数の選手が敵陣にいるのですぐに奪って攻撃に転じることができます。とはいえ小学生はハイプレスまでやる必要はないでしょう。

 

■2対1の練習でワンツーの感覚を養おう

練習についてはまず2対1をやってみてください。攻撃の形を考えたとき、例えば足の速い子にボールを当ててワンツーパスを受ける。ワンツーはダイレクトパスでなくていいので、パスを出した子がもう一度もらうために走れば一瞬2対1になります。ボールをもらってまた裏に蹴れば、足の速い子はゴール前でフリーになります。

その感覚を養うためにも2対1をやって、そのなかでワンツーのトレーニングをしましょう。プロチームのビデオを見せてあげるのもいいでしょう。イメージをふくらませるのに役立ちます。

 

■欧州の子は5歳でもパスがつなげるのに日本では無理? 指導者が語るその理由

先日、対面式でドイツ在住の指導者と対談をしました。その際に、スペインのビジャレアルで仕事をされている佐伯夕利子さんがネットにあげていた5歳児の練習を撮影したビデオの話になりました。小さな子どもたちが実に見事にパスをつないでいます。

私たちは「日本の小学1年生でも、どこにいればボールがもらえるかを伝えれば理解できますよね? 間に相手守備の子がいて、その子の後ろに隠れているともらえないけれど、どこにいったらもらえる? と理解を深めながらトレーニングすればいいよね」といった話をしました。

そんな話をしたときに、会場に来られていた方が「いや、そんなことはできない」とおっしゃいました。そこで「どうしてそう思われるのですか?」と尋ねたら、「(小学1年生では)ボールの止める・蹴るができないのに、そんな(パスを回す)ことができるわけがない」と話してくださいました。

そこで私たちは説明しました。

「小学1年生はうまくボールを止めたり蹴ったりはできないけど、動きは理解できますよね?

 

■ほかの選手の位置や動きも理解させるから「みんなで守り、みんなで攻撃」の意識が育つ

守備の子の後ろにいたらパスする子には自分が見えないから、守備の子から離れて味方に見えるところに行ってみる。もしくは守備の子の前に動いてみる。

そんなことを子どもに問いかけながら答えを導き出します。子どもは自分で答えた動き方を「あ、それいいね。やってごらんよ」とコーチに言われると、うれしくてやろうとします。パスする側もその子が見えるから蹴ってみる。そうやって動き方がわかるようになるのです。

欧州の子たちはそんなふうに育っています。みんなで守る、攻撃する。そうやって育っています。

 

問いかけながらサポートの概念を育てよう

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取材・文 島沢優子

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