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- 長男、長女は頼りにして伸ばす 偉大なキャプテンも夢じゃない!
環境が違えば子どもの性格も変わる。性格が違えば育て方も変わる。ということではじまった、兄弟、姉妹構成に応じた成長方法、それぞれに効果的な育て方を探る連載。本日、2回目からは、実際のタイプ別に成長方法を考えてみようと思います。
ここで語る傾向と対策はあくまでも兄弟姉妹におけるポジションの「傾向」のお話です。ステレオタイプに子どもの性格を「こうだ」と決めつけて、それを押しつけてしまうと、せっかくの子どもたちの可能性や才能を閉ざしてしまうことにもなるので注意が必要なことは改めてお伝えしておきます。
■第一子は我が世の春から、主役の座を奪われる?
最初に見ていくのは第一子、わかりやすいところで長男の特性です。
個人心理学と呼ばれる分野では、兄弟、姉妹構成が子どもの成育に与える影響についてある程度のボリュームを割いて説明しています。はじめての子どもである第一子は、しばらくの間一人っ子を経験し、そのあと自分よりも弱い存在である妹や弟が誕生するという“特殊な経験”をする子どもだ、というのが心理学的見地から見た長子の特徴です。
「責任感があって人のために尽くす」「面倒見がいい」などの長男、長女の特徴として良く挙げられる性格は、こんな立ち位置から生まれるのかもしれません。
弟や妹が生まれると彼や彼女をライバル視して、嫉妬心から「赤ちゃん返り」を起こす子どももいますよね。この時期は体調を崩したり、攻撃的になったり、これまで「我が世の春」を謳歌していた第一子が初めて挫折を味わうことになるわけですが、これをうまく乗り切れれば「弟や妹を守らなければ」という役割が自然に生まれてくるようです。
赤ちゃん返りの対処法はまず第一子に愛情を戻すという方法があるそうですが、お母さんやお父さんが「平等に」と思っても、第一子にしてみればこれまでと違う! 不公平だ! となるわけですから、この時期に手をかけてあげることがとても大切なようです。
■姉がいてもやはり長男は責任感が強い!
「家を継ぐ」という概念が薄れたいまでも、第一子、特に長男は、何となく責任感を持って育つようです。サッカー日本代表に純粋な第一子が少ないことは前回ご紹介しましたが、理想のキャプテンと言われた長谷部誠選手がお姉さんのいる長男、かつての代表主将、宮本恒靖さんもお姉さんがいる長男と「やっぱりね」と言いたくなるような人も中にはいます。
現代表で第一子なのは権田修一選手と高橋秀人選手の二人だけですが、権田選手がロンドン五輪で副キャプテンとして絶大なリーダーシップを発揮していたこと、高橋選手が人間性やインテリジェンスを高く評価されていることを考えると、やはり長男のいい面がここに出ているのでは? と思いたくなります。
■海外では偉大な主将がザクザク! 長男に似合うキャプテンマーク
海外に目を移しても、長男にはキャプテンがよく似合います。ACミランのレジェンド、パオロ・マルディーニは6人兄弟で、お姉さんがいるものの2人の弟を持つ長男。自身もミランのプレイヤー、そして監督だった父、チェーザレ・マルディーニはインタビューで「パオロの弟のうちひとりは、子どもの頃にはパオロ以上に才能があるように見えたけれど、最終的には違う道を選んだ。人生というのは、無数の分かれ道で成り立っているものだよ」と語っています。
パオロは物心ついたときからチームではキャプテンを務める、根っからのリーダーだったそうです。
せっかくなので、伝説的なキャプテンを立て続けに生み出したことで有名なマンチェスター・ユナイテッドのレジェンドたちの兄弟構成も調べてみました。
あのベッカムが子どもの頃のアイドル! と公言している背番号7の先輩、ブライアン・ロブソンは姉のいる長男。ロブソンの後を継いだスティーブ・ブルースは2人兄弟の長男、エリック・カントナは4歳年上の兄と1歳下の弟がいる中間子ですが、ロイ・キーンは4人兄弟、一人の妹を持つ長男、そしてガリー・ネビルもフィル・ネビルのお兄さんということで、80年代から受け継がれたマンチェスター・ユナイテッドのキャプテンは、ほとんどが長男で構成されています。そういえばベッカムもお姉さんのいる長男でしたね。
■ポイントは責任感と面倒見の良さを刺激してあげること
日本代表では次男に押されてあまり振るわなかった長男ですが、強い責任感を持ち、面倒見もいい第一子はキャプテンに最適。アルゼンチンの司令塔を長らく務めたリケルメはなんと11人兄弟の長兄! 欧州でも輝きを放ち、すっかりバルセロナの一員としてフィットしたネイマールも長男、イタリアのカンナバーロ兄弟やインザーギ兄弟の代表での活躍具合を見ても、海外では長男が活躍するケースが少なくありません。
スポーツや習い事ではじめたのは先なのに、気がつけば兄弟姉妹に追い越されているという悲しい報告も多い長男、長女ですが、頼られると意外な力を発揮するという特徴があるようです。小さいころから自然に養った責任感をうまく刺激しつつ、たっぷりと愛情を注ぎ、面倒見の良さを活かす育て方を心がければ、偉大なキャプテンとして歴史に名前を刻むことになるかもしれません。
大塚一樹(おおつか・かずき)//
育成年代から欧州サッカーまでカテゴリを問わず、サッカーを中心に取材活動を行う。雑誌、webの編集、企業サイトのコンテンツ作成など様々 な役割、仕事を経験し2012年に独立。現在はサッカー、スポーツだけでなく、多種多様な分野の執筆、企画、編集に携わっている。編著に『欧州サッカー6大リーグパーフェクト監督名鑑』、全日本女子バレーボールチームの参謀・渡辺啓太アナリストの『なぜ全日本女子バレーは世界と互角に戦えるのか』を構成。
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文/大塚一樹 写真/新井賢一(ダノンネーションズカップ2013より)
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