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大西貴の親子でサッカーを楽しもう!

勉強がサッカーにおける将来の選択肢を広げる(2/2)

公開:2011年9月30日 更新:2012年1月10日

キーワード:文武両道

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■「目的をもった準備」それはサッカーも勉強も同じ!

――ところで大西さん自身、子ども時代の勉強とサッカーの割合はどんな感じだったのですか?

大西「僕は地域で育ってきたので、南宇和高校までが一貫教育のようなものでした。でも、サッカーがうまくなると勉強もできるようになる感覚はありましたよ」
 

――それは、サッカーの成功体験が勉強に活きるということですか?

大西「僕も子ども時代にそんなに勉強する方ではなかったです。けど、いい準備をしてテストでいい点を取れることが嬉しかったですし、国語が得意科目だったことも僕が勉強をするモチベーションになっていました。
国語の授業って文章をみんなで読みながら、先生が背景を説明することが多いと思うんですけど、あらかじめ文章を読んでおくと、先生がどこでどんな質問をするのか感覚的にわかってくるんですよね」
 

――それはサッカーにおける相手とのかけ引きと同じ論理ですよね?

大西「そうそう。そうすると作者がこの物語を通じて何を言いたいのかもわかってくるんです。ですから、親御さんも子どもの興味があることから勉強への意識を作ってあげるようにすればいいんです。
確かに、受験を始め『何かをしなければいけない』状況を今の社会が多く作っていることは、子どもたちにとってかわいそうだとも思うんです。でも、その中においても子どもたち自身が『どうなるのか、どうなりたいのか』を考えて、選択肢を広げる意識を持ち続けることだけは変えないでほしいです」
 
 

【大西貴の「サッカーお悩み相談室」】

Q.試合中や練習中における子どもの言葉づかいが、だんだん乱暴になってきているようです。サッカーを離れたときのお友達とのコミュニケーションが心配です。いったい、どのように教えたらよいでしょうか?

大西「親御さんが練習や試合中に監督から怒られた言葉、仲間に発した言葉について、1つ1つは難しいでしょうが、いくつか状況を拾い上げて『どう思ったのか、どんな気持ちだったのか』聴いてみたらどうでしょうか? 
サッカーは局面で瞬間的に強く言わければいけないこともあるんですけど、その言い方もあります。『言ったこと、言われたこと』『言った側、言われた側』に分けて子どもにアプローチをかけていけって、『そこは言い方を変えればよかったよね』と話をすれば、子どもたちも『こうすればよかったな』反応して言葉づかいも直ってくると思います。」
 
実は僕自身も強くいう部分で言葉遣いは悪くて…。『何やってんだよ、バカ』とか(苦笑)。褒められたものではなかったんです。
でも、高校時代にそこは徹底的に直されました。先輩後輩関係の中、いつ、どの場面で、どのような言葉遣いをするかはサッカーを通じて色々なこと勉強させられましたね。
 
サッカーはグループによって動くスポーツですから、仲間が傷つく言い方、傷つかない言い方もわかるようになりますし、言葉を受けた側の気持ちも自分で考える必要があります。今回はサッカーを通じて言葉遣いを指摘するチャンスだと捉えて、そこに親御さんがどうアンテナを張り巡らせるかが大切です」
 

Q.ウチの子どもは試合に集中すると、ドリブルのときに顔を上げるのが難しいようで、自分自身も悩んでいるようです。コーチからも練習などで頻繁に指摘されているようですが、顔を上げるに何かよいアドバイスがあったら教えてください。

大西「基本的にはボールを見ないでドリブルできるのがベストです。ただ、ボールを見ないでドリブルができるというのは全く見ないことではなく、間接視野(ボールが視野の下に入る範囲)にボールを置いて、周りの情報をわかるような状態でドリブルをするようにできることです。ただ、このご質問を見ると子どもさんはドリブルをすることに一生懸命になっているような感じはありますね。
 
ですので、まずはボールを見ないでドリブルをして、そこから間接視野でドリブルをできる位置を探したり、逆に足下にボールを置いてから、間接視野になる位置までボールを前に出したりして、パスもドリブルもできる自分なりのボールの置き所を探してみてください。
自分とボールとの距離感がわかれば顔を上げてドリブルすることができますし、逆に顔を下げてドリブルできる位置もわかってきます。僕も高校でドリブルを指導する際には、最初にボールを遠くに置いてからだんだんボールを近づけて、自分のドリブル位置を知る地味な練習をやっています。
 
ただ、ドリブルをするボールの位置は1つだけではありません。足下に入れたらボールをまたげますし、遠くに置いたら仕掛けることができる。どのボールの位置でも顔を上げてドリブルできることが最高ですが、まずは自分のボールの位置を決めて、状況によってドリブルの使い分けをできるようになればいいと思いますよ。
メッシ(バルセロナ・アルゼンチン代表)だって全てボールを見ないでドリブルをしているわけではないんです。どこかの位置でボールを見ますし、どこかの位置でボールを間接視野に入れるんです。まずは広く周りが見える間接視野の中でボールを持てるように、ぜひ頑張ってみてください!」
 
 
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大西貴(おおにし・たかし)//
1971年愛媛県生まれ。南宇和高では主将として1989年度の第68回全国高校サッカー大会制覇。福岡大を経て1994年に広島へ加入(マンチェスター・ユナイテッドへの短期留学も経験)。主にDFとしてJ1・21試合に出場。98年、四国リーグ所属(当時)だった愛媛へ里帰りし、愛媛FCでサッカースクールコーチを務め、2001~03年には選手兼監督・04年には監督としてJFLでも采配を振るった。その後、愛媛FCユース監督を経て、現在は愛媛県立松山北高コーチと、スカパー!愛媛中継解説者。さらに今回の山口国体に出場する愛媛県成年選抜監督としても活躍中。日本サッカー協会公認A級ライセンス保持
 

こちらの記事は幼児・小・中・高校生の保護者向け教育情報のサイト「Benesse教育情報サイト」にも掲載されています。

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取材・文・写真/寺下友徳、写真/小川博久

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