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- 初心者コーチの心得1:サッカーは遊びだから楽しむことが一番大切
サッカーの指導経験が浅い、またプレー経験がほとんどない初心者コーチは練習日までに、今までのスポーツ経験や体育の授業、本やインターネットを見て練習メニューを考え、その日のトレーニングを構成します。しかし、実際に子どもたちにプレーさせてみると、思い通りにならず、苦い体験をすることも多いでしょう。そして、「次こそは!」とさらに勉強してトレーニングを練り込んだはずなのにうまくいかなかった。それを子どものせいにしてしまった経験はありませんか?
今回は「初心者コーチ&ボランティアコーチ 5つの心得」と題した連載を企画し、指南役のシンキングサッカースクールヘッドコーチ・高峯弘樹さんにそれぞれのテーマを語ってもらいました。
【初心者コーチ&ボランティアコーチ 5つの心得】1.サッカーは遊びだから楽しむことが一番大切2.子どもの性質や特徴を把握しよう3.サッカーというスポーツを知ろう4.個々のキラッと光る部分を探そう5.コーチもクリエイティブになろう
第1回は「サッカーは遊びだから楽しむことが一番大切」です。(取材・文 木之下潤)
■ジュニア年代の指導はサッカーという競技性よりも楽しいが先立つべき
一生懸命に考えた練習メニューなのに、なぜうまくいかないのか? そう感じ、自分のイメージ通りにプレーさせようと説明するのだけれども全然うまくいかない。自分のイメージ通りに動いてもらおうと真剣になるほど熱くなり、気がつくと子どもたちから笑顔は消え、「どうしたらいいの? わからない」と迷った顔つきになっている。それを見て、コーチもまた苦い表情になる。
「どうしたらいいんだろう?」という思いを抱えながら、現場に立っている初心者&ボランティアコーチはたくさんいるでしょう。
「ぼくも最初は『自分が楽しい!』と感じる練習メニューをたくさんつくり、トレーニングさせました。でも、まったくうまくいかなかった。『どうして?』と考えたとき、練習メニューもチーム内も工夫し過ぎて決まりごとだらけであることに気づいたんです。楽しいサッカーを教えようとぼくが懸命に考えてひねり出した練習メニューは、子どもにとって楽しいものではありませんでした。いま思うと押し付けだったように感じています」
■試行錯誤の末にたどり着いた答えは、鬼ごっこ
高峯さんは苦笑いを浮かべて、昔の失敗談を話してくれました。よく「子どものサッカーは大人のサッカーの縮図ではない」といいますが、その格言どおりだったようです。
「目線が高いまま、大人が考えた『楽しいサッカー』というレールに乗せようとするけど、子どもは大人ほど考える力がないから同じ絵が描けないし、レールそのものが見えていません。なのに、何度もレールに乗せようと繰り返していると強制的になり、子どもは『やらされている』と感じて、その瞬間から楽しいが苦しいに変わります。
なかなかうまくいかなかったから、ぼくは『子どもが楽しいと思う遊びは何か?』を、子どもたちを観察しながら、いろいろと試してみることにしました。すると、ルールが単純でわかりやすく、人と競争しながら体を思いきり動かすときに、夢中になって楽しんでいることに気づいたんです。そこで、ぼくの頭に浮かんだトレーニングは『鬼ごっこ』でした」
■子どもがサッカーをプレーする理由はさまざま!だからこそ楽しく
そもそも子どもたちにとって、サッカーは遊び。習いごとではありませんから楽しいが一番です。彼ら彼女らがサッカーをする理由はさまざまです。サッカーがやりたいと思ってクラブやスクールに通う子もいれば、友達と一緒に何かができるから楽しい、体を動かすことが好きなど、個々に理由は異なるでしょう。
しかし、どの子にも共通しているのは『楽しい』という気持ちです。この強い思いがあるからこそ、年齢を重ねてサッカーを知るほど自分の実力に向き合い、現実の練習に向き合いながら競技を続けていけるのではないでしょうか。ジュニア年代の指導は、子どもたちにとって先立つものがサッカーという競技性ではなく、楽しいという思いだということです。
取材・文 木之下潤
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