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バルセロナ発!賢い選手を育てる指導法

「サッカーを理解する」ことは誰もがレベルアップできる

公開:2012年4月 4日 更新:2013年6月 6日

キーワード:スペイントレーニングバルセロナ知のサッカー練習育成

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『知のサッカー』でおなじみ、FCバルセロナのメソッド部門責任者をつとめるジョアン・ビラ氏が、日本の育成年代の指導者に『賢い選手を育てるためのトレーニングメソッド』を明かしてくれました。今回は、グローバルメソッド(包括的な練習)の重要性と指導者の役目について解説しています。
 
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■練習メニューをコピーすることは重要ではない

指導メソッドは様々ですが、大切なのは一人ひとりの指導者が自分の意見、アイデアをしっかり持って実践することです。たとえばパスのレベルアップに取り組む際に、どのようなトレーニングをすることで、パスが向上するかを考えます。「パスは強く出す」という習慣をつけさせたい場合は、指導者が選手に理由や意図をしっかり伝えなければなりません。紅白戦をする際にも、明確なテーマを決めなければ、選手たちのレベルアップは期待できません。
 
練習メニューをコピーするのは簡単です。重要なのは、自分で練習メニューを考えて、作り上げること。すばらしい指導者とは、チームが抱えている改善点を練習メニューに落としこみ、レベルアップさせることのできる人です。練習メニューを考えるにあたって、明確なテーマや課題を考えることはとても重要です。たった1日、たった1回の練習で選手が上達することはありえません。継続的にトレーニングすることだけが、成長への道です。
 
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■サッカーを学ばないまま大人になることが問題

我々は決して、「1日ですべてのことを学んで欲しい」とは思っていません。期待しているのは、子どもたちが少しずつサッカーのプレーを理解すること。9歳や12歳の子たちが、常に試合に勝たなければいけないとは思っていません。小さい時にすべきことはサッカーを楽しみ、多くを学ぶことです。競争に勝つことを求めるのは、18歳になってからです。
 
ここで問題なのは、19歳や20歳の選手が、サッカーをしっかりと学ばずに、大人のカテゴリーに上がっている現状です。その一因が、アナリティックメソッドのトレーニングばかりをしてきたことにあると考えています。
 
誰もが18歳になるまで、たくさんのパス練習をしたことでしょう。ですが、いつ・どのタイミングで、どのようにパスをしなければいけないのかといった、「状況把握」や「判断」のともなったトレーニングはあまりしてこなかったと思います。
 
 

■選手を賢く育てることによってチームは発展する

アナリティックメソッドとグローバルメソッドの違いを理解してください。繰り返しになりますが、我々はアナリティックメソッドの重要性も理解していますし、実際にアナリティックメソッドの練習もしています。ある日の練習では、最初にコーディネーショントレーニングをして、次にアナリティックメソッドでトレーニング、その次にグローバルメソッドのトレーニングをして、ゲーム形式でしめます。心がけているのは、シンプルなものから複雑なものへ、段階を経てトレーニングをすることです。
 
そして練習の最後に、選手たちに「今日、何を学んだか」を質問します。そうして、選手たちに、トレーニングした課題を理解させるよう働きかけます。なぜならば、我々は賢い選手を育てることを重要視しているからです。選手を賢く育てることによって、チームは発展していきます。生まれ持った才能の有無とは別に、すべての選手が『サッカーを理解する』という部分で、確実にレベルアップすることができるのです。我々はそれこそが、指導者の役目だと思っています。
 
 
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ジョアン・ビラ・ボスチ//
Joan Vila Bosch
FCバルセロナでクライフと共にプレーし、引退後はバルサの下部組織で14年間監督を務めた。現在はバルサのメソッド部門ディレクターとして、下部組織におけるトレーニングの進化・改善、コーチの指導を担う。監督時代はシャビ、プジョルなど現在のバルサの中心選手を育てた。
 
 
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取材・文/鈴木智之、写真/小川博久、取材協力/株式会社Amazing Sports Lab Japan

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