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W杯出場パパに聞く!親子で楽しむ「2018年ロシアW杯」の観戦術
「ネガティブ思考で試合に入る」超万能型プレーヤーだった中西永輔がW杯で高パフォーマンスを発揮できたワケ
公開:2018年4月27日 更新:2018年5月 1日
本職はDFながら、MFやFWまであらゆるポジションをこなす超万能型の選手としてJリーグで活躍した中西永輔さんは、日本が初めてワールドカップ(W杯)に出場した1998年フランス大会のメンバーにも名を連ね、第1戦のアルゼンチン戦、第2戦のクロアチア戦のピッチに立ちました。
2007年に引退した後は解説者、サッカースクールのコーチなどの活動を続ける一方で、小学1年生、2年生の2人のサッカー少年の父親でもあります。世界の舞台を経験したW杯戦士は、どのような想いで子どもたちを指導し、息子たちと向き合っているのでしょうか。
自身が出場したW杯のエピソードを明かしていただくとともに、指導者、父親としてのスタンスを伺いました。(取材・文:原山裕平、写真:新井賢一)
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■W杯のピッチに立った瞬間は「泣きそうになった」
――中西さんは日本が初めて出場したフランスW杯のメンバーでしたが、その舞台に立った瞬間はどういった心境でしたか?
W杯は子どもの頃からの夢だったので、フランスのピッチに立った時は、夢が叶った瞬間でした。口ではなかなか表現できないくらいの喜びはありましたし、僕自身は1996年に行われたアトランタ五輪のメンバーから外されて、悔しい想いをしたんですね。だから見返してやりたいという気持ちをずっと持っていて、その意味で、ダブルで喜びが沸き上がったと言いますか。
初戦のピッチに立った瞬間は、まだ試合前にも関わらず、いろんなものがこみ上げてきて、泣きそうになったことを覚えています。
――初戦のアルゼンチン戦では敗れたものの、中西さんが相手のFWを抑えるなど、好パフォーマンスを見せましたね。
当時のアルゼンチンにはバティストゥータとクラウディオ・ロペスという強力なFWがいて、僕はクラウディオ・ロペスをマークしました。スピードがある選手だったので苦労しましたし、試合にも負けてしまいましたが、自分としては悔いの残らないプレーはできたと思います。
よく『キャリアの中で最高の試合はどの試合か』と聞かれるんですが、間違いなくW杯でのアルゼンチン戦が一番力を出せた試合だった。はっきりとそう言えますね。
■大舞台で持てる力を発揮する方法
――どうして世界中から注目される大舞台で、力を発揮できたのでしょうか?
僕はネガティブな心境で試合に入るんですよ。絶対にやってやるというのではなく、やられて当たり前だと。
そのなかで今の自分の力でどこまでやれるか。そういう気持ちで試合に入り、プレーをしながらポジティブな方向に持っていくんです。
今、ボールを取れたから、こういう感じで動けばいいのかなとか。そういうふうにネガティブをポジティブに変える自分なりの方法があったので、上手く対応できたんだと思います。
■サッカーを頑張ったからできた親孝行
――W杯ではどのような部分で"世界"を感じましたか?
やっぱり国と国の戦いなんだなと思いましたよ。ホテルのエレベーターの前には機関銃を持って立っている警護がいたり、スタジアムまでの移動はパトカーが先導してくれたり。
高速道路の反対車線を走行したのは、さすがに初めての体験でしたね(笑)
――ピッチ上ではどうでした?
子どもたちにはフェアプレー精神のもとプレーして欲しいので、マネはしてほしくないのですが、俗に言う"マリーシア"というのは感じましたね。軽く触れたただけで倒れたりしますし、こういうことを世界はするんだなと。
結局、あの大会ではアルゼンチン戦とクロアチア戦の2試合に出場したんですけど、どちらも『勝てそうだな』という手応えはあったんです。アルゼンチンはまだピークになかったので動きが重かったし、クロアチアも暑い中での試合だったので、途中からはバテていた。だから全然やれそうな感じはあったんですけど、それでも負けてしまった。そこが結局、世界との差なのかもしれませんね。
――今振り返って、W杯は中西さんのキャリアにどういう影響を与えましたか?
僕は小学校3年生の時に初めてW杯を見て、その時からこの大会に出ることが夢でした。もちろんそれだけが目標だったわけではないですが、占めている割合はそうとう大きなもので、子どものころからサッカー漬けでやってきたなか、まさに夢が叶った瞬間でした。
W杯をはじめ、海外の試合にはよく母親が応援に来てくれたのですが、嬉しかったのは『あなたがサッカーを頑張っていろんなところに連れていってくれた。それが一番の親孝行や』と言ってくれたこと。その時は本当に頑張ってきてよかったなと思えました。
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