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欧州の事例に学ぶ!ジュニア年代からチャレンジしたい、サッカー理解を高めるための「ゴールキック設計」
公開:2024年11月18日
サッカーの指導が学べる動画配信サービス「COACH UNITED ACADEMY」では、強豪チームや豊富な実績を持つ指導者によるトレーニング動画や、指導していく中で必見な理論や情報を配信中だ。
前回より「ゴールキック設計」をテーマに、COACH UNITED ACADEMYでおなじみ、サッカーコーチのコーチとして活動する、倉本和昌氏による講義を公開している。
倉本氏はスペインや日本の育成現場で指導を重ねた後、オランダに移住し、日本とヨーロッパの育成をつなぐ活動を展開。セットプレーに関する書籍を出版するなど、サッカーを様々な角度から分析し、指導に活かしている。
COACH UNITED ACADEMY動画後編では、オランダやベルギーで得た知見を元に、具体的なゴールキックの設計と練習方法について解説してもらった。「ゴールキックが相手ボールになってしまう」「練習方法がわからない」と悩む指導者にとって、必見の内容だ。(文・鈴木智之)
オランダで採用される6人制
倉本氏が拠点を構えるオランダでは、2021年にU-10年代で大きな改革が行われたという。それが6人制でオフサイドなし。キックインかドリブルインを選べる。スローインなしというルールだ。
子どもたちが自由にプレーする余地を残していることから、倉本氏は「ストリートサッカーに近づけようとしたのではないか」と推測する。
さらに試合を見ていると、興味深い現象を見つけたという。それが今回のテーマでもある「ゴールキックの設計」だ。具体的には、下記2つのパターンを採用するチームが多かった。
1)相手のワントップに対して、GKがボールを持った場合、2人の味方が左右にポジションを取り、3対1を作る
2)GKをセンターバックと考えて、1人の味方がサイドに寄って2対1を作り、もう1人の選手を中盤に上げる
いずれにしても数的優位を作り、相手をかわして前進しようとする意図が見て取れる。
現代サッカーではレベルが上がれば上がるほど、ゴールキック時に大きく蹴り出すことはない。前編でも紹介したが、自陣からパスを繋ぎ、できるだけボールを保持して攻めようとするチームが大半だ。
唯一、ゴールキックを繋がなかったチーム
倉本氏が視察したベルギーのケビン・デ・ブライネ・カップ(U-15)や、オランダの国際大会(U-14)によると、ビッグクラブのアカデミーは、ゴールキック時に大きく蹴ることはなく、パスを繋いでビルドアップしていたという。
そんな中、ゴールキック時にパスを繋がず、ロングボールを蹴るチームがひとつだけあった。それがJクラブのアカデミーだ。
「U-14、15年代でアヤックスやマンチェスター・シティと対戦すると、相手のセンターバックやボランチが185cmあったりします。僕ら日本人には、14歳、15歳でそんな選手はほとんどいません。そのような状況で、設計せずにゴールキックを蹴ったら、相手ボールになってしまうのは想像に難くありません」
それを踏まえた上で、「ゴールキックを大きく蹴るのは、得策なのでしょうか?」と疑問を投げかける。
「相手のフィジカル能力の高さを理由にあきらめるのではなく、繋ぐプレーを模索することで解決策が見えてくるはずです。たとえ相手のプレッシャーが強くて対応できなかったとしても、そのプレッシャーを外す方法を考え、実践することが成長に繋がり、将来的な積み重ねになっていくのではないでしょうか」
相手はどのパターンで来るのかを見極める
「COACH UNITED ACADEMY」の動画では、具体的な解決方法を提示している。詳細は動画に譲るが、倉本氏は「システムの組み合わせによって、どこにフリーな選手、スペースができそうなのかを考えてみてはいかがでしょうか」とアドバイスを送る。
「どこが空くの? 誰がフリーになりそうなの? とみつけていき、だからこそ自分たちはどこに立って、相手はどこから出てくるといったことを、ゴールキックを例に考えてみましょう。最初はわからないかもしれませんが、相手のプレッシャーは1人で来るのか、2人なのか、ハイプレスなのかはわかると思います。選手には『相手はどのパターンで来るのか、見極めようね』と伝えてみてはいかがでしょうか」
COACH UNITED ACADEMY動画では、ゴールキックを繋ぐためのメカニズムのほか、練習方法として、スローインやコーナーキックになる場面において「全てのリスタートをゴールキックから始める」という設定を推奨。
「ゴールキックだけを繋ぐ練習をしたとしても、子どもたちは前向きにやってくれない」という現実を踏まえ、ゲームの中でやる機会を増やすことを提案している。
「ゴールキックを繋ぐことは、失点のリスクはありますが、そこで諦めてしまっては進歩がありません。『怖いからできない』『蹴れないから無理』と考えるのではなく、まずは紅白戦で試し、次に練習試合で挑戦してみましょう」
段階を踏んで完成度が高まってきたら、公式戦でチャレンジすればいい。
「この怖さを克服するためには、段階的なアプローチと、しっかりとした戦術の設計、そして継続的な練習が必要不可欠です。なによりセットプレーを通じて、サッカーを解釈する力を身につけることができます。ぜひ皆さんも、段階的な取り組みを実践してみてください」
COACH UNITED ACADEMY動画では、アニメーションを使い、具体的な選手の動き等も解説している。この記事を読んで、もっと深く知りたいと思った方は、ぜひ動画で確認してほしい。指導の引き出しが増えること、間違いないだろう。
【講師】倉本和昌/
サッカーコーチ専門コーチ。高校卒業後、スペインのバルセロナに留学。アスレチック・ビルバオにて育成の仕組みについて学び、スペイン公認上級ライセンスを日本人最年少で取得。帰国後は湘南ベルマーレ南足柄、大宮アルディージャのアカデミーでコーチを務め、2018年よりサッカー専門コーチとして独立。Jクラブ、大学、高校、町クラブ、幼児など様々なカテゴリーのコーチをサポートしている。2021年12月から家族5人でオランダへ移住し、ヨーロッパのサッカーの様々な情報を発信している。
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