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サッカーの練習後にぐったりして食欲がない子ども。これって熱中症? 自宅でできる熱中症対策の基本

公開:2022年7月 8日 更新:2024年5月17日

キーワード:熱中症.オーバーワーク熱中症対策

体温を超える気温を記録する日本の夏。毎年のことながら、この時季は子どもの熱中症が特に心配になりますね。

近年、熱中症予防方法については、啓蒙が進んでいることもあり、水分補給の知識などある程度は知ってはいるものの、実際に熱中症になったときにはどうしたらいいのかはわからないことばかり、という親御さんも多いようです。

そこで、「熱中症予防声かけプロジェクト」実行委員長の帝京大学医学部附属病院高度救命救急センター長・三宅康史先生に、暑さでぐったりとして帰ってきた子どもに対してできる自宅での対処方法を教えてもらいました。

前編では、子どもが熱中症かどうかをはじめ、暑さによるダメージを受けている状態かどうかや、家庭でのケアで様子をみて大丈夫かどうかを見極めるコツを、後編では食事をはじめとした家庭での対処法や親御さんの見守り方をご紹介します。
(取材・文:小林博子)

 

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写真は少年サッカーのイメージ

 

■「熱中症かも?」と思ったら、迷わず早めの対処を

夏の暑い日に帰宅した子どもがいつもよりぐったりとした様子だと、まっさきに熱中症を疑い、とても心配になるはず。

熱中症が重症化すると怖いというのは周知の事実ですし、子どもが最も成長すると言われる夏に、熱中症で練習を休ませてしまう日が続いてしまうのは避けたいという気持ちもあるかもしれません。

少しでも効果的なケアをしてあげたいと、まずは「熱中症かどうか」を見分けたいと思うかもしれませんが、三宅先生によると「こんな症状を訴えたら熱中症です」という明確な線引きは難しいと言います。また、「風邪気味」などのように「熱中症になりかけている」という状態であるかどうかも、はっきりとはわからないことがほとんどだそう。

「夏にぐったりとしていたら、すべて『熱中症の可能性あり』と思って正解。熱中症も他の病気と同じく、『早期発見・早期治療』が最も有効なので、早めに対処できることが大切です」(三宅先生)

つまり、子どもの様子が熱中症を疑うような状態だったら早めに対処してあげることが重要ということです。

 

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■こんな状態だったら「熱中症の可能性あり」

具体的には、ぐったりとしている子どもが以下にあげるような様子を見せているときは、熱中症を疑う状態と考えられます。

・発熱している
・体がほてっている
・頭痛や下痢などの体調不良がある
・食欲がなく、食べられない
・ふらふらとしている
・目つきがうつろ
・顔色が悪い
・元気がない
・眠れずに寝不足状態になっている
など

基本的には「いつもと違う」と、毎日接している親御さんが感じるならすでに「可能性あり」だと思っても良いかもしれません。日々見守ってあげている親御さんの目がとても頼りになります。猛暑や酷暑と言われる夏に、炎天下でサッカーをして帰ってくることを思うと、熱中症の時季は特に、しっかりと様子を観察してあげることがまずは大切だと言えます。

 

■医療機関に連れて行く必要があるケースも 

なお、子どもが何も食べられず水すら飲めない、高熱を出している、だんだん意識が朦朧としてきたなどあまりにもぐったりとしていたら、迷わず受診しましょう、と三宅先生は言います。

熱中症以外にも、食べられないことによって低血糖を引き起こしている可能性もあり、医療機関で専門家に早めに診てもらうべき状態とのこと。

かかりつけの小児科や、時間が遅ければ夜間救急などへ早めに連れて行ってあげてください。

■体が「暑さダメージ」を受けていると心得て

三宅先生によると、「熱中症の可能性」を疑うときは、少なくとも「暑さダメージを受けている状態」であることは確かとのことです。

そうであれば、暑さ対策をしっかりしてあげることが大切です。子どもがどんなに「大丈夫」と言っていても、水分をはじめとする栄養の摂取や部屋を涼しくするなどの基本的な対処はまっさきに行ってあげてください。

 

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■定期的な体重測定で体調管理を! 短期間で減少したら注意

子どもの体調チェックをしてあげる親御さんの「目」が、熱中症の『早期発見』につながることがわかりますね。親の直感はもちろん頼れる目安ではありますが、毎日子どもの様子を見守ることのほかにできることはあるでしょうか。三宅先生に伺いました。

その答えは「体重測定」。人間の体の大半は水分なので、熱中症の時季に体重が減ってきているときは「体の水分が減っている=熱中症の疑いがある」という目安にもなるそうです。どんなに成長期でも数日で急激に身長が伸びて体重も増えるということはないので、短期間での体重が増減している場合は「体内の水分量」の影響が大きいからです。

なお、体重測定は、毎日決まった時間に同じ状態で行うべきとのこと。例えば、朝起きてトイレに行った後すぐなど、体重計に乗る時間を決めてルーティンにしてあげてはいかがでしょうか。

体重測定の習慣を続けた場合、そのデータが来年の夏にも役立つと三宅先生は言います。「去年はこれくらい減ったときに熱中症とみられる症状が出た」などの貴重な資料になるからだそうです。

前編である今回は、熱中症かどうかの判断の目安についてご紹介しました。夏場のぐったり感は「熱中症の可能性あり」だと思ってお子さんの様子を見てあげてください。

後編では、具体的にどんなことをするべきなのかを詳しくご紹介します。

 

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三宅康史(みやけやすふみ)
帝京大学医学部救急医学講座教授/帝京大学医学部附属病院高度救命救急センター長、熱中症予防声かけプロジェクト実行委員長

東京医科歯科大学卒業後、公立昭和病院脳神経外科・救急科(ICU)・外科医長、さいたま赤十字病院救命救急センター長・集中治療部長、昭和大学医学部救命救急センター長など歴任し、2016年帝京大学医学部救急医学教授・同附属病院救命救急センター長に着任。
2017年からは同高度救命救急センター長を務める。

熱中症予防声かけプロジェクト

 

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取材・文:小林博子

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