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「教科書には載ってないことが必要になる」FC今治・岡田武史さんが語るこれからの時代に必要なスキルとは

公開:2023年7月27日 更新:2023年7月28日

キーワード:コミュニケーションライフスキル主体性共助助け合い社会を生きる力自分で考える力

さる7月22日、神奈川県相模原市でFC今治高校×伊勢原FCフォレストによるトークセッションが開催されました。

「これからの時代を創造的に生きるための教育・学びとは?」をテーマにしたこのイベントには、FC今治の会長を務める岡田武史さん、日本にイビチャ・オシム監督を招聘したことでも知られ、現在は伊勢原FCフォレストのGMでもある祖母井秀隆さん、伊勢原FCフォレストの指導者である一場哲宏さん、来春開校のFC今治高校の校長に就任予定の辻正太さん、神戸市のSDGs担当を務める長井伸晃さんが登壇。

そこで語られた、これからの時代に求められる「教科書には載ってない」スキルについてなどのお話を紹介します。

 

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■自分が何が得意で不得意か、知ってもらうことで仲間に助けてもらいやすくなる

人と人、人と地域、地域と地域を結び、自分の意志で楽しむ仲間をつくるためのサッカーとまちづくり、教育から考える私たちの明るい未来について、集まった周辺地域の中学生と保護者の方に語りました。

第一部では、伊勢原FCフォレストの一場さんによる「公開チームビルディング」として、集まった中学生が参加するワークショップが行われました。周りと打ち解けるための「氷おに」では、選手に指名された岡田さんと祖母井さんが鬼を務めました。

鬼にタッチされた子は「助けて」と声をあげるルールで行われたこのゲーム。終了後に一場さんが、仲間や周囲に「助けて」を言えること、人を助けようとすること、お互い助け合うことはサッカーでも社会を生きる上でも大事な事だと伝えると、中学生たちは納得の表情でうなづいていました。

ほかにも、自分のチーム以外の子と3人組を作って自己紹介をするコーナーでは、はじめましての人に自分を理解してもらうために、好きな事や共通点を見つける作業、自分の得意な事・不得意なことをシェアする時間も。これらも、サッカーでも社会でも、自分を知ってもらうことで人に助けてもらいやすくなるために重要な事だと一場さんは語りました。

 

■いろんな人が社会・まちづくりに関わるのが良い

休憩を挟んだ第二部は、登壇者たちによるパネルトークを開催。これからの社会を生きるために大事な要素とは何か、というテーマで話が進みました。

祖母井さんは「スポーツには勝ちや負けがある。その延長が今の社会を作っているのが課題なのかなと思います。勝ったとか負けたとか......。だけど、弱くてもスポーツしていいわけで、いろんな人が関わる今治のまちづくりは良いと思います」と今治市における活動を賞賛。

そのうえで「社会は勝ち負けだけじゃない。中間のポジションの人たちが社会づくりに関わっていくのは大事だと思います」と語りました。

 

■想定外の出来事への対応は教科書には載っていない

現在のサッカー監督業に加え、24年開校のFC今治高校の学園長という新しいチャレンジを始める岡田武史さんは、教育に関わることになった経緯をはじめ、FC今治高校が目指すもの、そしてこれからの社会を生きるために必要なスキルについて話しました。

「今まで想定してたものがそのまま行かない時代が来ます。自然災害も増えるでしょう。心身ともにタフでないといけない。想定外のことしか起こらないです。対応策は教科書に載っていないので適応する能力や主体性が必要になります」

そしてこう続け、共助が大切な時代になることを伝えました。

「自分で考えて生きていかなきゃいけない時代が来ます。だから主体性を持たなきゃいけない。そして、人は1人じゃ生きていけないので多様な力が必要です。想定外の事象が起きたとき、みんな同じ考えだと対応ができなくて困窮してしまいます。周囲にいる人間をお互い受け入れて、認め合って、力を合わせることが大事です。考え方も価値観も違う、いろんな人がいるんだって認めないといけない。大人がその環境を作っていくのです」

 

■生徒が失敗しないように先回りすることで、やる気や意欲を削いでいたことを後悔

FC今治高校の校長就任予定の辻さんは、これまで教員として生徒に関わるなかでやってしまっていたこととして、「生徒が失敗しないように、先回りしていろんな道を作っていたこと」と振り返りました。

子どもが失敗して、へこんで立ち直れなくなってしまわないようにと生徒のためを思って先回りしていたはずが、結果として子どもの意欲など「牙」を抜いてしまっていた経験から、FC今治高校では生徒がやりたいことをとことんやれる環境を作りたいと意気込みを語りました。

大人の先回りに関しては、岡田武史さんも言及。
「子どもたちはもっと自由にやっていいんです。逆に我々大人が余計な口出しばっかりして夢を壊したりするのが良くないんです。子どもを1人の人間として尊重してやっていかないとダメ。ものの豊かさより心の豊かさを大切にする社会をつくらないと。心の豊かさは数字で表せない信頼や共感。それは共助のコミュニティです。そういう場を一緒に作っていきたい」

と、改めて助け合って生きることの重要性を説くと、保護者の皆さんも真剣に耳を傾けていました。

また、神戸市のSDGs推進担当の長井さんは、まちづくりは人づくりであることや、人と人とのつながりが地域を作ることなどを説明。

AIなどテクノロジー化が進む社会でこれから社会で求められることとして「相手の表情とか、対話でしか読み取れない部分は機会にはできない。だから、人間の強みとして対話や創造的な発想、機械には導き出せない答えが大事になると思います」と語ると、デジタルを使いこなす中学生たちも納得の表情で話を聞いていました。

 

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