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あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]

仲間との協力プレーは大事だけど、ドリブルなど個のスキルも不可欠だと思う。U-8年代の指導は何に注力すべきか教えて

公開:2022年7月29日 更新:2022年10月17日

キーワード:2対1サッカーの理解トレーニングドリブルパスフニーニョ判断指導者止める蹴る行動認知

小1の指導で注力することは何? 2年生からは8人制になるから仲間と協力して崩すサッカーに移行しなければと思っているけど、ドリブルなどの個人技の基礎も小さいうちに身につけさせた方が良いと思っている。

この年代でどんな指導をすればいい? というご相談をいただきました。

今回も、ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、日本と海外の「指導の順番」も例に挙げ、「サッカーを理解させる」ための指導をアドバイスします。
(取材・文 島沢優子)

池上正さんの指導を動画で見る>>

 

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(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません

 

<<練習中なのに砂遊びに行ってしまう。トレーニングに集中できない未就学児を一緒にサッカーさせるにはどうしたらいい?

 

<お父さんコーチからのご質問>

こんにちは。

早速の質問ですが、U-8年代では何に力を入れていけばいいのか教えてください。

息子が年中からサッカーをしており、現在小1です。子どものチーム所属が縁で息子の年代を指導することになりました。

今までは6人制でしたが、2年生からは8人制になります。個人の技術だけではなかなか通用しなくなり、仲間と協力して崩していくサッカーに移行しなければと考えています。

一方で、小さいうちにしっかりドリブルで相手を抜く個のスキルを身につけることも大切だと思っています。

どれか一つの技術だけを磨けばいいわけではないことはわかっているのですが、この年代の指導で注力すべきことを教えていただけませんか。

おすすめの練習メニューがあればご教示いただけると幸いです。

 

 

<池上さんのアドバイス>

ご相談ありがとうございます。

ご質問に関連したちょうどよいトピックがありますので、お伝えしましょう。

 

■サッカーはいかにして味方と協力するかを楽しむスポーツ。勝手なプレーはダメ

週末、千葉県の方で「親子サッカーキャンプ」を開催しました。

親子でキャンプをするのですが、昼間は子どもとサッカーをし、夜は保護者に向けセミナーを行いました。そこでは、サッカーをどうとらえるか? といったお話もしました。

「サッカーというスポーツは得点を競うゲームですが、チームゲームでもあります。ひとりで勝手にプレーしては、サッカーではなくなってしまいます。いかにして味方と協力するか、そんなことを楽しむスポーツです。私は子どもたちがサッカーをするのに、そこから入らないとおかしいと考えます。ところが、日本は、足元の技術が上手くならないと試合にならないと、大人たちが信じ込んでいます

そんな話から始まります。

 

■子どもたちがパスを出そうとし始めたことに親が驚く

参加されている親御さんのなかには、ご自分もサッカーを教えられている方もいらっしゃいます。お父さんコーチと呼ばれる、日本のサッカーを支えている人たちです。

彼らの前で、一日目の午後2時間と二日目の午前2時間の指導で子どもたちの姿が変わっていくのがわかります。つまり、ひとり一人がドリブルをするのではなく、味方と協力するサッカーになっていくわけです。

見ておられた親御さんたちの一番の驚きは、子どもたちがパスを出す味方を探そうとし始めたことでした。そうなると、パスを受けられる最適なポジションを探します。ボールに集まるのではなく、広がり始める。そうすると非常にサッカーらしくなります。

参加者の中心は3、4年生でしたが「1年生からこんな指導を受けられたら、3年生になったらどんなふうになるのか楽しみ」という声もありました。

 

■日本の子どもはドリブルばかり使う

では、私がどんな指導をしたのか。

まず初めに、子どもたちにこう話します。
「サッカー楽しむために、何が一番大事かな?」
子どもたちは「シュートが入る!」と言います。
「そうやな。パスをして前に進んでいくことが大事だね」

そこから、いいポジションにいる味方を探してパスすることを勧めます。そうやってシュートが入ると、子どもたちはとても喜びます。誰かひとりがドリブルをして相手を抜いてゴールしたときよりも、明らかに嬉しそうです。

キャンプ2日目。2対1でワンツーをするトレーニングをしました。

ワンツーが成功すると、自分で抜く必要がなくなります。誰かを使って、自分がフリーになれる。そうすると、難しくないサッカーになります。

世界のトップリーグの試合は、すべてそうなっています。どうして日本の子どもだけドリブルばかり使うのでしょうか。

 

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■「止める・蹴る」ができてから「判断」を教える日本の指導は欧州と真逆

この連載でもすでに何度かお伝えしているように、小学生に対する日本の育成は、指導の順番が「行動→判断→認知」です。足元の技術をしっかりやって「止める・蹴る」といったスキルやドリブル、つまり「行動」にあたる基礎技術が上手くなってから、視野をとって判断することを教えます。そうやって、ようやくサッカーというスポーツを認知します。

一方、欧州などのサッカー先進国は、日本と真逆の「認知→判断→行動」という順番です。上述したように、サッカーがどういうスポーツなのかをまず学びます。認知します。次に、場面場面でどれだけたくさんの情報を持てるか。そして、その情報を瞬時に整理して選べるかをトレーニングします。判断です。

この認知、判断の次に、ようやく「行動」がきます。正確に出てきたパスをコントロールし、次にその場面で最適と思われるパスやドリブルを選び遂行する技術を磨くのです。

以上のことからわかるように、私たちは、情報を入れるトレーニングを早くからやったほうがいいのです。

 

次ページ:今の日本は「サッカーを知らない」子どもたちを育ててしまっている

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