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蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~

負傷者を起用してまで勝ちたがる監督。出場できない息子が不憫で連れ帰った問題

公開:2019年10月 9日

キーワード:けがテーピング勝利至上主義監督

負傷している子どもたちを起用してまで勝利を目指す監督。けがもないのに出場機会を与えられなかった息子が不憫で、閉会式と試合後の練習試合があったけれど、「帰るぞ」と子どもをつれて帰った。

コーチに止められる中、監督は何か言うかと思えば「お疲れさん」と半笑いでひと言。親は怒り心頭だけど、息子はこのチームで続けたいと言う。どうしたらいい? とのご相談をいただきました。みなさんならどんな判断をしますか。

今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、ご自身の体験と数々の取材活動で得た知見をもとに、アドバイスを送ります。わが子への最上のサポートをしてあげる参考にしてください。(文:島沢優子)

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(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)

 

<<保護者の協力ゼロ。代表もコーチも辞めたいほど辛いです問題

 

<サッカーパパからのご相談>

サッカー少年団に所属している6年生の父親です。

先日開催された土日の大会で、土曜日は4チーム対抗の予選リーグを行い、日曜日は予選の順位によってトーナメント戦を行いました。試合に帯同したメンバーは監督、コーチ3人、6年生10人、5年生3人です。息子は1年生からサッカーを始め、レギュラーの時期もありましたが最近はベンチにいることが多くなっていました。

息子は予選リーグの2試合目と3試合目の後半だけ出場しましたが、1試合目は強いチームなので出場しませんでした。チームには膝を痛めている子が5人いて、テーピングをして試合に出ていました。

日曜日は4チームのトーナメントで2試合の予定でした。子どもたちは疲れが出ているのかみんな動きは良くなかったです。1試合目はなんとか勝ちましたが、ケガで走ることさえおぼつかない子さえいる状態でした。息子は出場しませんでした。

2試合目は、ケガの子たちは休ませるだろう考えていましたが、その子たちが出て息子は控えでした。試合は2-0で勝ちましたが、最後まで出してもらえませんでした。息子は下手ではないですし、ケガもなく動ける状態にはありました。なのに出場させてもらえなかったのです。

試合後、待機場に帰ってきた息子は、試合に出られなかったためか寂しそうな顔をしていました。

閉会式と練習試合の予定がありましたが、私は思わず「帰るぞ」と言い連れて帰りました。コーチには止められましたが、監督の半笑いでの「お疲れさん」という発言に私は怒りで震えました。帰り道、息子は悔しいのか寂しいのか泣いていました。

監督は普段は練習を見ません。3週間に一回突然やってきますが、普段はコーチが練習を指導しています。しかし、コーチは監督には意見を言えないようです。監督のことを知っている方に相談したところ、その監督は目先の勝利に拘る人で、人間的にも問題がある人だということを聞き、このチームに息子を任せていたことを後悔しました。

勝手な行動でチームに迷惑をかけたことについて、チームの保護者には後日謝罪しますが監督には絶対に謝りたくないと考えています。

息子は「監督はイヤだけど卒団式まではこのチームで頑張りたい」と言いますが、私自身はサッカーを一旦休んでほしいと考えていますし、全国大会が終われば一旦サッカーから離れて、中学でもう一度やりたいスポーツを選んでほしいと考えています。

少し感情的になっているかもしれませんが、親としてどのように息子のサポートをしたらよいか助言をいただければと思います。

 

<島沢さんのアドバイス>

ご相談ありがとうございます。

メールを送ってから時間も経過しているでしょうし、多少は冷静にご自分のされたことを振り返られたのではないでしょうか。

細かく書いていただいたおかげで、お父さんと息子さんの置かれた状況がよくわかりました。全体の文章から、お父さんが目の前の事象にこころを揺さぶられすぎているように感じます。以下、私が「こうしたほうがよかったかも」と思ったことを、三つお伝えします。

 

■一番最初に謝るべきは、チームの保護者ではなく......

まず、息子さんがサッカーの活動に入った時点で、そこは選手とコーチや監督たちの領域であることを認識しましょう。親が口出しをする場所でも時間でもありません。目先の勝利にこだわる監督だということを6年生まで気づけなかったことは、もう仕方のないことです。

「息子は下手ではないのに出られなかった」とありますが、下手かどうかはコーチの判断です。むろん下手でも全員試合に出すのが最も理想的ですが、そのようなチームではないようです。お父さんの文章を読む限り、テーピングさせて走るのも大変な子どもを試合に出すなんて決して良い判断とは思えませんが......。

ふたつめ。
認識が足らないため、お父さんの自我や感情があふれ出てしまいました。閉会式と練習試合というチームの活動が残っているのにかかわらず、息子さんを無理やり連れ帰っています。こんなことはすべきではありませんね。

「チームに迷惑をかけたから保護者に謝罪する」と書かれていますが、保護者になぜ最初に謝罪するのか私にはよくわかりません。

お父さんが一番最初に謝るべきは、息子さんではありませんか?
コーチに止められた、とあるので、おそらく嫌がる息子さんを無理やり連れて帰ったのではありませんか?

よしんば、息子さんが「帰りたい」と言ったとしても、「最後まで活動しなさい。君が選んで一緒にサッカーをしているチームでしょ?」と、親として人の道を教えたほうが良かったと思います。

「帰り道、息子は悔しいのか寂しいのか泣いていました」とありますが、悔しいのではなく、お父さんのとった行動が悲しかったのではありませんか?
「あいつ、試合に出られなかったから、最後までやらずに途中で帰ったんだぜ」

そんなふうに思う子がいたか、いなかったかはわかりませんが、私は息子さんが最後までいられなかったことが苦しく悲しかったのではないかと想像します。ぜひ、息子さんに気持ちを聴いて、お父さんが悪かったねと謝りませんか?

 

■幼い行動に出ては、嫌な相手と同じ部類になってしまう

三つめ。

監督の半笑いでの「お疲れさん」という発言に怒りで震えた、とあります。

監督さんが笑ったのは、これも想像の域ですが(腹を立てて途中で連れて帰るなんて、過保護だねえ)と思ったのではないでしょうか。

お父さんが「人間的に問題がある人」と書いているように、この監督さんは嫌な人だなあと私も思います。でも、嫌な人に接するときこそ、人として正しく振舞うよう心掛けたほうがいいですよね。感情的になって、幼い行動に出てしまうことは、結局はその「嫌な人」と同じ部類だということになりませんか。今回の件は、大人として、親として、よい勉強をしたと考えましょう。

次に、「こうしましょう」という提案を三つします。

 

次ページ:これからどうすればいいか、親としての最高のサポートは

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文:島沢優子

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