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蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~
練習に行くと大泣きして母親から離れられません問題
公開:2023年5月17日
現在3年生の息子。2年生から一人でスクールに行けず、親がいなくなると大泣きし一緒に練習を見学するようになった。
練習参加できなくなって1年、本人も参加できない理由がわからないようだが、サッカーは好きで辞めたくはないという。こんな状態の息子に今後どう対応したらいい? と悩むお母さんからのご相談をいただきました。
スポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの取材で得た知見やご自身の体験をもとに、いまお母さんがどうすればいいか3つのアドバイスを送ります。
(文:島沢優子)
(写真は少年サッカーのイメージ ご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)
<<上達しない、自主練習しない、試合中ぼーっとする息子をどうすればいいの問題
<サッカーママからのご相談>
3年生の子がおります。 1年からサッカースクールに週1通っていますが、 2年生に上がってから1人でスクールに行けず練習にも参加できなくなり、わたしといつも見学をしております。
無理矢理連れて行くというより 自らユニフォームに着替えて参加はするのです。
コーチには「私に任せて預けて欲しい」と言っていただくのですが、私が居なくなると嫌だと大泣きをし わたしもなかなかその場を離れられずにいます。
そんな中でも泊まりの合宿は行く、とこの冬の合宿に参加をし、大会でもメダルをもらえとても喜んでいました。
大会にもっと出たいとも話していました。(大会はイベントがあるときくらいで片手でおさまるくらいです)
家でもずっとボールで練習をし、試合も大好きのようですが練習に参加できずもう1年が経ちます。本人も参加できない理由がわからないようです。辞めようかと伝えても辞めたくないようです。
いまは、気分乗らないときは休んでいいよ、自分で決めなねというスタンスでいます。それでお休みしたこともあります。
このような状態の息子に、今後どのように対応したらいいのか......。と考えてしまいます。どうかアドバイスいただけないでしょうか。
<島沢さんからの回答>
ご相談いただき、ありがとうございます。
お母さんの対応、素晴らしいです。お母さんが「辞めようか」と伝えても、息子さんは「辞めたくない」と言った。そこで「気分乗らないときは休んでいいよ」「自分で決めなね」と伝えています。
お母さんは「どう対応したらいいか」と相談されていますが、今のままでいいのです。この姿勢をぜひ維持してください。そのことを念頭に置きつつ、以下三つほどアドバイスをするので参考にしてみてください。
■母子分離ができていない状態なのかもしれない
ひとつめ。ご自分の子育てを一度振り返ってみましょう。
短いご相談文の中だけでは判断できませんが、読んだ感じではお子さんは母子分離がまだできない状態なのかなと思います。
母子分離は子どもが成長すれば解決します。ただ、親のほうも自分のこころと会話してみてください。例えば、「子どもに良かれ」と考えてあれこれ世話を焼く過干渉な親になっていないか。このタイプは「母親である私が世話を焼かないとうちの子はダメ」と思い込んでいます。つまり、心理学でいうところの「基本的信頼の欠如」になります。
この「親が抱える不安」という名のストレスが子どもにストレートに伝わると、「一番自分を理解してくれているはずの親にさえ心配されるダメな僕」という「子不安」につながる可能性が高くなります。
入学したばかり、もしくは転校したばかりの学校に行くときや、何か苦手なことに取り組もうとするとき。子どもが腹痛や頭痛を起こしたり、おう吐することがあります。幼稚園や保育園に入園してすぐの登園時に泣いてしまう。それらは分離不安障害と言われるもの。親不安→子不安のメカニズムによって起きると考えられています。
親が自分の過干渉を認識できず、心理的に母子分離できない場合、中学や高校、大人になってから問題が生じることが少なくありません。ここは一度、お母さんが息子さんに対する気持ちを整理してみましょう。
心配していないか。
不安に思っていないか。
否定的に見ていないか。
そういったことを子どもの前で口に出さなくても、子どもには親の気持ちは伝わるものです。
以前、少年サッカーのコーチが「よく転ぶ子ども」の話をしてくれました。ピンチになったり、難しい局面になると転ぶ。よく見ると、どうも自分からわざと転んでいるように見える。
もっと観察していくと、その子の両親ともに非常に結果にこだわる方だったそうです。
「サッカーはミスをするスポーツです。ミスは絶対に怒らないでください。不満そうなそぶりも見せないで欲しい」と言ってお願いしたら、子どもの転倒は減ったそうです。
■合宿に行けたのは大きな進歩 一緒に喜んで褒めることが子どもの信頼につながる
二つめ。不安になるのはお母さんだけではありません。私も子育てしているときはいつも不安でした。何人子どもがいても親は初心者です。不安なのはみんな一緒です。
そのなかで、目の前の子どもが少しずつ成長すると、親も信頼できるようになります。私が先ごろ企画構成した『高学歴親という病』(成田奈緒子著・講談社α新書)で、著者の成田先生も「子育ては、不安を信頼に変える旅」とおっしゃっています。
学齢が進むにつれ、子どもは家庭の外でさまざまな刺激を受けながら、親から離れていきます。親もわが子の手を離すことができます。そのための儀式をサッカーでやっているのだと考えましょう。ユニフォームに着替えて参加はする。でも、お母さんから離れられない。
そんななかで泊りの合宿に行ったのは大きな進歩です。メダルをもらえて喜んでいたのなら、ぜひお母さんも一緒に喜んであげて、合宿に行けたことを褒めてあげてください。それこそが信頼につながります。
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