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蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~

スタメンのレベルじゃない子を監督が贔屓。県大会出場が危ういです問題

公開:2023年8月23日

キーワード:お気に入りひいきスタメンレギュラー下手なのに贔屓

お気に入りの保護者の子をいつも出場させるが、その子はスタメンになれるレベルじゃない。県大会出場を目標にしていると言っているが、その子がいたら無理。

まともな采配をしてほしいが、他の親たちもチームに意見するつもりはない。誰か監督に注意できる人がいればいいのに......。と悩むお母さんからのご相談。

指導者から贔屓されているように見える子がいると、親たちの関係性がギスギスしたりしますよね。

今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの取材で得た知見をもとに、アドバイスを送ります。
(文:島沢優子)

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(写真は少年サッカーのイメージ ご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)

 

<<セレクションを目指しているのにBチーム落ち。親のほうが立ち直れません問題

 

<サッカーママからの相談>

島沢様はじめまして。

11歳の息子が所属するチームの監督は、小学校教諭をしている20代の方です。チームにお気に入りの保護者(30代)がいて、いつもその方の子を試合に出します。その子はとてもスタメンになれるレベルではなく、コーチ陣にも困惑している方もいます。

最初は保護者から声をかけ仲良くなり、今ではチームの飲み会などあると2人でべったりです。

その保護者はいわゆるうるさい保護者で、自分の息子が試合に出ていないと騒ぎ出します。違和感を感じている方もいますが、誰も意見をするつもりはなさそうです。

県大会出場を目指していると言いながらその子が出ていては無理です。なんとかまともに采配をする様にならないものかと悩んでいます。

誰か注意できる方がチームにいればいいのですが........。

 

<島沢さんからの回答>

ご相談いただき、ありがとうございます。

お母さんの悩みは「その子が出ていたら県大会出場は無理だと考えるから、まともな采配をしてその子を出さないで欲しい」ということですね。

回答するにあたり、私が疑問に思ったことと関連付けて3つほどアドバイスさせてください。

 

■苛立ちは分かるが、挙げている内容はどれも「主観」の域を出ない

ひとつめ。私が気になったのは、お母さんの話がどれも「主観」だということです。

・その子がスタメンのレベルであるか否か。
・その子が試合に出たら県大会出場は無理なのか否か。
・保護者とべったりだから試合に出すのか否か。
・まともな采配なのか否か。

お母さんからすれば「だって誰から見てもそうだよ。みんなそう思ってるよ。おかしいよ!」と言いたくなるでしょう。もし、上記の4項目において、自分は間違っていないと思われたとしても、そのいずれもが根拠のない主観だということを、まずは理解してください。

 

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■他者を説得するためには根拠が必要

そして、他者を説得するためには根拠がなくてはいけません。このご相談文には今のところ根拠が見当たりません。お母さんの苛立ちは何となく想像はできますが、あくまでお母さんの言い分なので、この監督に話を聞いてみないことには迂闊なことは話せません。話してはいけないと考えます。

他人が掌握していることに対し、異議申し立てをする場合は大義が必要です。大義というのは「どうしても変えてほしい、なぜならばこういう理由だからです」という限りなく正当で常識的なものです。

では、このケースの場合、監督に「この子を起用するのはやめてほしい」という大義があるとすれば、「チームのためにならない」ということでしょうか。それについては、やはりお母さんひとりではなく、他の保護者の方々や、困惑しているというコーチ陣の意見をまずは丁寧に聞きましょう。そのうえで、大勢が「この状況はチームのためにならないね」という結論に達したのなら、監督を交えて話せばいいことかと思います。

また、その子の親御さんのことについては「自分の息子が試合に出ていないと騒ぎ出す」と書かれていますが、どんなふうに騒ぎ出すのかちょっとわかりかねます。その親御さんにはそのようになってしまう何か原因があり、監督さんがそこを配慮したうえで付き合っているとは考えられないでしょうか。

 

■子どもたち自身が騒ぎ出したり、チーム運営に支障が出るならば話し合う必要がある

このご相談文を読む限り、チームのためにならないから何とかしなくてはならない、というような事態ではなさそうです。

例えば、子どもたちが「贔屓されている」と騒いでしまい、その子が仲間外れにされている。もしくは、監督とその子の親が仲良くしすぎて、他の親たちとも亀裂が生じてしまい、運営がやりづらくなっている。そういった支障があれば、チームで話し合う必要がありそうです。話し合ったほうがいいなと思えば、仲のいい親御さんにも声をかけて集まってはどうでしょうか。

 

■「誰か」ではなくあなた自身が監督と話しをしてみては

二つめ。

「誰か注意できる方がチームにいればいいのですが」と書かれていますが、注意するという行動は少し違う気がします。

保護者も監督も、子どもの成長を見守る地域の大人として全員平等であるべきです。明らかに規律を乱しているとかではないようなので、ここは監督さんに「全員と同じ温度で接してもらったほうがいいのではなか」といった話をしたほうがいいかと思います。お母さん自身が監督さんと話してはどうでしょうか。

 

■家でも「あの子が出たら負けるのに」なんて言っていませんか?

三つめ。

サカイクの読者が「この子を出したら負けるのに」といった感覚をもたれていること自体が、私にはショックでした。

全員が同じだけ出場機会を得る。小学生の場合はそれが理想です。監督も保護者もそのような状況にないのは百も承知ですが、であれば試合に出た子どもたちを応援するのがそこに集った大人のあるべき姿ではないでしょうか。

よもや、ご自分のお子さんに「あの子が出たら負けるのに、なんで選ばれるんだろうね」などとおっしゃってはいないかとは思いますが、お子さんはお母さんがそう思われていることを知ったらショックかもしれません。

もし、そうではなく「そうだよ、あの子が出ないほうが勝てるのに」と言ったとしたら、お母さんはどう答えますか? 「そうだね。あの子が出ないほうが勝てるのに」とおっしゃるのでしょうか。

 

次ページ:チームに任せられない、親が口をはさむべきと思ったらみんなで意見交換をして変えていこう

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