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あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]
上手な子の言いなりになりがち。上手な離れかたは? 良い方法を教えて
公開:2018年5月25日 更新:2019年3月18日
子どもたちの自発的な行動や判断を認めるチーム方針でやっているが、上手い子や発言力の高い子たちの言いなりになってしまっている。全員が楽しめるチーム作りに悩むお父さんコーチ。子供の成長を支える指導者になるにはどんな接し方が良いのでしょうか。
これまでジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが授けるアドバイスをご覧ください。(取材・文:島沢優子)
<<ミスしてもOK!は、ダメじゃないのと指摘。理念がなかなか伝わらない。保護者対応はどうすればいい?
<お父さんコーチからの質問>
子どもと一緒に地元の少年団に入団し、現在6年目のパパコーチです。
チームの方針で我が子の学年(U-12)を見ています。
大会では安易に勝ちに走らず、平等時間ではありませんが全員出場をするチームです。
質問は池上先生のおっしゃる「離れる」についてです。
我がチームも池上先生の指導に賛同し、子どもの自発的な行動や判断を認めようとしています。
高学年ですので、なんでも子どもたちに任せて、コーチはベンチで座っているだけが理想と思っています。
しかし、最初は民主主義でやっているのですが、だんだんとサッカーの上手い子をはじめとした発言力の強い子の言いなりになってしまい、その子たちの都合のいいチームになっているように見えてくるのです。当然そうではない子は楽しくないと思います。
大人の意見は最小限にとどめつつ、彼らにアドバイスを送るとしたらどういったところがポイントになるでしょうか。よろしくお願いいたします。
<池上さんのアドバイス>
ご相談、ありがとうございます。
「伸ばしたいなら、子どもから離れましょう」
ご相談者のおっしゃる通り、みなさんには書籍やこの連載などを通してそう呼びかけています。
講演終わりなどで指導の相談を受けたときも、9割がたは「ほおっておけばいいですよ」と言います。コーチとして一体何をすれば、子どもの成長を支えられるのか。その答えを聴きたい人たちはかなり拍子抜けするようです。かなり悶々としています。
「じゃあ、指導の出番はないの?」と思ってしまいますね。
離れっぱなしなわけではありません。私はみなさんが過度に干渉しすぎる傾向があり、世話を焼き過ぎるので「離れた方がいいですよ」と伝えたわけです。よって、チームに不具合があれば、きちんと対応してください。
■全てを子どもたちに任せるのではなく、いいタイミングでサポートする
例えば、このご相談のようにサッカーの上手い子をはじめとした発言力の強い子の言いなりになってしまうのであれば、こう問いかけてみましょう。
「なんだか上手い子だけが意見してるみたいに見えるよ。大丈夫ですか?」
そんなふうに、子どもたちに気づきのヒントを与えてあげてください。
いつもは子どもたちだけでミーティングする習慣があったとしても「いつも任せるよって言ってるけど、今回はちょっとコーチもみんなの話し合いを聞かせてもらっていいかな?」と同席します。そこで、再び声の大きい子の意見に偏りそうだったり、なかなかまとまらない場合はサポートしてあげましょう。
例えば、子どもだけで話し合うなかでこじれてしまう議題のひとつに「ポジション決め」というのがあります。一番にくるのが「ゴールキーパーを誰がやるか」でしょう。
欧州でゴールキーパーは一番人気ですが、日本では攻撃的なポジションをやりたがります。個々の特長や役割が明確になってくる高学年よりも、中学年、低学年がもめます。
ほかにも守備的なポジションは人気がありません。そのように人気、不人気が分かれてしまうとき、「じゃあ、どうしたらいいかな?一番の問題はどこだろう?なぜ、そうなってしまったのかな?」と彼らの抱えた課題を整理してあげてください。
ただし、こうしろああしろと命令するような全面介入ではなく、あくまでもサポート役に徹してください。そこでは「大変、大変!なんとかすぐに解決しなくては!それには大人が介入したほうが手っ取り早い」といった感覚になってしまうと、子どもたちの成長を阻害してしまうことになります。
そもそも、子どもは何回もミスをして、時には親がびっくりするような大きな失敗もして成長していくものです。けれども、そのときに大人がすべてカバーして何もなかったようなことにすると、失敗が成長につながりません。
日本の子どもはミスしたり、うまくいかなくなるとすぐベンチをみると言われますね。自分で乗り越える経験が薄いので「自分たちでやらなきゃいけない」という意識が育たないわけです。
逆に、そういったことを理解して、上手に離れながら伸ばしている指導者もいます。「今の子は......」と、子どもの資質や時代のせいにする指導者とは対岸にあります。
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