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蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~

サンダル履きで態度も横柄な監督を"名誉棄損"で訴えたい問題

公開:2019年12月19日

キーワード:コミュニケーションボランティア不寛容名誉棄損手抜き指導排除監督移籍

練習時はサンダル履きで指導はほとんどしない、子どもたちへの態度も横柄。昔から人間性に問題ありと聞いていたけど、ボランティアで指導してくれているから見守っていたのにいつまでたっても改善されない。

このままじゃダメだと、子どもと協議し他のチームの体験に行きたいと申し入れたら「どうぞそちらのチームへ行って下さい、返信不要」と、こちらの気持ちを逆なでするメールが。

自分と子どもの事で何やら言っているそうで、妻やチームの保護者に止められているけど監督を名誉棄損で訴えるのはどう思う? とのご相談をいただきました。

今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、ご自身の体験と数々の取材活動で得た知見をもとにアドバイスを送りますので、参考にしてください。(文:島沢優子)

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(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)

 

<<アホ、ボケ、ヘタクソ、もう来るな!コーチに暴言止めさせたい問題

 

<サッカーパパからのご相談>

こんにちは。指導者の対応についてご相談ださせてください。

小5と小3の父ですが、小3の子が地元の少年団に4年間、小5が2年間お世話になってます。監督は私とは違うチームでしたが同い年で、我々が少年団当時から上手で有名な方でした。

それで、ご相談内容ですが、この監督の態度についてです。

ここ何年かは練習中はサンダル履きで指導はほぼせず、試合の時は少し何か言うぐらいで、子どもたちへの態度も横柄なのです。ボランティアとはいえ、横柄な態度とるならもう少し熱意出して欲しいと見守ってました。

ですが、全く改善されませんし、このままこのチームにいても良くないと思い、先日、子ども達と協議し他の少年団に体験練習に参加させてみたいと申入れたところ、「どうぞそちらのチームへ、返信不要」と返ってきました。

人格に問題が有るのは30年近く前から聞いておりましたし、見たりしてましたが、このように子どもを置き去りにした感覚及び、無指導に嫌気が指し各学年で主力が流出してる現状も有り、私達も退団するつもりです。

不義理かと思い一応他少年団への体験を連絡したのですが、それ自体が間違っていたようです。もはやあきれています。

妻や他の保護者からは止められてますが、私や子どもたちのことについて何やら監督が騒いでいるそうなので名誉毀損で訴えることも検討しています。これまで我慢した分、腹に据えかねているのですが、大人として間違っているでしょうか。

 

<島沢さんのアドバイス>

ご相談ありがとうございます。

ただ、正直に言わせていただくと、非常に判断しかねるケースです。

このようなファッションや態度の監督さん、私の周りにも少なからずいらっしゃいます。

サンダル履き。指導をほとんどしない。態度が横柄まではいかずとも、若干つっけんどん(そこは恥ずかしがりやな性格が災いしているのかもしれませんが)。

ただ、とても良い指導者です。子どもの取り組みをじっとみている。愛情にあふれています。

ご自身もサッカーが上手いので、子どもが「こんなフェイント見せて~」と寄ってくると、「教えてほしけりゃ千円よこせ」などと口が悪いことこのうえありません。

でも、私から見れば、子どもたちに愛され、いい指導者です。

しかし、その彼は、もしかしたらほかの保護者から見ると「態度が横柄で人格に問題がある人」になるかもしれません。「子どもを置き去りにした感覚及び、無指導」と書かれていますが、この彼も、いわゆる手とり足取りする指導者ではありません。

その点で、冒頭で「判断しかねるケース」とお伝えしました。

 

■今のチームを退団することで子どもたちが何を学ぶのか

これを読んだサカイク読者のみなさんは、「でもなあ、集団でやめるくらいだから、ダメな指導者だったんだろうなあ」と想像するかもしれません。私もその確率は高かろうと思います。

ただ、この件で私が気になることが三つあります。

ひとつめは、子どもたちの意思です。相談文に「子どもたちと協議した」とあるのは、どんな話し合いだったのか。声の大きな大人が子どもたちを誘導していないか。子どもたちは心の底から違うクラブでサッカーをしたいと思っているのか。

そのあたりを考えてもらえるといいかなと思います。

二つめに考えていただきたいのが、今回の退団劇で子どもたちが何を学ぶかということです。

例えば、サンダル履きという見た目や態度の悪さがあいまって、このコーチはお父さんたちや子どもたちから見放されたように見えます。やめる、やめないを話す中で、子どもはお父さんやお母さんたちがコーチを否定する言葉をたくさん聞いていることでしょう。問題意識を持つことは大切ですが、他者を否定し、排除することが平気になるのは悲しいことです。

嫌なコーチだったかもしれない。態度は横柄だったかもしれない。でも、何年間かの年月を、このコーチは指導に通ってきてくれたわけですよね。

私が勧めたい学び。それはこの場合、「それはそれ、これはこれ」という礼節かと思います。

「悪いところもあったかもしれないけれど、コーチとして教えてもらった。そこは感謝しよう」

指導の中に暴力や暴言、パワーハラスメント的な要素があったのなら話は別ですが、そうでないのならば、そんなことを伝えられたらいいなと思います。

 

次ページ:コミュニケーションをとらずに「人間関係をあきらめる」大人たちが生んだ社会

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※ご相談者様のお名前、チーム名等は記事に掲載いたしませんのでご安心ください。
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文:島沢優子

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