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蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~

出場機会を均等にしてほしいけど親は黙っていたほうがいいのか問題

公開:2020年8月19日

キーワード:モチベーション中学全員出場出場機会出場機会の不平等学年指導者監督練習試合試合数

帯同するコーチによって下の学年の起用機会、頻度が変わるチーム。積極的に起用してくれるコーチばかりなら経験を積めるけど、起用してくれないコーチの帯同が続くと試合に出られない。

これが続くと、試合に出られる学年と出してもらえない学年の子たちで技術にもモチベーションにも差がつく。小学生年代なら均等に出場機会を与えてくれてもいいのでは? と悩むお母さんからのご相談です。出場機会の問題にモヤモヤしたり悩んでいる保護者の方も多いですよね。

今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、取材で得た知見をもとにアドバイスを授けますので参考にしてください。
(文:島沢優子)

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(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)

 

<<試合多すぎ! なのに上手な子ばかりが延々試合に出続ける不条理を何とかしてほしい問題

 

<サッカーママからのご相談>

こんにちは。
息子(11歳)のチームの指導者についてご意見を聞かせて下さい。

チームには10人以上コーチがいるのですが、監督がいません。コーチは、卒業生のお父さんや、在籍中の子の父親などのボランティアコーチです。

子どもたちの人数が多くないので2学年で試合に行くことが多いのですが、下の学年の選手起用機会、頻度が試合に帯同するコーチによって違います。

積極的に下の学年を起用するコーチだと、上の学年の試合でも必ず一度は出場させてもらえたりしますが、そうでない方だと、上の学年の試合ではベンチにいるだけ。練習試合でも、数分の出場のみ......ということもあり、試合当日のコーチが誰になるかによって考え方が変わる為、不公平が生じています。

それが在籍中何年も続くとたくさん試合経験をした子(学年)と、そうでもない子(学年)に分かれてしまうのです。

下の学年の起用に積極的なコーチが担当する学年の子たちはいつも楽しそうですし、たくさん試合経験を積めて上手くなっていますが、そうでないコーチが担当する学年の子たち(息子含む)は、モチベーションが上がらないようで淡々としていますし、出場機会の多い子たちに比べると上手くないです。

機会の不公平さに、親の方も何だかモヤモヤした気持ちを抱えてしまいます。

監督をたてない方針は構わないのですが、コーチたち全員のまとまった方針がないので育成の面で矛盾が生じていると思っています。

まだ小学生なので、出場機会は均等にしてくれてもいいのでは。と感じているのですが、このような状態でも親は黙ってみているべきでしょうか。

 

<島沢さんのアドバイス>

ご相談のメールをいただき、ありがとうございます。

毎回ご相談のメールだけでは判断が難しいものですが、今回は特に難解な事案ではあります。

下の学年の選手を起用する機会や頻度が試合に帯同するコーチによって違っていて、試合当日のコーチが誰になるかによって変わる――という理解を私はしました。

そうすると、下の学年の選手もたくさん出場させる人と、そうでない人が入れ代わり立ち代わり現れるわけで、均(なら)せば均等ではないかと感じます。違うのでしょうか。

 

■黙って見守ることがマストではない。何をどう伝えるかがポイント

いただいたご相談文だと、息子さんは現在「下の学年」ですね。そして、コーチは息子さんら下の学年を試合に出さないということですね。しかし、その方は今度は息子さんが「上の学年」になったときは、息子さんたちを出場させるということになります。例えば2年間くらいのスパンで言えば、試合の出場時間は同じになりそうな気もします。

もちろん、このやり方がいいとは言いません。

「小学生なので、出場機会は均等にしてくれてもいいのではと感じている」というお母様のご意見、もっともです。

そして、親が黙ってみているべきか? という質問については、黙って見守ることがマストだとは私は思いません。このお母さんのケースでは、誰に対し、何を、どのように伝えるかが課題だと思います。

クラブ(もしくは少年団)側が、例えば「みんなで作る、みんなのクラブ」をモットーにして、「みんなで意見を出し合っていいクラブにしましょう」と呼びかけているようであれば、意見はしやすい。しかし、息子さんが所属するクラブは、そんな感じでもなさそうです。

では、どうするか。

 

■一人で悩まず同じ意見を持つ保護者を集めよう

まずは、仲間を作りましょう。同じように、子どもたち全員に試合の出場機会を与えてほしいと考えている保護者を集めるのです。ひとつの要望として「こんなふうに考えてほしい」と話をまとめることが先決です。息子さん個人のことでとどまらないよう、チームの課題として考えてもらわなくてはいけません。

次に、クラブの代表の方に要望を伝えましょう。監督は置かない慣習のようですが、ひとつの任意の集団なので一番上に立つ代表格の方はいらっしゃるかと思います。徒党を組むというイメージではなく、あくまでもひとり一人の子どもが楽しくサッカーをするために考えてほしいと伝えるのです。

この連載の前回(91)で、『上手な子ばかりが延々試合に出続ける不条理を何とかしてほしい問題』を書いています。お母さんと同じように、子どもが試合に出られない不条理を訴えられています。私はこの記事の文中、「日本の少年サッカーの全員出場させない悪しき慣習には、四つのマイナス面がある」と書き、それを説明しました。サカイクのサイトからこの部分をコピーして渡してもよいかと思います。

その際、絶対に感情的になってはいけません。

まずは、日ごろボランティアでコーチを務めてくださることに感謝の意を伝え、できれば笑顔で主旨を伝えます。その際、当方の記事以外に、サカイクなどで報じられている他クラブや少年団の実践例や、池上正コーチの本なども添えて渡してもよいかと思います。

そのように苦心されても、代表の方やコーチの方々からまったく話を受け付けず「クラブのことはクラブに任せて」と言われる可能性は高いでしょう。

そもそも、日本サッカー協会のキッズ指導や、ライセンス取得の際に「試合に全員出場させる」ことは規定化されていません。ルールもなく、罰則もないので、コーチたちは技術が秀でた子どもの出場時間が長くなる傾向があります。

したがって、全員を出場させるメリットや、逆に全員をプレーさせないリスクが伝えられていません。このため、多くのクラブにおいて、個人の育成やサッカーの普及、チームの底上げよりも、一つ一つの試合を勝つことにベクトルが向いているのが実情です。

でも、だからといって、お子さんを他のクラブに移籍させるとか、サッカーをやめさせたりしないでください。

 

 

次ページ:中学に入るまではなるべく楽しめるようにサポートしてあげること

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※ご相談者様のお名前、チーム名等は記事に掲載いたしませんのでご安心ください。
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文:島沢優子

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