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速く走るための方法とは? すぐにできる3つの練習法を陸上メダリスト為末大選手が伝授!

公開:2013年6月13日 更新:2023年6月30日

キーワード:50メートル走スピード 早く走る方法リレー為末大速く走るコツ

走る 速い.jpg

 

「速く走る」ことは、子どもにとっては憧れであり魅力的ですよね。もちろんサッカーでも「スピード」は最大の武器。

 

 運動会シーズン真っ盛りのいま、400mハードルで世界陸上銅メダル、3大会連続の五輪出場という輝かしい実績を持つ"侍ハードラー"為末大さんに「速く走る方法」をお聞きしました。理論派で知られる為末さんが教える、簡単なポイントをチェックするだけで、速く走れるようになる方法をお話いただきました。

 

■正しい姿勢で効率的に早く走る

「どうしたら速く走れるようになりますか?」

 

 難しいことは抜きにしてみんなが知りたい核心をいきなり聞いてしまいましょう。唐突な質問にも為末さんは優しく丁寧に答えてくれます。

 

「いくつか段階がありますが、ものすごくシンプルに考えると、まずは姿勢ですね。姿勢が良ければ速く走れるようになります」

 

 子どもたちの多くは、正しい姿勢を知らないために「走り方がわからない」のだそうです。誰にも教わらなくても走ることはできるようになりますが、速く走るためにはやはりコツがあります。走るのが苦手な子どもたちは「運動音痴」で「足が遅い」のではなく、「走り方を知らない」だけだと為末さんは言います。

 

 最初にしなければいけないことは、正しい姿勢を身に付けることです。でも、走るのに適した正しい姿勢ってどんな姿勢でしょう?

 

■身体がまっすぐな状態を保つ

「『身体がまっすぐな状態』だと思ってください。アジア人の場合はまっすぐ立っているつもりでもアゴが出ている人が多いんです。アゴを少し引く、子どもたちに教えるときは『目線を1センチ上げる』ということが多いですね。子どもたちには口で『身体をまっすぐ』と言っても難しいかもしれません。大切なのは正しい状態を体感することです」

 

 まっすぐな状態を体感できる方法として為末さんが教えてくれたのが、寝転んだ状態でできるだけ身体を地面にくっつける方法

 

「背中をぴったり地面にくっつけて、なるべく隙間をなくします。寝転んだだけでは、腰やヒザの裏などいくつか浮いてしまう場所があるのですが、ここも完全につかなくても地面に近づけるようにします。この状態が"まっすぐな"状態。これを覚えて、立ったときに再現すればいいのです」

 

サッカー 姿勢.jpg

 

■ゴールに目線を固定することで走っている時もまっすぐの状態を保てる

「まっすぐ立つ」これだけで、走り方がかなり変わってくると言います。

 

「走っている最中はこのまっすぐな状態をどうやって保つかが大切です。子どもたちでも、1秒間に3回、速い子だと4回から5回は足を回転させるんです。走っているときに足の動きや手の動きに振り回されずに、どれだけまっすぐな姿勢を保てるか。これを意識するようにしましょう」

 

 身体がふらふらしていては、前に進むはずの力が左右に分散して、効率が落ちてしまいます。進行方向に正しく力を伝えるためには、身体のブレは最小限に抑えたいところです。

 

「苦しくなると頭を左右に振ったり、ゴールとは違う方向を見たりする子もいますよね。見ている方向に進むものなので、目線が一定していないのは身体がブレる原因のひとつです」

 

 走りながらまっすぐな姿勢を保つにはどうしたらいいでしょう。為末さんは「その方法はすごくいろいろありますよ」と断った上で、「まずはしっかりゴールを見ることです」と教えてくれました。走る際にはゴールに目線を固定することが大事なのです。

 

「視線を固定することで頭の位置が安定し、姿勢が崩れにくくなります」

 

■速く走る秘訣は前に体重をかけて加速すること

 次に重要なのは前に体重をかけること。

 

「短距離走では、スタートダッシュも大きな武器です。転ぶ寸前まで前のめりになって勢いよくスタートします」

 

 走っている最中も前のめりの前傾姿勢で前に体重をかけるのが基本です。前傾姿勢を保つには着地する足に気をつけるといいようです。

 

「速く走るということは「速く身体を前に移動させる」ことなので、前に加速をしていくために少し前のめりに体重をかけます。足をベタッと着くのではなくて、少し前目に体重をかける。"母指球"というのですが足の親指の付け根に体重を乗せて走る。母指球を意識することが大切です」

 

サッカー 重心.jpg

 

 身体の使い方でよく出てくる"母指球"という場所。足の親指の付け根の少し膨らんでいるあたりを指します。

 

■為末さんからのアドバイス「母指球と第二指に体重を」

「厳密に言えば母指球と第二指(足の人差し指)の間くらいに体重を乗せる感覚で」

 

 人間の身体は、一点で支えるよりも、二点の間で支えた方が力が出ます。砲丸投げや野球のボールを投げるときも指の股、一点ではなく二点の間に力を入れるとより強い力を生み出すことができます。走るときも母指球と第二指の二点で支えるのが早く走ることにつながるわけです。母指球の感覚を覚えるために、親御さんが手でその場所を押してあげて場所を確認したり、縄跳びを飛んでみるのもいいですね。

 

これで速く走り出すための土台作りはOKです。次回は足の運び、上半身について、さらに、為末さんに教わったことを子どもたちにどうやって伝えたらいいか? についても聞いています。大切なのは「体験すること」。詳しく知りたい方はぜひ次回をお楽しみに。

 

すぐ速く走れるようになる!陸上メダリストの為末選手伝授の速く走る方法(後編)>>

 

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為末大
ためすえ・だい
男子400mハードル日本記録保持者。シドニー、アテネ、北京と3大会連続で五輪に出場。世界選手権では2001年のエドモントン大会、2005年のヘルシンキ大会で銅メダルに輝く。2012年に現役を引退した後は、アスリートのセカンドキャリア支援、講演、執筆など、幅広い分野で活躍している。

 

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取材・文/大塚一樹 写真/サカイク編集部・田川秀之(JA杯全農チビリンピック2013全国決勝大会より)

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